ソウルでUPF2015世界サミットに出席

2015年8月28日〜30日
金光教泉尾教会 総長
三宅善信

2015年8月28日から30日まで、ソウルで『平和と人間開発』をテーマに開催されたUPF世界サミット2015でスピーカーを務めた。

8月28日、フランシスコ教皇との謁見を終えて関西空港へいったん帰国した私は、泉尾教会で所要を終えて、数時間後に再び関西空港へと向かった。ソウルで開催されているユニバーサル平和連盟主催の世界サミットでスピーカーを務めるためである。韓国の仁川(インチョン)空港へ到着したのは午後8時半頃であったが、ソウル市内のホテルへ向かうバスがなかなか来ずに、空港のバス乗り場で1時間以上待つことになり、また金曜日の晩ということもあったのか、ソウルの中心街である江南(カンナム)地区にあるインターコンチネンタルホテルへチェックインできたのは、日付の変わる頃であった。丸々1日かけてローマから午前中に日本に帰国し、いったん教会へ戻って御用をして、同じ日の夕方にまた関空からソウルへ飛んだのであるから、さすがに疲労困憊であった。しかも、ソウルを訪れるのは、1996年夏の第29回IARF世界大会が全羅北道の益山(イクサン)市で開催された時以来のことであるから、なんと19年ぶりのことである。もちろん、当時は仁川空港はまだなく金浦(キンポ)空港の時代であったが、韓国の様子もすっかり変わっていた。

キリバスのアノテ・トン大統領やウクライナのレオニード・クラフチュク元大統領をはじめとする首脳級を含む各国閣僚や議員などの政治指導者、外交官や国際機関関係者、安全保障の専門家ら世界55カ国から約250人が参加して、『平和と人間開発』をテーマにしたUPF世界サミット2015が8月27日から30日まで開催されたが、初日と最終日は「セレモニー」的な部分がほとんどだったので、実質的なディスカッションに充てられたのは、28・29の両日だけである。しかしながら、この両日は朝から晩まで、テーマ別に分かれて8回の「全体セッション」が開催され、それぞれの分野に造詣の深い人々が数名ずつ「パネリスト」として登壇し、それぞれの見解を披瀝し、フロアの参加者も含めてディスカッションを展開した。

UPF世界サミット2015でスピーチを行う三宅善信総長
UPF世界サミット2015でスピーチを行う三宅善信総長

そんな中で、私は日本人としては唯一のスピーカーとして、『平和と開発のための宗教者の声』と題するセッションで、スリランカのジャヤワラデナプラ大学のB・ウィラマラタナ学長、ボスニア・ヘルツェゴビナのM・セリッチ前最高宗教指導者、ドイツのライプチヒ大学のM・フレンシュコフスキー教授、アルゼンチンのD・フロル末日聖徒イエスキリスト教会(モルモン教)主教、レバノンのM・アブ=ザイドイスラム法廷長官というまったく宗教的・民族的背景の異なる6名のパネリストとともにディスカッションを展開した。

私は基調講演の中で、近年、所属する宗教や民族が異なるという理由だけで顔見知り同士が血で血を洗う凄まじい「内戦」を繰り広げたボスニア、レバノン、スリランカと、20世紀の中頃に全体主義国家として対外戦争をしたけれども「宗教戦争」の要素がなかった日本、ドイツ、アルゼンチンという2つの類型に分けて論を展開した。ディスカッションの部分では、「非暴力(アヒンサー)」を説くスリランカの上座部仏教の大僧正ウィラマラタナ師と以下のような内容で激論となった。私のスピーチで、スリランカの内戦を、ボスニア内戦やレバノン内戦と同列に比較したら、ウィラマラタナ師は「あれは分離独立を主張する少数派のタミル人ゲリラとスリランカ政府軍が戦っただけで、多数派のシンハラ人仏教指導者は戦争をけしかけていない。非暴力を説く、仏教と戦争は無縁である」と反論されたので、私は、「仏教に限らず、どの宗教だって『殺すなかれ』と説いている。しかしながら、ある国家や地域において、人口の5%以上の信者を有する宗教集団の指導者には、その国の政府や軍隊や民衆が行った行為に倫理上の責任がある。何故なら、テロリストの中にも、正規軍の兵士の中にも、デモ隊の中にも必ずその宗教の信者がいるはずだからである」というふうに主張した。これをきっかけに、フロアも含めて、白熱した議論が展開した。

満堂の参加者を集めたUPF世界サミット2015関連行事
満堂の参加者を集めたUPF世界サミット2015関連行事

他にも、この会議に参加された海外の専門家と新しいネットワークを構築することができたし、また、安岡興治衆議院憲法審査会長、柳本卓治参議院憲法審査会長らとも、現在の日本の政治状況も含めてゆっくりと話をする機会を得ることができたことは望外であった。こうして、8月30日の夜の便で大阪へ戻って、9月1日の大恩師親先生十六年祭に備えた。





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