・・ 2009年 新春メッセージ ・・

『今、宗教者に求められるもの』(順不同 敬称略)

■世界を導く一筋の道として
  第256世天台座主
                     半田孝淳

新年明けましておめでとうございます。皆様にはめでたく初春をお迎えのこととお慶び申し上げます。

金光教泉尾教会様には、三宅光雄教会長をはじめとし、世界平和実現、人類和合実現のため、ご尽力されますこと真に有り難く、また私どもの比叡山宗教サミットなどの活動にご支援いただきますことを心より感謝いたしております。

このような私たちの願いにも関わらず、世界の情勢は一向に改善の兆しを見せようとしません。行き過ぎた投機的経済は、アメリカを震源とした金融不安をきっかけとして世界同時不況を引き起こしております。

また、各地でのテロ事件なども頻発し、無辜(むこ)の市民を巻き込み続けております。世界人口も2050年には92億に増加する予測のある中で、食糧や水の供給の不均衡も改善されず、飽食の一方では飢えていのちを落とす子供や老人が多数おります。

わが宗祖伝教大師は「悪事を己に向かえ 好事は他に与え 己を忘れて他を利するは 慈悲の極みなり」と諭(さと)されました。このお言葉は、私たち天台宗僧侶の行動基盤でありますし、また、現代社会を生きる人々にとりましては、「我先にと思う心」「自分たちさえ良ければ」という考えの中に、真の平安は無いことを教えてくださるお言葉でもあります。

天台宗では、このご精神こそが、更なる困難を迎えようとする世界を導く一筋の道と心得まして、この敷衍(ふえん)に不断の精進を重ねたく存じておりますので、泉尾教会様におかれましても、旧に倍するご厚誼とご支援・ご教導をお願いいたしたいと思います。
末尾になりましたが、金光教泉尾教会様のいよいよのご隆昌と皆様のご多幸をご祈念申し上げ、年頭のご挨拶といたします。


■オバマ大統領の出現によって

和宗総本山四天王寺管長
出口順得

平成21年の新春を平和に迎え、謹んでお慶び申上げます。

昨年11月5日、アメリカ初の黒人大統領オバマ氏が選出されました。思えば、19・20世紀は白人の世紀であったといえるでしょう。アジア・アフリカでの独立国は日本とタイだけで、すべて西欧の植民地でありました。

第2次世界大戦後の推移で、アジア・アフリカの植民地は全部独立国となりましたが、アメリカの黒人には選挙権がありませんでした。キング牧師などの努力により、黒人は選挙権を獲得しましたが、まさか黒人の大統領が出現するとは誰が予測できたでしょうか。アメリカの大統領は世界の大統領のトップです。ここに至って初めて人種差別が世界中からなくなったと言えるでしょう。

しかも、オバマ氏は「人種や宗教の差別無く、アメリカは一つだ。敵国とも話し合いをする」と述べました。これは聖徳太子の精神と全く一致するものであります。聖徳太子は十七条憲法の第一条に「和を以て貴しと為し(中略)事を論ずるに諧(かな)わば、則ち事理自(おのづか)ら通ず、何事か成らざらん」と教えられています。

私はこのオバマ氏の出現によって、聖徳太子の和の精神の世界平和実現への曙光を見る思いがいたします。

金光教のご信徒の皆様方にも希望に満ちた年であります様にお祈りする次第です。


■安穏を

本山修験宗 管長
聖護院門跡 門主
宮城泰年

多くの仏教者は、日本国民とアジア諸国民に取り返しのつかない不幸をもたらした戦争に深い反省の念をもち、反戦平和の誓いを表明し、憲法に示された平和の精神を希求し続けてきた。その根底にあるものは「殺さない、殺さしめない」仏の教えでありました。

ところが、現実にはどうでありましょう。教えに従って慈悲を説き、愛を語り、理想の大幡を掲げながら、戦争を容認する企業家や政治勢力に親近し、相互に利用している宗教家が居ないと言い切れるでしょうか。平和のために声を上げ、行動をする人たちに背を向けてはいないでしょうか。

