WFM(世界連邦運動)理事長
宗教指導者サミット2010事務総長
ジェームス・クリスティ
世界連邦運動理事長
クリスティ博士 |
本日、ご臨席のご来賓、諸先生そして友人の皆様。
三宅歳雄先生十年祭に際し、三宅歳雄先生の偉業について一言申し上げる特別な機会を与えていただき、非常に光栄に存じます。世界連邦運動/グローバル政策研究所のキース・ベスト事務総長ならびにビル・ペイス執行理事、そして前カナダ国外務大臣で、世界連邦運動名誉会長、またウイニペグ大学総長であり、G8宗教指導者サミット2010の主催者であるロイド・アクスワーシー博士より、皆様に対し丁重なるご挨拶を預かってまいりましたことを、まず最初にご報告申し上げます。
今日、ここにおられる方々は皆、故三宅歳雄先生の輝かしいご生涯について、良くご存じのことと存じます。私は、故三宅歳雄先生の比類なき偉業や多くの貢献を知る多くの人々の1人であり、また、多少とも故三宅歳雄先生のご指導のもと、同先生と共に働く機会を得ることができた非常に光栄な1人であると自負しております。
1990年代初頭、世界連邦運動(WFM)の国際理事会において『宗教と平和に関する委員会』が、まだ他の理事たちからあまり支持もされず、また、具体的な成果も出せていなかった頃、三宅歳雄先生とノルウェイ国教会のエルダール主教と私は、もともと世俗の平和運動であった世界連邦運動の目的が、世界の宗教界の考え方とある程度の調和を保つようにするべきであるということで一致いたしました。私は、この委員会に携わるようになって、私からすれば、はるかに偉いお2人の先生方と一緒に仕事をするという特別の栄誉を頂きました。また、私が初めて三宅歳雄先生に知己を得たのは、1987年にフィラデルフィアで開催された第20回WFM世界大会の折で、世界連邦運動の分野では、大変有名な先生にお目にかかれて、非常に嬉しく思いました。
もちろん、私は、三宅歳雄先生のご活躍を、WFMそしてWCRP(世界宗教者平和会議)という2つの活動を通して存じておりました。三宅歳雄先生が1970年にWCRPを設立されたという先駆者としての偉業は、皆様も良くご存じのことと存じます。さらに驚嘆すべきは、WFMが目標として採用した地球政府というビジョンに多大なる貢献をされたことであります。
三宅歳雄先生は、恐ろしい世界大戦と広島・長崎の惨状から僅か7年しか経っていない1952年に、WFMの前身であるWAWF(世界連邦世界協会)のアジア会議を、焦土と化した敗戦国の日本に招致されましたが、そのことがどれほどの勇気と先見の明が必要であったか、皆様、想像できますでしょうか? 翌1953年、当時、敗戦国の日本人の海外渡航が大変厳しく制約されている時代でありましたが、三宅歳雄先生は自ら欧米に渡航され、コペンハーゲンで開催された第5回WAWF世界大会に、日本代表として参加されました。
これを皮切りに、1980年にはWAWF理事長に就任し、チェンナイに世界連邦アジアセンター(WAC)を設立し、ここから、活躍めざましいアジア青年センター(AYC)が生まれたのであります。この2つの団体の物心両面のご支援と運営は、三宅家の次の世代、つまり三宅歳雄先生のご長男である故三宅龍雄先生、そしてお孫さんである光雄師に継承されているのであります。
故三宅歳雄先生の世界平和構築と維持に対するご遺志は、光雄先生そして善信先生、そして故三宅歳雄先生が1927年に布教された金光教泉尾教会の活動にしっかりと継承されているのであります。2007年、ドイツのケルンで開催されたG8宗教指導者サミット以来、三宅家は毎年開催されるG8宗教指導者サミットという全く新しい試みであり、ビジョンである活動において、極めて重要な役目を果たされているのであります。2008年6月、故三宅歳雄先生のお孫さんである光雄先生、善信先生は、大阪と京都で開催されたG8宗教指導者サミットを企画され、見事に運営されたのであります。
私は、善信先生が今年6月にイタリアで開催されたG8宗教指導者サミットに参加されたのに引き続き、三宅ご兄弟が来年6月カナダのウイニペグで開催される2010年G8宗教指導者サミットのフル・パートナー(共同主催者)になられたことを皆様に発表できますことを、心より嬉しくかつ光栄に存じます。
三宅歳雄先生のかくも輝かしい一生、かくも偉大なるご遺志…。ご来賓そして友人の皆様、私は12世紀のフランスの偉大な神学者、クレルヴォーの聖ベルナールの言葉を想い出すのであります。
彼は、「われわれは巨人の肩に立つ小人のようなもの。だから巨人よりより多くのモノ、より遠くもモノが見えるのである。しかし、それはわれわれ(小人)が巨人より視力が良いからでなく、巨人の肩に乗せてもらっているからだ。つまり、われわれの先見性はわれわれの先達、偉人のお陰である」と言いました。
故三宅歳雄先生はかくも偉大なる方でありました。われわれが、今日、共に、故三宅歳雄先生の栄を称えることは、誠に相応しいと思うのであります。
(原文は英文)
(代読:カレン・ハミルトン博士)