< 2009年度上期活動報告 >
  

会長ごあいさつ
会長ニューヨークを三度訪問
会長 インドのコルカタにて
AYC執行理事会を主催
ネグロス島でのアヒル養殖計画
会長 第7回ACRPマニラ大会に参加
中東で対話促進プログラム
ポーランドで地球温暖化防止会議
WCRPが札幌で国際会議
  2009年度下期活動報告



あなたも人類共栄会の会員に

世界各国に支援と救済の輪を広げる人類共栄会に、あなたも参加しませんか。年会費は、一般会員が1口3,000円、賛助会員が1口3万円です。会員のみなさんには、会費や寄付金が有効に利用されていることをご理解戴くために、年次報告書をお送りいたします。

集まったお金は世界各地の
救済・援助の費用として
役立てています。

たとえば・・・



あなたのご参加を
お待ちしております。
人類共栄会事務局まで
〒551-0001 
大阪市大正区三軒家西3-8-21

Tel.06-6551-0049
Fax.06-6553-7073
www.relnet.co.jp/jinrui



  会長ごあいさつ

昨秋、米国の金融恐慌に端を発する「百年に一度」と言われる世界同時不況の嵐が吹き荒れました。
 
日本でも、世界に名だたる大企業が、わが身を守るために、弱者である非正規雇用者や派遣労働者を容赦なく解雇し、寒空に住む家を追われた人も多々ありました。
 しかし、よく考えてみると、十数年間続いた「経済のグローバル化」と「金融資本主義」と称するマネーゲームで大儲けしたのは、このような世界的大企業であったり、各種のファンドでした。
 ところが、このマネーゲームに興じた人(企業やファンド)が大損失を蒙ったのなら「自業自得」とも言えますが、今回の不況で職を失った人々の多くは、このマネーゲームの利権のまったく「蚊帳の外」に置かれていた人々でしたから、社会正義を著しく損なった「言われなき逆境」であります。

また、この間、わが国の政府は、マネーゲームのプレーヤー企業を有利にするための制度変更を繰り返し、長年コツコツと働いて貯蓄してきた国民の富――本来ならば金利として約350兆円が国民の懐に入っていたはず――を超低金利政策続けることによって奪い、「貯蓄から投資へ」と個人資産の移転を促しましたが、それらの「虎の子」の個人金融資産も、今回の金融恐慌によって、半減させられてしまいました。
 わが『人類共栄会通信』においても、これまで何度か、この「経済のグローバル化」や「金融資本主義」というシステムの脆弱さに警鐘を鳴らしてきましたが、その懸念がついに現実のものとなってしまいました。

しかし、このような大変な時代にこそ、人類共栄会の精神である「人よ幸いであれ」という、自分の幸せよりも先に他人の幸福に思いをいたす生き方が真価を発揮するのです。

会員の皆様には、一層のご協力をお願い申し上げます。


  会長ニューヨークを三度訪問


人類共栄会の三宅光雄会長は、昨年4月・7月・11月と、三度にわたって米国のニューヨークを訪問した。

ニューヨークには、国連本部がある関係で、多くの国際機関やNGOの事務局が置かれているが、三宅会長はWFM(世界連邦運動)の副理事長として、年に三度開催されるWFMの執行理事会に出席するため、たびたび同地を訪問したものである。

WFM(当時はWAWF)と人類共栄会の関係は、創設者の故三宅歳雄師が湯川秀樹博士らと共に五十数年前にその世界大会に参加して以来継続しており、人類共栄会の国際活動の中心のひとつである。


国際事務局スタッフとも顔なじみの三宅会長

他にも、ニューヨークには、WCRP(世界宗教者平和会議)・国連開発計画・ユニセフ等の国際事務局があり、三宅会長はニューヨークを訪問するたびに、それらの責任者と意見交換を行っている。


  会長 インドのコルカタにてAYC執行理事会を主催


2008年9月26日から30日まで、人類共栄会の三宅光雄会長は、インド東部最の都市コルカタ(旧カルカッタ)を訪問し、同地で開催されたAYC(世界連邦アジア青年センター)第9回執行理事会に会長として出席した。人類共栄会からは、AYC日本支部の会長を務める吉村昇一郎氏をはじめ3名が参加した。

