2018年新春メッセージ

今、宗教者に求められるもの(順不同・敬称略)

  • 第257世 天台座主
    森川宏映Open or Close
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    人類の叡智を結集して

    平成30年度のお慶びを申し上げます。

    昨年8月には日本宗教界の総力を結集し「比叡山宗教サミット30周年記念世界宗教者平和の祈りの集い」が開催されました。世界18カ国から代表的宗教指導者24名を含む2,000人が参加され、世界宗教史上に特筆されるべき集会となりましたことは、まことにご同慶に堪えない次第でございます。

    しかし、世界平和を脅かすゆゆしき事態も相次いでおります。北朝鮮による核実験、ミサイル発射により軍事衝突の危機が高まりつつあります。ひとたび戦争が勃発すれば、人類滅亡も招きかねません。各国が協調し、人類の叡智を結集して、危機を回避されんことを念じつつ、新年のご挨拶といたします。

  • 神社本庁 総長・石清水八幡宮 宮司
    田中恆清Open or Close
    準備中

    歴史と伝統を護り伝えていく

    先ず以て、平成の大御代も30年の佳節を迎え、謹んで聖寿の万歳と皇室の弥栄をお喜び申し上げ、謹んで新年の賀詞申し上げます。

    教会長様、総長様をはじめ皆様におかれましては、日頃から格別のご交誼を頂きますこと、改めまして厚く御礼申し上げますと共に、本年も相変わりませぬご厚情を賜りますようお願い申し上げる次第であります。

    さて本年は、今上陛下の御即位30年を寿ぎ、皇室敬慕の念を涵養する奉祝の年であります。

    しかしながら、日本国の置かれている現在の状況は国内外に様々な問題が山積し、まさに内憂外患の状況と言っても過言ではありません。

    そのような時代こそ、万世一系の皇室を拝戴する日本人として時流に流されず、日本の悠久の歴史と誇るべき文化を後世へと護り伝えていかなければなりません。

    私たち日本人は、大御心を拝して、日本国の伝統を堅持し、確固たる信念を持って、困難に立ち向かっていくべきでありましょう。

  • 融通念佛宗 管長・総本山大念佛寺 法主
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    倍巖良舜

    心を耕す

    平成も30年になり、来年の4月には平成が終わり新しい年号になるようです。

    年号は文化であり、改元は心機一転すべきときであります。国外では「北朝鮮」や「テロ」など危険極まる状勢であり、国内でも自然科学の発展で物質的には豊かになっていますが、いのちを粗末にする凶悪犯罪や、私などの高齢者には分からない知的犯罪が多発しています。

    その上、テレビなどでもバカ笑いの番組が多く、平和ボケの兆候がみられます。自然科学は人間の「楽したい」という欲望を満たしてくれています。「衣食住」全体にわたり、かなり贅沢になっています。車で例えると、アクセルを踏みすぎスピード違反になっているようです。このあたりで精神科学である宗教がもっと力を出して、平和ボケにブレーキをかけねばなりません。

  • 和宗総本山四天王寺 管長
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    森田俊朗

    若者を強く!

    謹んで新春のお慶びを申し上げます。

    さて、昨秋のおぞましい事件以来「死にたい」願望の若者の多さがクローズアップされてきました。戦後の教育は宗教を忌避し、考えることより覚えることを重視し、競争に勝つことを第一として経済発展システムのパーツを生産してきました。敗者のことなど考える余地は無かったのですが、まだ敗者の居場所はありました。

    しかし、最近急速にその居場所が無くなっていくのを感じます。現代の若者に夢や活気が乏しいと言われるのはそのためでしょうか。「死にたい」願望もそのひとつの表れでしょうか。この若者たち、子供たちの心を今一度強くするには宗教者の行動が求められます。
  • 法相宗大本山薬師寺 管主
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    村上太胤

    家庭で合掌を

    薬師寺を創建された天武天皇は、それまでの豪族による政治から天皇親政に切り替える律令体制の確立と共に、仏教にも深い理解を持たれ、仏教の教えを国造りの根幹に据えられました。