金光教泉尾教会の活動を手本とし、争いなく不幸を招かない安穏の世界を求め、二律背反のない生き方こそ大事と、正月を迎えるに当たって申し述べます。


■「よみ」「かき」が特に大事

   融通念佛宗管長
倍巖良舜

平成21年の新春にあたり、貴教会が宗教界のために、世界平和実現のために格段のご努力をなし下さっていることに心から感謝をいたしております。

しかるに、世相はますます悪化し、犯罪も凶悪化して参りました。これを即効的に直す手段はありません。教育によって時間をかけて正してゆくべきです。江戸時代の寺子屋教育の「よみ」「かき」が特に大事なのです。その中に道徳や宗教的情操も含まれているのです。

国語力の不足が情緒を不安定にしています。感情をおさえる力が乏しくなり、人とのつきあいがうまくいかない、これは心の耐久力が低下しているのです。「よみ」「かき」の「よみ」は、相手の心をよむ「よみ」も含まれているのです。ゆっくりと時間をかけて正していかねばなりません。


感謝のこころを大切に

賀茂別雷神社(上賀茂神社) 宮司
田中安比呂

古来より私たち神道人は「敬神崇祖」の念を以(もっ)て日々の奉仕に勤めておりますが、近年その「敬神」の欠如により「崇祖」をも希薄にさせていると感じております。私たちには、両親に至るまで、祖先の存在があってこそ現在生かされているのであり、その祖先を崇(あが)めると共に、私たちと祖先にご加護を頂く神仏を敬う感謝のこころを認識しなければなりません。

この「こころ」が失われているが故に、われわれの常識を逸脱する事件が起こっているのが現状です。鎌倉時代の基本法である『御成敗式目』の第一条に「神社を修理し祭祀を専(もっぱら)にすべき事」とあり、「神は人の敬に依りて威を増し、人は神の徳に依りて運を添ふ」と理由が続けられていることからも、当時の人は敬神の念を充分理解されていたと考えます。

このような時代ならばこそ、神仏と祖先に対する「感謝のこころ」の意味を多くの方に説き、それを習慣として定着させることがわれわれ神道人に課せられた使命でもあると存じております。


■初心に戻って感謝いっぱいに

  妙智會教団会長
宮本丈靖

昨年は宗教者の立場から地球の未来を考える『G8宗教指導者サミット』の開催に中心的立場でご尽力され、見事な成果をあげられましたこと、心より敬服いたします。

また、本年は3月に先代教会長・三宅龍雄先生の「三年祭」、8月には初代教会長・三宅歳雄先生の「十年祭」を挙行されるとお聞きし、誠に歳月の過ぎる早さに驚くとともに、両師のご遺徳を偲び、感謝を新たにしております。

さて私ども妙智會教団も、昨年は諸先生の多大なるお力添えを頂き、無事に『子どものための宗教者ネットワーク』第3回フォーラムを開催させていただくことができました。そして、明年・平成二十二年10月には、開教六十周年を迎えさせていただきます。

60年を人生になぞらえれば『還暦』となりますが、その『還暦』とは干支が一巡することから再び出発点に戻ることを意味すると言われております。そこで私は本年の教団の修業指針を「初心忘れず開教六十周年に向かって躍進せよ」としました。

「初心忘るべからず」とは、室町時代の能役者・世阿弥の言葉で、いまも日常会話にしばしば登場しますが、そこに込められた「習い初めの頃の謙虚で真剣な気持ちを忘れてはならない」という厳しい戒めまでは、なかなか正しく伝わっていないようです。

私たち宗教者が忘れてはならない初心といえば、まさに初めて教えに触れた時の「ありがたい」という感謝の念に違いありません。私はつねづね「感謝を生み出す源は、素直な心である」と説いておりますが、人は誰でも素直な心になれば、自ずと我欲がとれて感謝の心が起こるものと信じております。

昨年一年間、世間を騒がせた数々の社会不安も、元を正せば我欲に他なりません。そういった意味でも、いまこそ初心に戻って素直な心で、我欲をとって、感謝いっぱいに毎日を過ごす大切さを伝え広めてまいりたいと思っております。


