2012年4月18・19両日、泉尾教会を会場にIARF(国際自由宗教連盟:三宅光雄会長)の年次国際評議員会が開催され、内外から役員・スタッフ合わせて30名が参加して、熱心な討議が行われた。
国連経済社会理事会に総合諮問資格を有するIARF(国際自由宗教連盟)の執行理事会が、4月17日午後、IARFの加盟教団のひとつである和宗総本山四天王寺において開催され、森田俊朗執事長が歓迎の挨拶を行った。
四天王寺で開催されたIARF執行理事会 |
執行理事会では、昨年度の国際評議員会議事録の洗い直しと、英国人のジェフ・ティーゲル財務理事からの会計報告が行われた。IARFは法的には、英国で公益法人に登記されている関係上、所轄庁への必要書類の提出や免税措置に必要な会計監査報告書等、すべて英国の国内法に準拠しなければならないためである。また、2012年度予算の概要と各常設委員会や各地域連絡協議会からの報告、法人としてのIARFの「規約」の改正等について、翌日からの国際評議員会に備えて、会長(親先生)・副会長(シュロモ・アロン博士は飛行機の延着のため欠席)・財務理事ならびにホミ・ダラー博士(ゾロアスター教)、アルバート・ハビエル修道士(カトリック)、ドリス・ハンター師(ユニテリアン)の3人の執行理事および、欧州と日本の各地域連絡協議会の代表らの間で意見調整が計られた。
泉尾教会に正式参拝して玉串を奉奠するIARF国際評議員 |
翌18日には、IARFの意思決定機関である年次国際評議員会が、内外から30名を集めて泉尾教会で開催された。会議に先立ち、参加者全員で広前に正式参拝し、玉串を奉奠した。会議は、朝9時から神徳館国際会議場でIARF第33代会長である三宅光雄教会長が議長を務めて開会された。
昨年3月末に京都のむつみ会本部で開催された昨年度の国際評議員会は、その半年前の世界大会時に選任されたばかりの国際評議員たち(多くは初来日)が、未曾有の犠牲者を出し、また、外国からは、福島第一原発の爆発事故によって日本全土が放射能汚染されていると思われていた東日本大震災の発生後わずか2週間後という限界状況下で開催された。来日した各国代表の評議員たちも緊張した面持ちであったが、今回の国際評議員会は、就任後すでに1年半が経過し、日頃からEメイル等を通じて頻繁に意見交換をし、また、評議員それぞれが実際にいろんなプログラムにも関わっている関係もあり、その上、主要な日本人国際評議員が英語にも堪能なため、他の諸宗教対話団体の会議のような、事務局サイドによって「予め筋書きの作られた」会合ではなく、具体的な問題の細部にまで突っ込んだ質疑がなされるなど、終始激しい議論が展開された。
神徳館国際会議場で開催されたIARF国際評議員会 |
国際評議員会では、ティーゲル財務理事からの会計報告をはじめ、昨年、長期独裁政権の続いていた北アフリカのアラブ社会に劇的な変革をもたらせた新しいSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)社会に適合させるため、現在再構築中の新ウェブサイトの機能の説明が行われた。さらに、現在、インドで実施されている人権教育プログラムや、イスラエル・パレスチナ人間の信頼醸成プログラム、あるいは、ジュネーブの国連欧州本部の人権理事会で検討されている人権に関する「UPR(普遍的定期的見直し)」等への取り組みの評価が行われ、昨年、設置された6つの常設委員会の機能の再定義と4つの常設委員会への整理統合と、新たにチャプター交流を実施する学習部会が組織されることとなった。
この日の夕食は、JLC(IARF日本連絡協議会)の主催による歓迎晩餐会が、市内のインド料理レストランで開催され、インドからの4人の参加者たちも、母国を遠く離れた日本で思いがけない本格的な郷土の味に舌鼓を打った。今回の国際評議員会には、宗教上の理由で厳格な食事制限のあるユダヤ教徒が2名いるため、料理の材料や調理方法には大変気を遣い、毎日会場で配布される昼食弁当も、宗教別に4種類作り分けて準備したほどである。また、上本町にある宿泊先ホテルと泉尾教会ならびに夕食会場間の送迎は、すべて泉尾教会の提供したマイクロバスで行われ、午前と午後のコーヒーブレイクの接待も婦人会の皆さんによって行われた。
JLC主催の歓迎晩餐会 |
19日も、朝9時から神徳館で国際評議員会が開催され、全体会議として、前日に積み残された4つの常設委員会のメンバーの人選作業を行った後、各分科会に分かれて、それぞれの委員会の委員長の選任や活動目標設定等について煮詰まった議論を行い、その結果を全体会議に報告した。
さらには、2012年度の予算(約11万ドル)の審議と修正後の承認、さらには、2014年に開催が予定されている第34回世界大会の開催地選びの実務作業が行われた。ここでは、次期世界大会候補地に名乗りを上げたイスラエルと、もし、戦争・テロ等のなんらかの理由でイスラエルで開催できなかった場合の代替地ロンドン案について検討したが、イスラエル選出の評議員ヤフーダ・ストロフ博士の提案した世界大会原案は、全体予算が約24万ドルと、IARFの年間予算の2倍以上もあって、到底実現不可能なこと。また、地元の大会準備事務局設定のため3万ドル以上も要求(註:IARFの通常年間業務を行っている英国人フルタイムスタッフの年報より高い)しているため、「地元の自助努力がまったくなされていない」との批判が、一昨年、多くの地元関係者の協力によって世界大会が実施されたインド人評議員たちから寄せられた。
新緑の映える泉光園の境内を楽しんだIARF国際評議員一行 |
その上、IARFの現存メンバーが居るインド・バングラデシュ・パキスタン・アフガニスタン等のイスラム教徒のイスラエル入国上の問題(註:多くのイスラム教諸国とイスラエルは国交がないので、ビザ取得が難しい)や、イスラエルによって抑圧されているパレスチナ人参加者のヨルダン川西岸地域からエルサレムへの越境の困難等の問題についても、欧州の評議員たちから多くの懸念が寄せられた。
このような諸問題もあり、2年後の世界大会のイスラエル開催も危ぶまれるところであるが、IARFの国際評議員として長年の経歴を有し、評議員退任後も国際事務局の業務を実質的に掌管し、また、3日間におよぶ執行理事会ならびに国際評議員会の期間中、ずっと議長の同時通訳を行っていた三宅善信総長と他2名の国際役員が、9月以後、イスラエルの大会開催予定地の設備や地元の受け入れ体制を視察に行くことを決して、2日間におよぶ国際評議員会が閉会した。
三宅光雄会長主催の晩餐会 |
なお、この日の夕食は会長の招待晩餐会ということで、名残の桜が映る大阪城天守閣のよく見える日本料理レストランに、海外からの参加者の皆さんを三宅光雄会長が招待して実施された。