    特に685年の「諸国の家ごとに仏舎を造り、仏像と経典を祀(まつ)り拝むように」という詔勅が『日本書紀』に書かれており、仏教の教えが日本国中に広まる契機になりました。

    この詔勅が発布された3月27日は、現在「お仏壇の日」になっているそうです。お仏壇の前で家族がみんなで手を合わせる。心は形を通して育ちます。この合掌の姿こそ日本人の心を育ててきた大切な習慣・儀式であり、宗教心が生れるきっかけにしなければなりません。

  • 金峯山修験本宗 管長・総本山金峯山寺 管領
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    五條良知

    信仰のある生活を

    新年明けましておめでとうございます。佳き初春をお迎えのこととお慶び申しあげます。

    大らかだと言われていた大昔の日本は、大自然の四季の営みの上に存在し、神さま仏さまを信じ反省し、先祖を敬う、そんなこころが人々の暮らしや営みの根底にあったのであります。

    一年の計を図り、過去から未来への自身の歩みに思いをいたすには、お正月ほど良き時は無いと思うのです。神仏を敬い、感謝し懺悔して、そして祈る。そんな信仰心を持つ生き方を実現したいと思うのです。なんとありがたいことでしょう。

    想像してみてください。ご自身に信仰の無い生活、教会の無い生活を。殺伐とした生き様が浮かんできませんか。なんと寂しいことでしょう。

  • 立正佼成会 会長・WCRP日本委員会 会長
    庭野日鑛Open or Close
    庭野日鑛

    大人からの刷り込み

    人間はもともと、怒るという感情を持たないで生まれてくるそうです。ところが、親が悪口を言ったり、怒鳴ったりするのを見聞きして、いつの間にか子供に、同じような心が刷り込まれていくというのです。

    そうした親からの刷り込みは、日常の中で頻繁に行われています。例えば、テレビや新聞を見ていた親が、自分の偏った意見を一方的に子供に言い聞かせることがあります。まだ小学生くらいの年頃ならば、それを真実のように受け取ってしまうこともあるでしょう。

    その意味で、私ども宗教者には、本当に公平な目で物事を見て、そこから導き出された真実を、未来を築く青少年たちに伝えていく大切な役割があります。

    平和を実現するには、「平和な人」の育成が不可欠です。その出発点は、家庭での身近な「平和教育」ではないでしょうか。

  • 円応教 教主
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    深田充啓

    喜びに変えて

    謹んで新年のお慶びを申し上げます。

    新年を迎えると、「今年も佳き年に」と誰もが思うものです。日々の生活の中に、必ず喜怒哀楽が生まれてきます。喜びはもちろんのこと、怒りも、悲しみもすべてがありがたいと、受け止めることができたなら、どれほど心穏やかに過ごす事ができるでしょう。

    私どもの教祖は「互いに聞き受け間違い へんこつ理屈流し 身の上大切に 日に日に愉快笑う門松福々来たる」という言葉を遺しております。間違いも、頑固な思い込みも、理屈も、よき方に流し、賢き智恵によって、すべてに感謝を持つ心根を育てていく事が大切だと思うのです。

    私ども円応教も今年で立教100年を迎えさせていただきます。自らの歩みをよき方に変え、そして、すべての出来事を喜びにと繋いでいける心力を、つけさせていただきたいものです。そんな心がけが、世の中のすべての人と共に「笑う門松福々来たる」、幸せあふれる佳き年となるのではないでしょうか。

    金光教泉尾教会信徒の皆々様の、新たなる一年のご多幸を心よりお祈り申し上げます。

  • 日本聖公会 首座主教
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    植松 誠

    グローバルな平和問題と日本人宗教者の責任

    新年おめでとうございます。

    世界平和に向けての御教団の熱心なお取り組みとお働きに心より感謝し、深い敬意を表します。

    さる10月、英国で世界の聖公会の首座主教会議が開かれ、39管区から33人の首座主教が集まりました。議長のカンタベリー大主教の、「皆さんの管区(国)で食糧が足りなくて困っている管区はどれくらいありますか?」という質問に、3分の2の首座主教が手を挙げました。その多くはアフリカの管区でした。