■お土の心をもって

大本第五代教主
出口 紅

謹んで平成二十一年己丑(つちのとうし)の新春のごあいさつを申し上げます。

世界は今、自然災害の頻発、飢餓と病、テロや紛争、核の危機、生命軽視の風潮、食糧危機、金融危機など、大きな世の変わり目を迎えています。それと同時に、政治や経済、社会の行き詰まりも深刻です。その根本には、天地のご恩、 人の恩を忘れたところに原因があるように思われてなりません。地球規模の危機が迫る今日、お金や物中心の世界から、人の心を中心とした世界へと、私たちは神様から大きな方向転換を求められているのではないでしょうか。

大本開祖出口直は、明治二十五年の開教当時より、お土の尊さを説き、「お土があるから皆が生きていられるのじゃ。100万円の金よりも一握りのお土の方が、どれほど大切かわからぬ。金は世の淪亡(ほろび)の基じゃ。世界中の人にこれが分かってきたら、この世がみろくの世(地上天国)になる」と諭しています。無限のいのちを育み、すべてを抱擁する「お土の心」をもって、人の和を大切に実践行動することにより、希望ある明るい温かい世の中になるよう、新たな年を皆さまとともに精一杯励ませていただきたいと存じます。


■一人ひとりの想いが世界を創っている

白光真宏会会長
西園寺昌美

金光教泉尾教会の皆様、新年のお慶びを申し上げます。

世界を見渡すと、モラルの低下や金融システムの崩壊など、さまざまな問題があります。そしてその奥には「人生はよくならない」、「指導者が変わらなければ、世界は変わらない」という固定観念(無意識の集団心理)が根づいているように思います。

しかし、世界の問題は、こうした人類の固定観念より生み出されたものであります。

今、われわれ宗教者がなすべきこととは「人類一人ひとりの想いがこの世界を創っている」という事実と「固定観念に塗り固められた世界から一人ひとりが飛翔しなければ、世界は平和にならない」ということを人類に知らせ、そのために祈ることではないでしょうか。

真の祈りは、まず、われわれ自身を古い固定観念から飛翔させ、全く新しい価値観へと誘(いざな)います。そして同時に、その新しい価値観を人類一人ひとりが受け入れるための土壌を築き上げてゆくのです。

今年も皆様と共に、新たなる希望の道を歩ませていただけることに、深く感謝いたしております。


■「感謝」と「慎み」の心を世の中へ

天理教表統領
飯降政彦

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

いま、世界が直面している大きな問題の一つに、環境問題があります。とりわけ、地球温暖化は、われわれの暮らしに深く関わる問題です。この対策をめぐっては、国益が優先される政治の世界で新たな緊張を生み出し、紛争に発展する可能性さえ潜んでいることが広く認識されるようになっており、私たち宗教者が、宗教の普遍的価値に基づく別の観点から行う提言の必要性を一層痛感しています。

天理教では“この世は神のからだ”と教えられています。この世界観に立って地球環境に対するとき、神からの与えを喜び尊ぶ感謝の心が芽生え、さらに、絶えず自らの行動を省み、慎みをもって生きるようになります。法による規制や節約の奨励、リサイクル運動の推進にとどまらず、この「感謝」と「慎み」の心をもった生き方を社会に反映していけるよう、本年も努めたいと思います。

そのことが、環境問題の解決につながるだけでなく、私共が目指している「陽気ぐらし」世界実現という究極の目標につながっていくと信じています。


■心の安らぐ家庭を増やすこと

念法眞教教務総長
桶屋良祐
一連のアメリカ発の金融恐慌が、日本経済にも重大な影響を与え始めています。契約社員が突然解雇を通告され、途方に暮れる姿に胸が痛みます。

こうした不景気が、日本人の心に影響を及ぼさないかと危惧しています。職を失うと、人はイライラしがちで、家庭の雰囲気も悪くなるからです。

また、家計を支えるべく、共働きも増えるでしょう。すると、親が子供たちに愛情を十分注ぐ時間がなくなる家庭も出てくるのでは? 昨年拝聴した講演で、「少年院に入所している子は、幼児期に親の愛に飢えていた」と伺いました。