今回のAYC執行理事会は、2009年秋にネパールのカトマンズで開催される予定のAYC創立25周年記念総会の概要の確認、インドネシア新支部の承認、2007年度の各支部の活動報告の三点が主な内容であった。

今回の執行理事会において、AYC創立25周年記念総会は、2009年10月17・18日に開催されることに決定。テーマを再考し具体案を詰めることになった。

さらに、長年続いた王制から共和制への“政変”に伴うネパールの政治的不安定要因については、2009年1月末の政治情勢を再度確認して、国際事務局と打ち合わせを行うこととなった。その時点で、もしネパールでの開催が不可能であるなら、代わりにコルカタにて開催すると決まった。


AYC会長として執行理事会に臨む三宅会長

インド洋周辺国全体に甚大な津波被害をもたらした2004年12月のスマトラ島大地震の際に、AYCスリランカ支部長のA・ペレイラ氏が震源地のインドネシアに出向き、飲み水の供給やその他の活動を通じてネットワークを構築。現地の青年がAYC活動に興味を持ち、「是非インドネシアにもAYCの活動拠点を」と依頼があった。

ペレイラ氏が現地の状況や活動の報告を行い、さらにはS.デービット事務総長の推薦もあり、執行理事会の全会一致でインドネシア支部の設立の承認となった。なお、正式には来年のネパールでの総会時に本承認となるため、インドネシアからも代表者をネパールに招聘することで一致した。

引き続き、各国支部の代表から2007年の活動報告があり、その後、コルカタ支部が実施しているプログラムに参加した。そのひとつで、子供たちによる『地球温暖化の防止:地球を大切にしよう』のショーは、目の不自由な子供たちの演奏会や歌の披露をはじめ、専門の大学教授による地球温暖化の危機に関する講演などを聴くことができた。日々の生活を送るだけでも困難な貧困層が多数住むコルカタにおいても、環境問題に対する意識の高さは驚くべきものがある。

さらに、三宅会長が地元コルカタのロータリークラブの会合で、2008年6月末に大阪と京都で開催された『G8宗教指導者サミット』の英字新聞のコピーを参加者に配り、その開催に至った経緯や人類共栄会のコミットについて説明した。


マザーテレサの墓に跪いて祈る三宅会長

本講演には、多数の聴衆が集まり、真剣なまなざしで興味深く三宅会長の講演を聞いていたのが印象的で、講演後の質疑応答は大いに盛り上がり、予定の時間が足りないほどであった。
また、人類共栄会が長年支援しているノーベル平和賞受賞者のマザーテレサが設立した社会福祉施設『死を待つ人々の家』を訪問し、三宅会長が生前交流のあったマザーテレサの墓所に参拝した。


  ネグロス島でのアヒル養殖計画


10月18日、三宅善信理事は、フィリピン中部のネグロス島において、IARF(国際自由宗教連盟)が東南アジア地域で進めている社会開発プログラムのひとつ「アヒルプロジェクト」の視察を行った。

このプログラムは、バングラデシュの社会開発プログラムとしてノーベル平和賞も受賞したグラミン銀行の『マイクロ・クレジット』をヒントに開発されたプログラムで、僻地の貧しい農家に、無償で1羽の雄アヒルと5羽の雌アヒルを貸与し、3カ月後に「利子」分として、8羽のアヒルを返してもらい、そのアヒルをまた別の農家に無償貸与して拡大してゆくという単純なプログラムである。

その間、5羽の雌アヒルたちは平均30個の卵を産むので、農家の「取り分」は、8羽を返却したとしても22羽となり、この営みを繰り返していくことによって、貴重な現金収入を得られるようになるという社会開発プログラムである。



