< 2011年度下期活動報告 >
  

会長ごあいさつ
UNHCRを通じてリビア難民を支援
多様な
東日本大震災支援活動を展開
会長 IARF国際役員会を主催
日本WHO協会関理事長と
被災地を訪問した
青年ボランティアの声
MDGsの早期実現を迫るG8RLS
  WFM本部を訪問
ベンドレイRP事務総長と
世界遺産熊野で国際森林年シンポ
  2011年度上期活動報告



あなたも人類共栄会の会員に

世界各国に支援と救済の輪を広げる人類共栄会に、あなたも参加しませんか。年会費は、一般会員が1口3,000円、賛助会員が1口3万円です。会員のみなさんには、会費や寄付金が有効に利用されていることをご理解戴くために、年次報告書をお送りいたします。

集まったお金は世界各地の
救済・援助の費用として
役立てています。

たとえば・・・



あなたのご参加を
お待ちしております。
人類共栄会事務局まで
〒551-0001 
大阪市大正区三軒家西3-8-21

Tel.06-6551-0049
Fax.06-6553-7073
www.relnet.co.jp/jinrui


人類共栄会では、集まったお金は
世界各地の子どもたちの
救済・援助のための
費用として役立てています。

あなたのご理解とご協力を
お待ちしております。




  会長ごあいさつ


三宅光雄会長
2011年3月11日、マグニチュード9.0という超巨大地震が東北地方の太平洋沖で発生し、高さ10メートルを超す大津波が岩手県から福島県までの沿岸部を襲い、死者・行方不明者数約2万人という未曾有の大災害となりました。一時は、住む家を失った20万人が寒空の中、避難所で雨露を凌ぎました。加えて、東京電力の福島第一原子力発電所で起きたレベル7の放射能漏れ事故で、原発から20km圏内に暮らす11万人以上が避難を余儀なくされ、5カ月が経過した現在も収束の目途すら立っていません。

 その上、未曾有の国難に対して全力を傾注して復興事業に邁進すべき政府や国会には、危機管理能力もなく、震災直後からほぼ「機能停止状態」です。確かに東北地方太平洋沖地震は自然現象には違いありませんが、東日本大震災のほうは完全に人災の様相を呈してきました。こんな時、もし、首都圏で直下型の大地震や東海・東南海・南海のプレート境界型巨大海底地震が三連動して起こったら、今度こそ日本社会は壊滅してしまうでしょう。

 特に、大津波をもたらすと言われている東海・東南海・南海地震が三連動して発生する確率は「今後30年間に80%以上」と言われていますが、これは何も「30年後に巨大地震が起こる確率が80%」という意味ではありません。巨大地震が発生するのは、3年後かもしれないし、3カ月後かもしれないし、ひょっとすると3日後に起こるかもしれません。とにかく「近い将来、ほぼ確実に巨大地震が起こる」という意味です。皆さんも、天気予報で「降水確率80%」と言われたら、たとえ今、雨が降っていなくても、必ず傘を持って出かけるでしょう。

 われわれ人類共栄会は、東日本大震災の発生直後から様々な支援活動を被災地で展開しています。しかも、この地震列島に暮らす以上、「明日はわが身」で、いつ何時われわれ自身が被災者になるかもしれません。人類共栄会の活動への皆様の倍旧のご理解とご協力をお願い申し上げます。



  UNHCRを通じてリビア難民を支援


UNHCRを通じてリビア難民を支援

4月4日、三宅光雄会長は、国連UNHCR(難民高等弁務官事務所)協会を訪れ、高嶋由美子事務局長と混迷するリビア情勢について一時間にわたって会談し、義捐金10万円を寄託した。

 昨年末、チュニジアに始まった北アフリカの「ジャスミン革命」の動きは、エジプトのムバラク政権崩壊までは順調に進行した。しかし、カダフィ大佐が支配するリビアにおいては、政府軍と欧米が支援する反政府勢力との間で「内戦状態」となり、数十万人の難民が発生しているが、東日本大震災関連報道一色の日本国内においては、この様子がほとんど報道されることなく、募金が集まらず、難民支援活動をしている国連UNHCR協会も対応に苦慮している。

人類共栄会では、創設者が1980年代にUNHCRの依頼で、ケニア西部のブンゴマ村国連難民キャンプに給水パイプラインを設置して以後、様々な局面でUNHCRの活動を支援してきたように、日本国内だけでなく、その名前に相応しい「人類」的視野の活動を展開している。



   多様な東日本大震災支援活動を展開 


未曽有の犠牲者をもたらせた3月11日の東日本大震災発生直後から、被災地へ三度足を運んだ三宅光雄会長を筆頭に、約600万円の義援金と共に、これまで人類共栄会では各方面にわたる支援活動を展開してきた。ここでは、その一部を紹介する。


