2万人という未曾有の犠牲者を出した東日本大震災の発生直後から、人類共栄会では数々の支援活動を展開してきたことは、第27号で既報のとおりであるが、昨夏以後も、継続的に各方面から被災地への支援を行っている。
▼心の相談室を支援
三宅光雄会長は、4月に気仙沼市、5月には南三陸町、6月には石巻市を訪れて、被災地の視察や支援金を贈呈するなど、早くから何度も被災地に足を運んで、その都度、必要とされる活動を行ってきた。
9月5日には、自身が会長を務めるIARF(国際自由宗教連盟)に加盟する海外の各団体や個人から寄せられた支援金545,879円を贈呈するため、仙台市を訪れ、被災者のこころのケアを行っている東北大学医学部臨床教授の岡部健「心の相談室」室長をはじめ、同事務局長の鈴木岩弓東北大学宗教学部教授、川上直哉宮城県宗教法人連絡協議会事務局長らと会談した。
「心の相談室」の皆さんに海外からの
支援金を手渡す三宅光雄会長 |
自らが医師でもある岡部室長は、たとえ今回の大震災を生き延びることができたとしても、多くの人々は、愛する家族や親しい人々を目の前で失ったことによる圧倒的な喪失感で大きな心の傷を負ったが、医療機関だけではこの傷を癒すことは不可能であり、宗教家の関与が不可欠であるとして、「心の相談室」を立ち上げた。
「心の相談室」では、提供された資金を利用して、10月1日から12月31日までの三カ月間。岩手・宮城・福島、三県の民放ラジオ放送局を通して計14回、毎週土曜日の朝、30分番組を放送することになった。同番組には、禅僧で作家の玄侑宗久師(政府の復興会議のメンバーでもある)や、尼僧で作家の瀬戸内寂聴師や、満百歳を迎えた現職の医師である日野原重明聖路加国際病院理事長等そうそうたる顔ぶれの出演が予定されており、被災者の様々な心の相談を受けて問題の解決に向けて取り組む番組となる。
▼息の長い支援事業を
また、ゴールデンウイークに行った青年の清掃ボランティア活動に続いて、7月5〜7日には石巻市と気仙沼市において、さらに、8月27〜29日には牡鹿半島地域において、人類共栄会の青年も参加して炊き出しや夏祭りのイベント支援活動を行った。
牡鹿半島で催された「夏祭り」の模擬店の様子 |
大震災から七カ月目に当たる10月11日には、三宅善信理事が気仙沼市で合同慰霊祭に列席した後、避難所を訪問。避難所の運営状況について説明を受け、深刻な被害を受けた港湾設備を視察した。
12日には、気仙沼湾に注ぐ大川の源流域に位置する岩手県一関市室根町のひこばえの森交流センターに三浦幹夫自治会長を訪れ、23年前から畠山重篤「牡蛎の森を慕う会」代表が推進している『森は海の恋人』運動の植林活動の詳細について、「山の民」側の視点から説明を聞くと共に、室根山系に登り、同植林運動への人類共栄会からの支援金を手渡した。
気仙沼市の避難所で地域リーダーから
説明を受ける三宅善信理事 |
さらに、13日には、三宅理事は福島県に入り、放射能被害の実態についてフィールドワークを行った。原発から相当離れた福島市内の公園でも、落ち葉などの放射線量は相当高く、今後数年間にわたって、農業などには大きな影響が出るものと思われる。
このように、人類共栄会では、震災発生直後のレスキュー犬派遣にはじまり、食糧や瓦礫撤去作業に必要な道具類の提供はもとより、生存者のこころのケアから、農林水産業復興のための環境保全に至るまで、その時々に必要な支援を継続的に行っている。