    気候変動による大地の砂漠化に加えて、内乱や紛争による荒廃、貧困、難民問題などによって飢餓が蔓延しているのです。もともと緑が広がり豊かな産物があふれていた大地に、人間の欲がはびこり、その結果、人間のいのちが蔑(ないがしろ)にされていることに、遠く離れた日本の宗教者としての責任を感じさせられました。

  • 神道神習教 教主・教派神道連合会 理事長
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    芳村正德

    祈りの輪を広げる

    私は日々祈ります。

    世界中の人々が他の多くの人々と共に生かされていることに気付き。

    世界中の人々皆が共に大切な神性を抱いていることに気付き。

    この世に生まれ、今生きていることそれ自体が幸せなことであり。

    故に他者を思いやる気持ちと平和の心を持って暮らしますように。

    そして、
     暴力から人々をお護りください。
     貧困から人々をお救いください。
     飢餓から人々をお救いください。
     災害から人々をお護りください。
     疫病から人々をお護りください。
     と……。

    同じ思いを持つ宗教者、信仰者、一般の皆様と共に祈りの輪を広げることができたらこの上ない喜びです。

    世界の平和は、一人一人の心の平安から。

  • 大本 教主
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    出口 紅

    核廃絶に向けて

    謹んで新年の御祝詞を申し上げます。

    昨年、核兵器の脅威を訴えてきた国際NGO団体が、国連での核兵器禁止条約採択に多大な貢献を果したとしてノーベル平和賞を受章したことは、核廃絶に向けた市民運動の高まりを見る嬉しいニュースでした。

    折しも昨年は、核廃絶と世界平和の実現を希求してきた「世界連邦日本宗教委員会」が創立50周年を迎えたことや、8月の「比叡山宗教サミット30周年記念平和の祈りの集い」における、テロと宗教、核廃絶や貧困等についてのシンポジウムや世界平和の祈りを通じて、私たち宗教者の役割・行動がますます求められていることを強く感じさせていただきました。

    今後とも、人類の幸せと平和世界の実現に向け、金光教泉尾教会さまをはじめ皆さまとともに努力して参りたいと存じます。

  • 黒住教 教主
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    黒住宗道

    奉祈 人皆の心の神の御開運

    昨秋、黒住教第七代教主を拝命しました。

    ここに、教祖黒住宗忠神以来の道統を受け継ぐことを天命と畏み奉り、謹んで神務を全うすべく誠を尽くさせていただくことを、お誓いいたします。

    教主就任に際して、私は「奉祈 人皆の心の神の御開運」という祈りを掲げた「告諭」を発表しました。それは全ての人に内在する「心の神」のはたらきが一層顕現されて、世の中が和やかに共に栄える世界の実現を願った祈りです。

    時代は健全な心を育む宗教的叡智を求めています。一人でも多くの方に、「有り難い!」という歓喜と感激と感謝を取り次いで、人々の“元の気”である“元気”を喚起できる教主でありたいと願っています。

  • 松緑神道大和山 教主
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    田澤清喜

    言霊

    言霊を信じる自分があります。総てのものに神、霊魂が宿ると考えるアニミズム的思想に、言霊を加えるとき、日々の神に対しての祈りは、私たちの環境、生活、心を豊かにするものと考えます。「言葉はたましいの声、神に通ふ力として、自ら顧みて、常に広く、高く、明るく、楽しき言葉を守るべくせん」と教団の教えにあります。

    言葉を発するならば、多くの方々が喜ぶ言葉を発したい。多くの方々が明るくなれる言葉を発したい。多くの方々が生ききる希望のもてる言葉を発したい。皆さまに仕合わせであっていただきたい。自分の私利私欲のみを言葉にするよりも、他と共に生きようとする言葉を発するとき、その言霊の波及するスピードと大きさは大なるものがあります。