気仙沼の被害地を視察する三宅会長

▼日本レスキュー協会と協力して

 震災発生当日、日頃から人類共栄会が支援している民間の人命救助団体「日本レスキュー協会」の災害派遣活動への財的支援を表明。隊員三名と災害救助犬三匹および探査装備一式を搭載した日本レスキュー協会の災害救助チームは、日本海側ルートをひた走りに北上し、早くも翌日には岩手県入りし、陸前高田市、釜石市、大槌町、野田村などで、各府県の消防隊と連携して行方不明者捜索に従事した。
 3月25日、三宅善信理事が、兵庫県伊丹市の日本レスキュー協会本部を訪問して、岡武隊長から現地での活動報告の詳細を聞き、支援金10万円を伊藤裕成理事長に手渡した。

▼三度被災地入りした三宅会長

 4月21・22両日、三宅光雄会長は、津波で閉鎖になった仙台空港を迂回して内陸部にある岩手県花巻空港から被災地入りし、気仙沼市と石巻市を訪問し、大津波の跡も生々しい被災地をつぶさに視察すると共に、既に金光教首都圏フォーラムが駐留しているベースキャンプを訪問。現地の避難所で被災者を励まし、首都圏フォーラムを通じて寄託した瓦礫撤去用の道具類をボランティアの人々の活動に供した。
 また、ゴールデンウイークを利用して、5月7・8両日には、人類共栄会の青年ボランティア4名が気仙沼市を訪問し、倒壊は免れたものの大津波によって泥だらけになった民家の泥掻き出し奉仕を手伝った。テレビや新聞を通じて「知っていた」だけの被災地と、実際に訪れて、つぶさに「体験してきた」被災地とでは大違いで、この貴重な体験が青年たちの今後の人生を豊かにすることであろう。
 翌5月9日には、三宅会長が再び被災地を訪れ、南三陸町と石巻市を訪問し、それぞれの社会福祉協議会の責任者と面会し、WCRP日本委員会から託された支援金を手渡した。特に、津波被害の大きかった南三陸町では、「少しでも亡くなった人の想い出を…」と、瓦礫の中から丁寧に拾い集められた泥だらけの写真を洗って乾かしている現場なども視察した。


想い出の写真探しを視察する三宅会長

6月28日には、三宅会長が理事長を務める国際宗教同志会主催の「東日本大震災慰霊復興祈願祭」が石巻市の古刹、輝寶山洞源院で仕えられ、関西や関東から参加した14名の僧侶や神職と共に、犠牲となられた方々を弔い、力強い復興を誓った。この日の行事には、同地区で家を無くした住民の皆さんも大勢参加した。

▼復興を願ってチャリティバザー

 5月22日に開催された第31回チャリティバザーも、今年は特に『東日本大震災からの復興を願って、がんばろう日本』をテーマに開催され、あいにくの雨天のため、急遽、会堂ロビー内に会場を移して開催されたにもかかわらず、近隣の住民約2000人が来場し、お目当ての格安商品や泉尾教会信徒会員たちが売り子を務めるちゃんこ鍋、焼き鳥等の模擬店が多数出展した。
 また、日頃から人類共栄会と協力関係にある日本レスキュー協会の隊員たちが、救助犬の調教訓練の様子を再現したり、救助犬の嗅覚で行方不明者を探索する訓練のデモンストレーションを実演した。なお、この日のバザーの収益金1,819,131円は、全額、人類共栄会に寄贈された。

▼災害復興の専門家を招き勉強会

 また、震災のメカニズムと復興の方途を探るため、6月9日には、金光教泉尾教会の国際会議場にて、内閣府中央防災会議専門委員でもある関西学院大学災害復興制度研究所の室崎益輝所長を招き、『東日本大震災とどう向き合うか?』をテーマに、三宅光雄会長が理事長を務める国際宗教同志会が記念講演を行った。未曾有の大災害ということで関心も高く、各界から約70名が参加した。講演会に続く質疑応答では、熱心なディスカッションが行われた。

 室崎教授は、今回の大震災の特徴を「巨大・広域・復興・欠援」という4つのキーワードで分析し、特に、地震発生後、生死を分けた「最初の30分」、物資の配給が滞った「最初の1週間」、ボランティアが来なかった(「来ないほうが良い」とマスコミや自治体が喧伝したので、決定的な人手不足が生じた)「最初の1カ月」という3期に分けて、阪神淡路大震災の経験がかえって今回の大震災への対応を誤らせているということを指摘した。


専門家の講演に耳を傾ける宗教関係者


  会長 IARF国際役員会を主催

 3月28日から30日まで、京都市内でIARF(国際自由宗教連盟)の国際執行理事会ならびに評議員会および臨時年次総会が開催され、海外からの代表13名を含む、約30名が参加した。


