先代恩師親先生は、昭和2年1月24日、24歳の若さで泉尾の地に布教されて以来、96歳の天寿を全うされるまでの72年半もの長きにわたり、自らを一求道者として、数々の難儀を抱えて参拝する信奉者と共に歩まれました。
恩師親先生は、終始「人が助かりさえすればよし」のご念願のもとに、戦前戦中戦後を通じて、人々の暮らし向きの立ちゆきを願い通されました。そのようなお働きは、昭和25年の聖地泉光園建設、さらには、43年の現会堂「拝める宮」の落成と、次々と目に見えるおかげとして現れてきました。
さらに、「全人類の幸福、世界真の平和達成」に願いを込められて、世界の諸宗教の指導者と相互理解を通じた協力体制を構築され、また、各国の難民や生活に困窮する人々にも救いの手を差し伸べるための活動に邁進(まいしん)されました。そのことは、生涯を通じて、百回を超す「御神願外遊」をなさったことからも広く知られております。
そのような偉大な足跡を残された先代恩師親先生が、平成11年8月31日にご帰幽なされて以来、恩師親先生の御跡を受けて、身体の弱い、信心も修行も不十分な私が、教会長の御用をかつがつながらにも仕えさせていただき、こうして本日、御布教七十五年記念大祭の佳節をお迎えすることができましたことは、ひとえに恩師の君の御徳の賜(たまもの)であると思っております。
夢と希望に満ちていたはずの21世紀を迎えましたにもかかわらず、日本では出口の見えない不況が続き、人心はいよいよ荒廃し、これまでには考えられなかったような事件が続出しております。また、世界では新たな戦争の時代に突入し、文明間の争いは、いよいよ苛烈を極めてまいりました。このような時代状況は、先代恩師親先生がご布教の第一歩を記された昭和2年と数多くの共通点があります。
この時期に、御布教七十五年記念大祭を迎える意味は大きいと思います。ご参拝の皆様方も、今一度、恩師親先生が何を私たちに願われておられるかに想いを寄せていただき、本日の記念大祭を「師願継承」の出発点としていただければ、ありがたいことかと存じます。