ネグロス島の住民から歓迎される三宅理事

貧しいが、温暖な気候のため食糧には困らないこのような地域の自立支援が一番難しい。人々に、自分たちの生活スタイルを変える意欲が湧かないからである。しかしこのような生活スタイルを続ける限り、子女に教育を受けさせるということはできないので、経済的成功への道は永久に閉ざされたままなのである。そこで、現金収入を得る手立てとして、「アヒルプロジェクト」が開始されたのである。

三宅理事は、アヒルの飼育環境を視察して回った後、島民たちへのスピーチで、大流行が懸念されている「鳥インフルエンザ」発生時の対処法について島民たちに指導した。


  会長 第7回ACRPマニラ大会に参加


10月17日から20日まで、フィリピンのマニラで第7回ACRP(アジア宗教者平和会議)大会が開催され、人類共栄会の三宅光雄会長は、百余名からなる日本代表団の副団長の重責を担った。

ACRPは、1974年に第2回WCRP(世界宗教者平和会議)世界大会がベルギーのルーベンで開催された際に、人類共栄会創始者である三宅歳雄師によって「アジア人のイニシアティブによるアジア版WCRPの開催」が提唱され、1976年にその第1回大会をシンガポールで開催したことに始まる。以後、ニューデリー、ソウル、カトマンズ、アユタヤ、ジョグジャカルタとアジアの各都市で開催されてきた。


全体会議の共同議長を務める三宅会長

10月16日の夜、明日からの大会に先立って、現執行部による最後の「管理委員会」がマニラホテルの一室で開催され、前回のジョグジャカルタ大会の際に「管理委員」に就任されていた故三宅龍雄前会長の「代理」として、三宅光雄会長が出席し、ACRPにおける数々の問題について敵確な意見を述べた。

17日午前、サント・トマス大学の医学部大講堂で第7回ACRP大会の開会式が行われた、ゲストであるフィリピン共和国のグロリア・アロヨ大統領が、三宅会長らに握手を求められたシーンが印象的であった。

開会式では、ローマ教皇ベネディクト16世や国連のパン・ギムン(潘基文)事務総長やイランのM・ハタミ前大統領らからのメッセージが、それぞれの代理から読み上げられた。さらに、スリランカ和平問題日本政府代表の明石康元国連事務次長と、一年前までバチカンの諸宗教対話評議会の次長を務めていたF・マチャード大司教が基調講演を行った。
 
今回の大会のテーマは『アジアのおける平和の創造』であり、オーストラリアや北朝鮮を含むアジア20カ国から仏教・バハイ教・キリスト教・儒教・ジャイナ教・ユダヤ教・ヒンズー教・イスラム教・神道・シーク教・道教・ゾロアスター教などに属する約370名が参加して、四日間にわたる会議を行った。

特筆すべきは、19日の全体会議で、三宅会長が共同議長として、カトリックのP・ブルンデル女史と共に会議を取り仕切り、諸宗教対話の分野における人類共栄会の働きの大きさをあらためて示した。

さらに、三宅会長は、今大会から次回大会までを任期とするACRP国際管理委員と執行理事に選出された。ACRP実務議長は、これまでのパキスタンのM・マルワット博士から、インドネシアのD・シャムスディーン博士に交替したが、事務局長には引き続き、韓国の国会議員でもあるキム・スンゴン(金星坤)氏が選ばれた。

新実務議長のシャムスディーン博士は満50歳と若く、キム・スンゴン氏もかつての日韓青年交流プログラム以来、三宅会長と顔見知りで、ACRPの「新しい時代」が予見された。


新任の国際管理委員会で発言する三宅会長

また、閉会式に先立って行われた「諸宗教の祈り」では、三宅善信理事が英語と日本とでお祈りを行った。

こうして四日間にわたる大会が終了したが、引き続き翌21日も三宅会長は、新任の国際管理委員として役員会に出席し、また、日本代表団としてのプログラムである日本人墓地(先の大戦で「戦犯」として現地で処刑された将兵の墓地)への参拝等の行事を終えて、22日に無事帰国した。


  中東で対話促進プログラム

8月19日から24日にかけて、人類共栄会の三宅善信理事は、サウジアラビア・アラブ首長国連邦(UAE)・ヨルダンの中東三カ国を歴訪し、イスラム世界の対話促進プログラムの指導者たちと意見交換を行った。

