12月7日(現地時間=日本時間では8日未明)、米国太平洋艦隊司令部のあるハワイ真珠湾(パールハーバー)基地において、日米開戦60周年記念犠牲者追悼慰霊式典が、米軍主催で開催され、日本からも宗教者が招かれた。また、それに先立つ5日には、去る2月に米原子力潜水艦と衝突、沈没させられた実習船えひめ丸の慰霊祭がホノルル沖の洋上で行われた。泉尾教会からは、三宅善信執行が参列した。
12月5日午後、ホノルル沖9マイル(約15キロ)の洋上において、世界連邦日本宗教委員会(池田瑩輝委員長)主催の「えひめ丸犠牲者追悼慰霊祭」が仕えられた。当日の海は、前日からの嵐の影響で大荒れ。小型のチャーター船は、波間に浮かぶ木の葉のように翻弄され、甲板にまで大波が被さった。慰霊祭参加者は皆、ずぶ濡れになり、2月10日に起きた米海軍原子力潜水艦の浮上訓練による愛媛県立宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」沈没事件現場の恐ろしさを実感することができた。
金光教の祈りを行う三宅善信師
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6日午前中には、パールハーバー(真珠湾)基地内と戦艦アリゾナ上において、世界連邦日本宗教委員会主催の第20回真珠湾犠牲者慰霊祭が行われた。9月11日の同時多発テロ事件以来、「戦争」状態に入っているアメリカの軍関連施設内で行われるということもあって、厳重な警戒態勢が取られる中での異様な雰囲気での慰霊祭実施となった。
戦艦アリゾナ沈没場所を見渡せるテラスにおいて、第20回ハワイ平和使節団の慰霊祭が行われた。祭事は、まず神社神道代表)石清水八幡宮、地元ハワイの金比羅神社・出雲大社・ハワイ大神宮他)の神職たちによる修祓と大祓詞が行われ、ついで教派神道代表として泉尾教会から三宅善信執行が神徳賛詞や霊前拝詞を奉唱した。さらに、新宗教を代表して立正佼成会の松原通雄渉外部長らが法華経を唱え、伝統仏教を代表して池田瑩輝真言宗中山寺派元管長の導師による高野山真言宗・智山派・豊山派・川崎大師・神護寺代表らによる般若心経の読経、最後にカトリック教会の野下千年神父による祈りが行われた。
戦艦アリゾナ記念館内の墓標の前で祈る
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この後、帝国海軍の攻撃で撃沈された戦艦アリゾナの上に建てられた「アリゾナ記念館」にボートで渡り、戦艦アリゾナと命運を共にした1177名の名前が刻まれた米海軍将兵の墓標の前で、それぞれ追悼の祈りを行った。真珠湾基地に戻ってきた退役軍人たちは、かつての「敵」であった日本人の宗教者が、今ではこうして、敵味方の恩讐を超えて祈ってくれていることに素直に感謝の意を表す者が多かった。
この日の夕方には、宿舎であるシェラトン・ワイキキホテルで、地元ハワイの日系宗教者と平和使節団との間で約30人の出席者で懇談会が持たれた。日本側からは、特に、六十年前の真珠湾攻撃を連想させるテロ事件以来の「反日」報道が、ハワイにおける日系宗教にどのような悪影響を与えているか等について意見が出され、ハワイの宗教者側からは、パンチボウル(国立太平洋戦争記念墓地)やアリゾナ記念館における日本人観光客のマナーがあまりにも酷すぎる旨、の報告があった。
米軍の式典に参加した三宅善信師
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翌7日の朝、太平洋戦争が始まった日と同じ時刻に、米軍主催の「真珠湾攻撃60周年記念式典」が始まった。テロを警戒する米軍による厳重な警備にも関わらず、パールハーバー基地内の式典会場には、立錐の余地もないくらいに関係者が集まり、テレビ局のカメラも多数取材に集まっていた。全米50州の旗が風に舞う会場には、司会の合図で、陸海空軍および海兵隊の四軍の旗が入場し、アメリカ国歌『星条旗』が斉唱されて式典が開始された。日本平和使節団の名誉団長である池田瑩輝が紹介されて、平和の祈りを行った。