・・ 2015年 新春メッセージ ・・

『今、宗教者に求められるもの』(順不同 敬称略)

■善き行動によってのみ問題の解決ははかれる

第256世天台座主
半田孝淳

平成27年の新春を迎え、皆様方にはお慶びを申し上げます。

天台宗では、平成24年4月から10年間にわたり「祖師先徳鑽仰大法会」を奉修しております。

10年間に及ぶ今回の大法会のテーマは「道心」であります。

それぞれの祖師先徳方に対してご法要を奉修し、報恩謝徳の感謝の意を表させていただくのはもちろんのことでありますが、私たちひとりひとりが、現代社会に祖師先徳方の教えをいかに敷衍(ふえん)していくか真剣に考えることが誠の報恩になるものと存じます。 

混迷する時代にこそ、宗祖、先徳の示されたご精神に立ち返り、一切皆成仏を宗とする法華一乗の浄信を培い、自らを高めるべきでありましょう。

さらにまた、これまで私どもが世界の宗教指導者の皆様と協力して追求してまいりました世界平和実現について思いを致しますとき、世界情勢は誠に憂うべき事態となっております。

フランシスコローマ教皇聖下も「神の名のもとに人を殺すのは神を侮辱するものだ」と中東の「イスラム国」を名乗る過激派を強く非難されました。テロは想像を超えた局面を迎えております。その解決は軍事的な対応だけにゆだねられるのではなく、対話による相互理解によってなされなくては根本的解決には至らないと考えております。伝教大師は「善なくして苦を免がるる、この處あることなし」と申されております。

善き行動によってのみ問題の解決ははかられると信じます。神仏のご加護を念じつつ一日も早い世界平和の訪れを願うものであります。


■信仰により心の幸せを

高野山真言宗 管長
中西啓寶

金光教泉尾教会のご信者の皆さま、明けましておめでとうございます

親先生のみ教えを本として、常盤木のごとき信心をもって、皆さまのお幸とご健康をお祈り申上げます。

近年の青少年の方は、自身「無信心」と云ってますが、実際は車には交通安全のお札をかけ、入学受験には神社、お寺にお参りして、合格祈願をしてますが、それを自身には信仰と思ってないようですが、それを真の信仰と自覚するようにするのが、宗教家としての指導が不足しているのでないかと思います。人間は誰しも心の不安はあるもので、それは手合わせ合掌して、お祈りすることにより、心の依りどころを得られ、心の満足を得られると思います。

これは宗教家のみならず、それぞれの信者の皆さま等にも、青少年の方に信仰の指導をしていただくことが大切です。お金持ちでも好きなことを自由にできても、何か虚しい気持ちをもつ人もあるでしょう。それは信仰がないからで、反対にまずしい人でも一日を無事にすごした感謝の気持ちがあれば生きる喜びをもって満足の心があります。これは心の安らぎを得た信仰によるものです。


■後世に報恩を繋いで行く

神社本庁 総長
石清水八幡宮 宮司
田中恆清

謹んで新年を賀詞申し上げます。

教会長様、総長様をはじめ皆様におかれましては、日頃から格別のご理解ご協力を頂きますこと、改めまして厚く御礼申し上げますと共に、本年も相変わりませぬご厚情を賜りますようお願い申し上げる次第であります。

さて、本年はわが国が終戦を迎えてより70年の節目の年を迎えます。戦後70年の日本の歩みを追懐するに、今日の発展はまさに奇蹟といって相違なく、めざましいものがあります。

しかしながらそれは、先人の不断の努力の上に立っているものであり、換言するならば、私たちはご先祖様の幾千の想いの上に積み上げられた「おかげ」を受けて生きているのです。

その意味することは、同時に後世に向けて報恩を繋いで行く重責を担っているということでもあります。私たちはどれ程にこのことを意識して日々生きているでしょうか。 「人間はひとりでは生きられない」これは何も世間のことだけを言っているのではありません。過去、現在、そして未来すべての大いなる繋がり、「中今(なかいま)」を意識しての言葉なのです。


