6月14日(土)、明治神宮の社務所(東京都渋谷区)において開催された「神道時事問題研究会」主催(東京都神社庁協賛)のシンポジウム『宗教間対話、神社界からの呼びかけ』に、泉尾教会の三宅善信執行がパネリストのひとりとして出演し、大いに議論が盛り上がった。
明治神宮で開催されたシンポには
大勢の参加者が訪れた
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田中安比呂明治神宮権宮司の歓迎挨拶に続き、シンポジウムは、医師で新宿花園神社宮司の片山文彦師の司会進行で始まった。まず、明治神宮の間島誉史秀教学センター長が、国際都市東京の真ん中にあり、外国人の参詣者も多い「国際諸文化交流」の場としての明治神宮の持つ日本の伝統文化の表現者としての機能を強調した。
次ぎに、18歳で単身イスラエルに渡り、10年間現地でユダヤ人と共に生活した経験を持つシモン中村奥羽大学講師が、日本人にはほとんど馴染みのない「生活宗教」であるユダヤ教徒の暮らしぶりを紹介し、国家と宗教の関係について、示唆に富んだ発言を行った。
続いて、諸宗教間対話については圧倒的な実績を持つ泉尾教会から参加した三宅善信執行が、「諸宗教間対話は不可能である」という、シンポジウムの主旨をある意味で否定するようなショッキングな主張を展開した。善信師は、「たとえ、両者の間でそれなりの『話し合い』が行われたとしても、基本的な価値観を共有しない者同士が『理解し合えた』と思っているのは、単なる『勘違い』に過ぎない」ことを、誰にでも分かり易い実例を挙げて論証し、真の対話を可能にするためには、「グローバル経済の世界における『変換装置としてのマネー』のごとき『共通言語』のシステムを構築する以外には解決方法がない」として、新しい方法論を提起し、注目を集めた。
三宅善信師のラディカルな主張で
大いに盛り上がった
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最後に、名古屋商科大学講師の三輪隆裕日吉神社宮司が、善信師の発言を補足して、「先代泉尾教会長(故三宅歳雄師)が深く関わったIARF(国際自由宗教連盟)やWCRP(世界宗教者平和会議)という国際的諸宗教対話機関の実例を紹介しつつ、原理主義者が跋扈するための土壌となる経済的不均衡や人権抑圧をはじめとする『世俗の問題』の解決こそ重要である」と主張した。
他の宗教関係シンポジウムでは決して聞くことのできないような大胆なパネリスト諸師の発言と、シンポの論旨の思わぬラディカルな展開に、会場は大いに盛り上がり、フロアからも次々と質問や意見も表明され、近年にない充実したシンポジウムであった。