    今だからこそ、言霊の力を信じて、世界の平和を言挙げたいと誓うものです。

  • 妙智會教団 法嗣
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    宮本惠司

    偏りのない社会を

    仏教教義のひとつに「中道」があります。

    「弦(げん)は、締め過ぎても、緩め過ぎても、いい音は出ない。程よく締められてこそいい音が出る。比丘の精進もそうあるべきだ」

    このように釈尊は全てに対して偏らず、流されず、物事の核心をとらえることの大切さをご教示されました。

    北朝鮮問題や各地域で頻発するテロなど、平和を脅かす事件があとをたちません。国内では憲法改正論議をはじめ、政治家の利害をめぐる問題なども解決されていません。また人々の不安や苦悩につけいる悲惨な事件も起こりました。昨今では、ネット社会における虚偽の情報、偏見を持った意見が氾濫し、相手を差別し、傷つけるといった行為をさらに加速させています。

    このような時代において、宗教者は正しい見聞をもって物事の核心を見極めながら、他者を受け入れ、許し合い、尊重することの大切さを伝えていかなければなりません。
    今後、物事を極端に決めたがる社会における宗教者の役割はさらに大きく、ますます重要になると信じます

    私自身も微力ながら、世のため、人のために精進していくことをお誓い申し上げます。

  • 浄土真宗本願寺派 総長
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    石上智康

    自他ともに心安らぐ社会の実現をめざして

    昨秋11月、東京・築地本願寺で第25代専如門主伝灯奉告法要の首都圏協賛行事として、国連が掲げる「SDGs」(持続可能な開発目標)の理念「誰一人取り残さない」をテーマに、シンポジウムを開催しました。

    貧困をなくそう、安全な水とトイレを世界中に、エネルギーをみんなに、そしてクリーンに。

    SDGsに掲げられたどの目標も、地球上の人びとが幸せに生きていくために、しかも、持続可能な社会を創っていく上で、欠くことのできない課題ばかりです。国連は、政府だけでなく、「みんなのための、みんなで支えるSDGs」を合言葉に、私たち一人一人が意識をあらたに行動していくよう呼びかけています。

    浄土真宗のご本尊である阿弥陀如来は、生きとし生けるものに対し、慈しみの心を等しくそそぎ、全てのものをもれなく救う、とはたらき続けていてくださる仏さまです。その願いをいただき、地球上の人びとが幸せに生きていくため、具体的な社会貢献の場でも、世界の人びとと共に取り組んでいければと願ってやみません。

  • 天理教 表統領
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    中田善亮

    神恩に報じる

    天理教の信仰実践に「神恩報謝」があります。

    人間は自身の身体を神からお借りし、そこに火水風をはじめありとあらゆるご守護を享受して日々暮らしています。

    一方、心は自らのものですが、心の遣い誤りについては自身の身体や周囲に障りをつけてお知らせくださいます。即ち常に親たる神の親心いっぱいにお見守りくださり生かさせていただいています。

    このような篤いご守護を頂戴していることに幸せを見出すとともに、これを恩と受け止めて、恩に報じる生き方を心がけねばなりません。

    日々のご守護は絶大で、とても私たちに返しきれるものではありません。できることは、日々絶やさずに報じること。そして心や思いだけでなく行いや形に表すことです。

    いま、人間としての基本から見直し、素直に実践する生き方が求められていると思います。

  • 念法眞教 教務総長
    一宮良範Open or Close
    一宮良範

    信仰の素晴らしさを伝えていく

    新春のお祝いを申し上げます。泉尾教会の皆様にとって、今年も素晴らしい年でありますよう、心よりお祈りいたします。

    現在の社会情勢を眺めますと、目を背けたくなるようなことが多発しております。

    国内では、親が子を、あるいは子が親を傷つけ、それが最悪の事態になることは珍しくありません。長年連れ添った夫婦でさえ、そうです。

    自死する人も後を絶ちません。

    念法眞教の開祖様は事件などのニュースをご覧になると、「神仏を知らんからや。神仏のあることが分かったら、悪いことできへん」と仰いました。現在の世相は、人々の心から宗教心が失われてきている状況を反映しているのではないでしょうか。

    宗教への関心を高め、信仰の素晴らしさを伝えていくことが、私たち宗教者の使命であると思っております。