■故きを温ねて、新しきを知る

立正佼成会 会長
WCRP日本委員会 会長
庭野日鑛

論語に、「温故知新(故きを温ねて、新しきを知る)」という言葉があります。歴史、伝統的なものを無視しては、いかなる新しい創造もあり得ない、という意味合いでありましょう。

日本の国の礎として、聖徳太子は「和を以て貴しと為す」という言葉を十七条憲法の第一条に掲げられています。

また江戸時代の儒学者・近江聖人と称えられた中江藤樹は、「孝」や「徳」などを説き、「父母の恩徳は天より高く、海より深し」「天下国家のたからは有徳の人に過ぎることなし」と喝破しておられます。

多くの先人が、すでに未来への道を示してくださっている。その道を温習する─戦後70年の節目に、そんな思いを一層強くしています。


■慈悲と共生が宗教の本質

融通念佛宗 管長
総本山大念佛寺 法主
倍巖良舜

平成27年の新春おめでとうございます。貴教会におかれては光雄先生、善信先生が世界をかけめぐり、世界平和を強く訴えていただき、私はいつも敬服と感謝の気持ちを強くいだいております。

世界のほとんどの人は平和を願い、幸福な人生を願っているにちがいありませんが、一部の人の間にイデオロギーのちがいをもとに激しい対立、戦争をくり返しています。 イスラム国という狂気の集団が「神の名のもとに人を殺せ」などと叫んでいます。

自分の命が一番大事だから、他の人の命も大事なのです。他を尊重し、世界にはいろんな考え方があることを容認し、慈悲(じひ)と共生が宗教の本質であり、宗教者は個人的にも組織を通じても強く訴えていかねばなりません。


■元気一杯の一年を

神習教 教主
教派神道連合会 理事長
芳村正徳

謹んで新春のお慶びを申し上げます。

平成26年は御嶽山噴火という非常に大きい災害が発生し沢山の尊い命が失われました。

災害によって亡くなられた皆様のご冥福と被災地の復興を心よりお祈り申し上げます。

身体が縮こまり、前かがみで、頭が下がり、息は浅く、目線が下を向いている。

誰が見ても元気の無いしょぼくれた人を思い浮かべますが、この姿勢をストレス姿勢といいます。

逆に、背筋がピンと張り、肩が開き胸を張り、呼吸が深く、目線が上向きの状態をストレスゼロ姿勢といいます。

こんなふうに誰でもできる簡単なことから自分自身の元気を作り出すことができます。

日々、神仏に祈りを捧げて御守りを頂きながら、自ら作り出した元気でストレスを吹き飛ばし、邪を祓って福を呼び寄せる。

わたしたち一人一人が頑張って平成27年はそんな一年にいたしましょう。


■サマザマな違いの中から理解を生む努力

神道扶桑教 管長
宍野史生

2015年を迎え、お祝い申し上げます。

そして平成27年 皇紀2675年おめでとうございます。

広く世界を見渡すと近隣国では、檀記4348年、中華民国暦104年 イスラム暦1436年 ユダヤ暦5775年と様々です。

それぞれに自国の歴史の発祥などに基づき文化や宗教儀礼に深く関わるものとなっています。本部で節句などの習俗行事は、もともと旧暦(天保暦)で行われていましたので、現代の西暦(グレゴリオ暦)になってからは随分と季節感に違和を感じてしまいます。

かくも文明における暦には重要な役割りがあったのですね。さて暦ですらサマザマな世界の国々は、何もかもサマザマに違うことが常です。私達が人類世界の調和を望むなら、そのサマザマな違いの中から理解を生む努力が最も大切であるのはご高承の通りです。

新しいカレンダーの表紙を「めくり」新年を迎えました。今年こそは何かお役に立てますように…。


■生命の尊厳を何より大事に

日本聖公会 首座主教
植松 誠

新年おめでとうございます。

世界平和に向けての御教団の熱心なお働きに深い敬意を表します。

21世紀のこの時代、世界では今も各地で紛争や内乱があり、また、国々が限られた土地や資源をめぐって争いを繰り返しています。その結果、多くの人々が飢えや貧困、病気、難民生活を強いられています。人間は、歴史からいったい何を学んできたのでしょうか。