最初の訪問地のサウジアラビアは、聖地メッカとメディナを抱える非常に厳格なイスラム教国である。三宅理事は、6月末に大阪と京都で開催されたG8宗教指導者サミットにもサウジアラビア代表として参加したイスラム省のA・アルヒーダン次官補の案内で、WAMY(世界イスラム青年協会)本部を訪問し、非イスラム世界との交流の方法について、WAMY幹部と意見交換を行った。

また、ファイサル王記念イスラム研究センターでは、Y・ジュナイド事務総長と会談し、中世のアラビア語文献では世界最大のコレクションを誇る同研究センター図書館を視察した。

乗り継ぎ地のドバイ(UAE)では、急激に発展する金融センター等を視察し、空前の建設ラッシュのためにインドやパキスタンから出稼ぎに来ている労働者たちから現況を聞き取った。


WAMYの幹部会に招かれた三宅理事

ヨルダンにおいては、二年前に泉尾教会に来所したこともある王立諸宗教対話研究所のA・ヒヤリ副所長の案内で、同国の前国連大使であるH・アブニマー所長と意見交換を行った。折から、同国で実施されているIARF(国際自由宗教連盟)青年プログラムと欧州・中東交流プログラムが共同開催している青年キャンプ(各国から約40名参加)の現場を訪れ、このキャンプを支援してきたIARFの国際評議員の将来検討委員長として挨拶を行った。

  ポーランドで地球温暖化防止会議


人類共栄会の三宅善信理事は、12月9から13日にかけて、ポーランド西部の都市ポズナニで開催されたCOP14(第14回気候枠組変動防止条約締約国会議)に、国連経済社会理事会に総合諮問資格を有する国際的NGOであるWCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会の開発・環境副委員長として、前年のインドネシアでのCOP13に引き続いて参加した。


三千人が一堂に会する全体会議の様子

1997年に京都で開催されたCOP3において、先進国間で約束された「各国が、1990年の時点の温暖化ガスの排出量に遡って、数パーセントの排出量削減を2008年から2012年の五年間に実行する」という内容の『京都議定書』が発効したにもかかわらず、その実施検証第一年目となる2008年に、マイナス数パーセントどころか、実際には、プラス十数パーセントと増加しており、その実現不可能性がハッキリした。

そこで、『京都議定書』の枠組みに入ることを拒否した温暖化ガスの三大排出国(米国・中国・インド)を巻き込んだ形での「新しい枠組」を2009年12月のCOP15コペンハーゲン会議までに構築することが急務である。
 そのための国際的な折衝の場であると、今回の地球温暖化防止会議は位置づけられ、国連のパン・ギムン(潘基文)事務総長をはじめ各国の指導者も大勢この会議に臨んだが、残念ながら政治家やメディアの関心は、COP14の直前に起こった米国発の金融危機に起因する世界同時恐慌への緊急対応策へと向けられ、何十年後に起こるか判らない地球的危機については、それほど真剣に討議されている様子は見受けられなかった。

三宅理事はまた、日本政府の代表団だけでなく、この会議に参加しているさまざまな国際NGOの代表とも積極的に意見交換を行った。


  WCRPが札幌で国際会議



三宅会長が司会を務めた諸宗教の祈り


7月2日から3日にかけて、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会は、札幌において『平和のために提言する世界宗教者会議』を開催し、WCRP日本委員会の常務理事も務める人類共栄会の三宅光雄会長が、札幌での会議の副議長を務めた。

G8北海道・洞爺湖サミットの開催を直前に控え、大阪京都で開催された「G8宗教指導者サミット」をはじめ、日本各地ではさまざまな関連イベントが開催されたが、WCRPは『共有される安全保障』をテーマに二日間にわたる国際会議を開催した。

洞爺湖サミットでは、日本が議長国を務めたにもかかわらず、原油や食糧価格の高騰問題に終始し、『京都議定書』の実施を反故にし、温暖化ガスの削減目標を「2050年で半減」に先き延ばししてしまった。