三宅歳雄師を偲んで(各界から寄せられたメッセージ)  
(順不同・敬称略)


■三宅歳雄先生の想い出

学校法人 清風学園 理事長・校長
学校法人 清風南海学園 理事長
平岡英信

三宅歳雄先生は、私の父である平岡宕峯が心から信頼し、尊敬する宗教者でした。

ある時、私は父宕峯から、「宗教界で宗派にとらわれず、国際的に活躍されている三宅歳雄先生という立派な宗教家がおられるので、お前も先生にいろいろとご指導してもらいなさい」と言われ、大阪国際宗教同志会に入会することになりました。

入会して驚いたことは、三宅歳雄先生のお人柄もさることながら、その人脈の広さでした。

既存の仏教界はもちろんのこと、神道、キリスト教、新宗教、さまざまな宗教界のリーダーの先生方がこの会を舞台として活躍しておられました。

また、三宅歳雄先生はたくさんの政治家の方とも広くお付き合いをされていました。先生は「現実世界の問題の解決に宗教家が役立つべきである」という信念をお持ちでした。そして、世界宗教者平和会議にも日本代表として出席されていました。

この会議では、バチカンをはじめ、アメリカ、韓国、スリランカなど、世界中を奔走され、世界の多くの宗教者のリーダーと交わりつつ、世界平和の実現のために活躍されていました。その活動力と実行力たるや、ただただ頭が下がるばかりでありました。

日韓宗教者協議会で韓国と深い交流を持つことになり、隔年毎に両国で宗教者協議会を開催することになりました。日韓の間には非常に難しい問題もありましたが、先生は非常に静かに、そして、穏やかに韓国側と親しく会議を実行されました。難しい問題から逃げることなく、真正面からぶつかって会議を進めていかれました。宗教宗派を超えて、心に平和と救いを与えることこそが宗教者の使命であると、困難な課題にも全力投球されていました。

父宕峯がいつも言っていたことですが、「続けることが大切で、一時的には誰でもできる。しかし、続けることは容易(たやす)いことではない」これこそが、まさに、三宅歳雄先生の生き方でした。根気よく、ただひたすら誠実に課題に取り組み、さまざまな困難を乗り越えてこられました。

昨今の世界が抱える問題を見渡すとき、「宗教家の果たすべき役割とは何か?」を考えざるをえません。私は、縁あって、ダライ・ラマ14世猊下をはじめ、チベット仏教の多くの僧侶の方々と、二十数年来のお付き合いをさせていただいております。彼らは、中国との間にとても困難な政治的問題を抱えながらも、決して暴力に訴えることなく、対話を試み、信頼関係を構築しようとしています。そして、その一貫した姿勢が、世界各国の多くの人々の共感を生み、支援の輪が広がっています。

現代世界の最も救いを必要とする場所へ出向き、そこに住む人々と痛みを共有することこそ、宗教家の使命と言えるのではないでしょうか。三宅歳雄先生は、日本の宗教家の中で、誰よりも早くからこの使命を行動に移された方でした。

大阪国際宗教同志会は、今日まで活動を着実に続けてこられました。本家の京都で産声を上げた国際宗教同志会は、会員の皆様が老齢になられて次第に活動も鈍りがちでしたが、幸いにして大阪国際宗教同志会は、お孫様の光雄先生と善信先生が歳雄先生のその意志を継いで立派に継続されています。そして、今日では、本家の京都国際宗教同志会が大阪国際宗教同志会に合併して、さらに充実した内容の活動ができるようになりました。

光雄先生、善信先生の活躍ぶりは見事なもので、そのエネルギーたるや、ある意味では、お爺様以上のものがあります。本当に心強く思われます。歳雄先生の御霊も安心して見守っておられるにちがいありません。


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