国内ではアベノミクスや東京五輪の掛け声の中、経済発展最優先の風潮が渦巻いているように思います。原発再稼働の動きもその中で加速されています。

宗教者である私たちは、世界と国内のこれらの動きに常に関心を持ちつつ、生命の尊厳を何より大事にしていかなくてはと思っています。


■飼い葉桶餌と成りしか神の御子(みこ)

カトリック 大阪大司教
前田万葉

キリストのご降誕と新年のお慶びを申し上げます。

年末年始のあわただしさの中ですが、静かな一時を幼子(おさなご)キリストの馬小屋の前で過ごしてみませんか。「飼い葉桶の幼子キリスト」を想い、「神の愛や私たちの生き方」を見直すことができるでしょう。「与える=生かす=大切にする=寄り添う=仕える」ということを悟るでしょう。

新しい年の「しあわせ」を馬小屋の中に見つけ、仕え合う「仕合わせ」を家庭や社会の中に実現できる良き年となることが出来ますように。そして、「仕合わせ」を求める人たちが育ちますように祈ります。


■自他共に心豊かに生きることのできる社会の実現をめざして

浄土真宗本願寺派 総長
石上智康

謹んで新春のお慶びを申しあげます。

昨今の世情を顧みますと、科学技術や経済の発展により、私たちの生活はいよいよ豊かで便利になりました。しかし、経済優先の陰で、人間の自己中心的な考え方は強くなり、いのちの尊厳を傷つける痛ましい事件が後を絶ちません。さらには、世界では武力や暴力による紛争が絶えない国や地域があとを絶たず、多くの人が貧困や飢餓などで苦しみを抱え、人びとの心の豊かさが失われているように思います。

このような時代であるからこそ、宗教者として、私たちは常に自分自身の生き方を深く見つめ、すべてのいのちは平等であり、さまざまなつながりの中で互いに支え合い、敬い合うことの大切さを示していかなければなりません。

人類のみならず、あらゆるいのちの尊さに気づき、自他共に心豊かに生きることのできる世の実現をめざしてまいりましょう。


■人たすけたら、我が身たすかる

天理教 表統領
上田嘉太郎

宗教離れが言われ、無宗教、無信仰の風潮が強まる昨今ですが、私は、却って無信仰故の悩みや不安、争いが増えているのではないかと思います。

確かな心の拠り所が無ければ、人は欲望の充足や利益の追求に走らざるを得ません。その我が為にする行為が、争いや悩みの因となるのは皮肉であり、必然です。

天理教祖は、「人たすけたら、我が身たすかる」と仰せられますが、自らの幸せを他者の幸せと共に願う生き方を、足元から世界へ広げていくことが、今何よりも求められていると思います。


■「和」の心―世界にはばたけ

曹洞宗審事院 副院長
国際宗教同志会 会長
村山廣甫

金光教泉尾教会の皆さま、新年明けましておめでとうございます。平素より、皆様方には格別の御芳情を賜り、厚く御礼申し上げます。

特に教会長さまは昨年の8月には、英国バーミンガムで、第34回IARF国際自由宗教連盟世界大会を会長・議長として主宰され、また総長様もその実現のためその職責を見事に実践されました。