議案への賛否を問う三宅会長

 28日は、昨年9月にインドで開催された第33回世界大会で選出された正副会長・財務委員長・執行理事による最初の会合が山科の一燈園を会場に開催され、29・30両日に開催される国際評議員会で話し合われる内容の事前摺り合わせが行われた。  

 29日は、洛北岩倉のむつみ会本部において、今年度のIARF国際評議員会が開催された。最初に、未曾有の大災害となったこのたびの東日本大震災の犠牲者の冥福を全員で祈った。評議員会の議長は、昨秋、ダライ・ラマ14世法王を基調講演者に招いて開催された世界大会の折に会長に選出された三宅光雄会長が務め、国際事務局からの世界大会の報告やJ・ティーゲル財務委員長からの会計報告等が行われた。

 午後からは、数年来、オランダ政府のODAや欧米各国の財団から財的支援を受けてインド各地において実施されてきた「人権教育プログラム(HRE)」の報告と計画が行われた。ただし、国際事務局が英国オックスフォードから大阪に移転して以来、IARFでは、世界各地で実施される各プログラムの計画や実施状況の視察や効果測定をより公平かつ効率的に行うための「標準報告様式」の確立に取り組んでおり、この問題について、国際機関が多数存在するジュネーブ在住の評議員や、新しいプログラムの実施を予定しているイスラエルの評議員たちから、インドでのHREプログラム実施状況報告の曖昧さに対して、厳しい質問が寄せられた。

 30日は、十数人構成で年に一度しか開催されない国際評議員会で何事も話し合われるのは効率的ではないということで、テーマ毎に数名の委員によって構成される専門委員会の設置について話し合われ、コミュニケーション・広報渉外・規約・財務投資・将来検討・プログラム開発の6つの委員会が構成されることになり、評議員以外にも、外部から適切な人材を招いて各委員会の人選が行われた。

 午後からは、国連経済社会理事会の総合諮問資格を有する数少ない国際NGOであるIARFのユニークさと、そのステータスをより有効に活用するための方途が話し合われ、各委員会の委員長と委員の人選が発表された。また、2011年度の予算を承認して、その他の手続きを経て今回の国際評議員会は閉会した。



  日本WHO協会関理事長と


 3月25日、三宅光雄会長は、日本WHO協会の関淳一理事長の表敬訪問を受けた。WHO(世界保健機関)は、1948年にスイスのジュネーブに設置された国連の専門機関であり、新型インフルエンザをはじめ世界中の疾病対策を担っている。

 3年前まで大阪市長を務めていた関淳一氏は、政治家になる前は内分泌代謝系の医師として長年、三宅龍雄前会長の主治医だったこともあり、三宅会長とは40年来の交友で、途上国の開発支援を行っている人類共栄会としても、疾病対策は重要であり、日本WHO協会と協力して行くことになった。




  被災地を訪問した青年ボランティアの声

5月上旬、人類共栄会では、瓦礫の清掃除去のための青年ボランティアを被災地気仙沼市に派遣した。ここでは、参加した4名の青年の感想を紹介する。
「困っている人が居れば助けずにはおれん」というのが、人類共栄会の創設者である三宅歳雄先生の願いであります。


吉村裕之さん
 私は、今回の清掃活動を通じて、たとえ小さな一歩でも踏み出せばその何倍もの力を与えてくださり、お役に立つ活動をさせていただける。人類共栄会のモットーである「人助け、世助け」の力を目のあたりにさせていただきました。(吉村談)







広瀬孝雄さん

 大震災によって、家族を失い、悲しみを背負ったまま避難所で暮らす…。また、関東地方では、計画停電や余震のために、不安と不便な暮らしを余儀なくされる方々がいる一方で、われわれ関西で暮らす者は、震災前となんら変わらず、何不自由なく暮らせています。

もちろん、義捐金は送らせてもらいましたが、 被災地へ行き、自分たちにできることはないのかという思いから、人類共栄会の救援ボランティアに「是非、行かせていただきたい」と決めさせていただきました。(広瀬談)


中西康仁さん
 阪神淡路大震災の際は、スカウトの一員として、被災地で炊き出しなどを行いましたが、今回は遠く離れた東北地方での震災…。仕事も家庭もある中で、現地までゆくのは難しいと考えていましたが、参加させていただきました。
 
  阪神淡路大震災のときとは明らかに状況が異なり、街全体が流されている中での泥掻き作業は、大変心が苦しくなる思いでした。それでも、現地の方々の復興への意欲を身に感じることができ、たった二日間でしたが、一生懸命に作業をさせていただいたことで、普段にはない、充実感を得ることができました。(中西談)