家庭を舞台にした事件や無差別殺人などの犯人に、親から愛情が十分に注がれていたら、違った人生を歩んでいたのではないかと推察します。

心の安らぐ家庭を増やすことが、より一層、求められているのではないでしょうか。昨年はどのようなことがあったにせよ、家族みんなで仲よく新春を迎えたいものです。


■宗教界のご助言が必要

自由民主党 政務調査会長
保利耕輔

新年明けましておめでとうございます。

三宅教会長を始めとする金光教泉尾教会の皆様方は、宗教による心の平安だけにとどまらず、教育、文化、環境、社会福祉、国際平和活動をはじめ、多岐にわたる分野で非常に重要な役割を果たされてまいりました。

特に昨年、関西で開催されたG8宗教指導者サミットにおきましては、三宅光雄教会長、三宅善信総長をはじめとする泉尾教会の皆さまの献身的な貢献があったとお聞きしております。

残念なことに、深刻な社会問題がしばしば報道されて、世相を暗くしています。
私ども政治家を含めて多くの方がたがこれらの問題の解決のために懸命に努力しておりますが、そのためには宗教界を担う皆様方の叡智によるご助言、ご指導、ご協力が是非とも必要だと考えております。

また、宗教および宗教的行事を通じて育まれるすなおな信仰心や生命の尊重、自然に対する畏敬の念、他者への感謝や慈愛の気持ちによって、私たち一人一人が真に豊かな人生を歩めるのではないでしょうか。

皆様におかれましては、平素の宗教および社会活動に対して深甚なる敬意を表するとともに、今後のご健勝、ご活躍を心よりご期待申し上げ、お祝いの言葉とさせていただきます。


世界平和建設のため

民主党 幹事長
衆議院議員
鳩山由紀夫

貴教会の創立者三宅歳雄先生は、1970年に創立された世界宗教者平和会議(WCRP)の中心的な役割を果たされ、その後も貴教会がその遺志を守り、世界の平和のためにご活躍されていることは、常々、敬服しているところであります。

とくに、平成20年7月には、北海道・洞爺湖で開かれたG8サミットに向けて「平和のために提言する宗教者会議」がもたれ、その会議においても貴教会が重要なお働きをされ、また、大阪と京都でも、貴教会が中心となって、同主旨の会議をもたれたことは、衆知のことであります。

今後とも、平和世界建設のため、貴教会が宗教活動を基盤とした諸活動に邁進(まいしん)されますよう、心から祈念しております。


■大阪が再び輝きを取り戻すために

大阪府知事
橋下 徹

金光教泉尾教会の皆様、新年明けましておめでとうございます。

皆様には、日ごろから大阪府政の推進にお力添えをいただき、厚くお礼を申し上げます。

さて、近年、夢を持っている子どもの割合が大きく減りつつあります。大阪が再び輝きを取り戻すためには、将来を担う子どもたちが自分の夢に向かって、勉強やスポーツに積極的に取り組み、夢を実現できるような社会を築いていかなければなりません。

このような中、心の豊かさを大切にしながら、人々の幸せづくりのため様々な活動に取り組んでおられる皆様への期待は誠に大きなものがございます。皆様には、今後とも地域における教育や子育てへの支援をはじめ、大阪府政の推進に一層のお力添えをお願い申し上げます。

結びに、金光教泉尾教会の今後ますますのご発展と、皆様のご健勝、ご多幸を心からお祈りいたします。


■ いちばん住みたいまちへ

大阪市長
平松邦夫

あけましておめでとうございます。

皆様方には、お健やかに新春をお迎えのことと心からお喜び申しあげます。

近年、国の内外を問わず、人々を不安に陥れ、生命や財産を脅かす事件や事故、紛争や災害が相次いで発生し、国際社会の平和と安定は大きな危機に直面しております。

こうした中、人々が恒久平和を希求し、相互に理解を深め、尊重しあい、心豊かに生きられるよう、宗教者が果たされる役割は誠に大きく、三宅光雄教会長のもと、金光教泉尾教会の皆様方の一層のご活躍を期待申しあげます。

大阪市では、「大都市、そしていちばん住みたいまちへ」をキーワードに、だれもが安全に安心していきいきと暮らせる「元気な大阪」の実現をめざしており、今後とも皆様方のお力添えを賜りますようお願い申しあげます。

金光教泉尾教会のますますのご発展と、皆様方のご健勝、ご多幸を心からお祈り申しあげまして、ごあいさつといたします。


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