打って一丸となられた貴教会の世界平和にかける宗教的な情熱に、日本から参加した百余名も、深い感動を覚えたものです。

本年は乙未の年で、小生の当たり年でもあります。大会のついでに英国で逢ったたくさんのヒツジ達は、実に牧歌的で和らいで平和そのものでした。

願わくば、本年が山陽(未)開秦、春がめぐり万物の精気が満ち溢れる平和な1年でありますように。「和」の心―はばたけ。


■共感共苦

松緑神道大和山 教主
田澤清喜

平成7年1月17日に発生した、阪神淡路大震災から20年が経ちました。

昭和20年8月15日から、終戦70年の年月を重ねました。

大きな痛みを覚えながら、生きる選択肢をとられた先達に畏敬の念を捧げるものです。

自ら苦しき事は、人も苦しからん。自ら悲しき事は、人も悲しからん。

自ら喜ばしき事は、人も喜ばしからん。己の痛みを知りて、人の痛みをも知る。

己の苦しき事は、人も苦しからん。己の望むものは人も望まん。

故に救われんと思う者は、人を救えよ。己の欲するものには施せよ。

(とも)に手を携え、共に苦しみ、喜び合い、人と人との間に祈りをもって進み続けた道を、自分の欲するもののみの道として捉える現代があるのではないだろうか。

今一度、自分に問いかけます。


■意気“陽々”と

黒住教 副教主・教務総長
黒住宗道

謹賀新年

昨年、私たち黒住教は立教二百年を迎えました。教会長先生には真心からのご祝辞を賜るとともに、祝祭の「奉告の集い」に恵先生、善信先生とご参列いただきました。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。

私たちは、昇る朝日に顕現する天照大御神を万物の親神として崇め、“日の御徳”の中で全てのいのちが共に生かされて生き栄えていることに感謝の祈りを捧げ、天照大御神の分心(ぶんしん)(心の神)の鎮まる人の心をいかに祓い清めて養うかを重んじています。病み、悩み、苦しむ世の多くの人々に、“日の御蔭”をいただいている有り難さを伝えて、意気“陽々”と開運の人生を送っていただけるように微力を尽くしたいと願っています。


■今こそ自利利他の実践を

妙智會教団 法嗣
宮本惠司

国際社会を動かす原理は“利益”です。この飽くなき利益追求は、現在の世界的窮状、自然破壊や災害などの諸問題をもたらしています。その本質は人間の欲望であり、心の荒廃です。

宗教は、人間の価値は人種や階級によって定まるものではなく、その人の心や行いの善悪によって定まると教えています。人間は霊性をもって生まれ、本質的には平等であり尊厳があります。他者に対しても等しく慈悲をもって相対していかなければなりません。そうした自利利他行が社会浄化につながり、浄化された社会での環境がさらにその人間を昇華させるのだと思います。

これからも宗教者として人々の心に寄り添い、自利利他の実践を心がけてゆく所存です。


■求められる眞の信仰者に

念法眞教 教務総長
桶屋良祐

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

昨今の社会情勢を見ますと、「代々続く家の信心の継承者がいない」「直葬の件数が年々増加している」など“宗教離れ”が進んでいるのではないでしょうか。宗教がだんだんと社会から求められなくなってきているのではないかと危惧しています。

本来、宗教は人が幸せになるために存在するもので、信仰する一人一人の生き方が大切であります。神仏のお救いを信じ、生かされていることを自覚し、周りの幸せのために実践する。それによって人格が向上し、周りから求められる人になるのではないでしょうか。その姿を通して、信心の素晴らしさが伝わり、宗教への関心が高まっていくと思います。

まずは信仰者である私たちがその姿を示していくべきだと思います。

合掌


■恒久平和世界の実現のために

大本 本部長
人類愛善会 会長
浅田秋彦

謹んで新年の御祝詞を申し上げます。皆様にとりまして、本年が穏やかで幸多き年でありますよう心よりお祈り申し上げます。

さて本年は、大本教祖であります出口王仁三郎聖師が、大正14年(1925)に北京にて世界宗教連合会を発会、また綾部にて人類愛善会を設立されてから90周年の佳節を迎えました。両会は「万教同根」と「人類愛善」を理念に掲げ、人類は本来「兄弟同胞・一心同体」であり、人種、国家、宗教のあらゆる障壁や敵愾心(てきがいしん)を取り除き、地上永遠の光明世界を建設することを目的としています。

民族・国家・宗教間の対立に起因する紛争が一刻も早く収まり、すべての人々が幸福である恒久平和世界の実現のために、日々真剣に祈りかつ着実に活動を重ねて参りたいと存じます。


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