内田信雄さん

 阪神淡路大震災が起こったとき、私は神戸で勤めておりましたが、自転車に乗って、物資を運んだり、お客さん宅の瓦礫の処理に回ったりしたのを思い出しました。

 ですから、今回の東日本大震災でも、自分の中で、「現地に行って何かお手伝いをしたい!」と言う気持ちは大いにありましたが、まず何から始めてよいのか判らずにいました。そんな時に、人類共栄会から被災地に行かせていただくことになり、自分の思いが通じたのだと、すごく感謝させていただきました。(内田談)



  MDGsの早期実現を迫るG8RLS


アフリカ代表のスピーチに耳を傾ける参加者

5月23・24日、フランスのボルドーでG8RLS(G8宗教指導者サミット)2011が開催され、G8各国はもとより、中東やアフリカの代表も含めて約30名が出席した。

 G8RLSは、2000年に世界百数十カ国の首脳が一堂に会して採択した『ミレニアム開発目標(MDGs)』の早期実現を各国政府に迫るための宗教界を中心とした活動の枠組みであり、2005年に英国で始まり、毎年、G8首脳会議が開催される直前に提言をまとめている。特に、その設定期限が2015年と目前に迫ってきているにもかかわらず、2008年のリーマンショック以来、各国政府の関心が自国の景気対策に偏重しているのを是正することを目標としている。

 今回のサミットでは、「地球統治の再構築」「マクロ経済」「気候変動」「開発」「平和への投資」「平和のための多宗教協力の力」の6つのテーマについて、宗教者だけでなく、各国から閣僚や研究者を招いて会議が進められたが、特に、「気候変動」のセッションでは、G8RLS2008の事務局長を務めた人類共栄会の三宅善信理事がスピーカーとなって講演し、3月に日本を襲った東日本大震災と原発事故、その後の国を挙げての「節電」対策を実例に上げて、野心的な温室効果ガスの削減策を提言し、質疑応答では議論が大いに盛り上がった。



  WFM本部を訪問


WFM国際事務局のスタッフと三宅会長

 1月29日、三宅光雄会長は、ニューヨークのWFM(世界連邦運動)本部事務局を訪問し、事務局のスタッフたちと懇談した。

 人類共栄会の創設者三宅歳雄師は、1948年の世界連邦建設同盟の設立に参加し、1953年の第5回世界大会に日本代表として出席するなど、世界連邦運動は人類共栄会活動の元になった理念である。

 現在、WFMの副理事長を務める三宅光雄会長であるが、国連本部を訪れる際には、たとえ公式の会議が開催されていなくても、必ずWFMの国際副理事長本部にも足を運び、事務総長などの上級職員だけではなく、若手のスタッフたちとも懇談して、意見を吸い上げている。



  ベンドレイRP事務総長と

 WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会の常務理事を務める三宅光雄会長は、1月29日と4月17日の二度にわたり、ニューヨークの国連本部前にあるレリジョンズ・フォー・ピース(RP)の国際事務局でW・ベンドレイ事務総長と話し合った。


ベンドレイ事務総長と意見交換する三宅会長

 RPは、1970年に人類共栄会の創設者である三宅歳雄師が京都で設立した国際組織(旧称WCRP)であり、人類共栄会では41年間にわたって一貫して物心両面からこれを支援してきた。


  世界遺産熊野で国際森林年シンポ

7月10日、世界遺産熊野本宮会館において、国連国際森林年記念シンポジウム『神仏の森林文化』が開催され、250名が参加した。

 最初に、主催者を代表して薗田稔会長(京都大学名誉教授)が挨拶をし、また、ユネスコのバンコク事務局次長のE・クレエマン博士と中馬弘毅大阪ユネスコ協会会長が祝辞を述べた。続いて、熊野本宮大社の九鬼家隆宮司が『自然と人との共存〜再生の熊野本宮より〜』と題して、慶應義塾大学の宮家準名誉教授が『熊野本宮の修験道』と題して、コロンビア大学のマックス・モーマン教授が『神の森・仏の森〜熊野に見る霊場の構成』と題して、元世界銀行総裁顧問のキャサリン・マーシャル博士が『霊的リーダーシップと自然崇拝』と題して、国際省察クラブのミシェル・タオ・チャン会長が『神々の住まう森の文化〜意識の収束〜』と題して、それぞれが発表を行った。


閉会の挨拶をする三宅善信理事

 続いて、パネリストに対する質疑応答が行われ、フロアの元国際宗教学・宗教史学会会長のマイケル・パイ博士やジョン・ブリーン国際日本文化研究所准教授や岩澤知子麗澤大学准教授らから鋭い質問が寄せた。 

最後に、主催者を代表して三宅善信神道国際学会常任理事が閉会の挨拶を行った。人類共栄会では、ユネスコを始めとする国連機関との協力を各方面で行っている。