8月24日から27日までの4日間、英国のバーミンガム大学を会場に、本会の三宅光雄会長が会長を務めるIARF(国際自由宗教連盟)の第34回世界大会が、世界30カ国から約300名を集めて盛大に開催された。
【激変する時代環境】
4年前、ダライ・ラマ14世法王を基調講演者に迎えて南インドのコーチで開催されて以後、ソーシャルメディアの急速な普及により、北アフリカの長期独裁政権が次々と倒れたことは記憶に新しいが、宗教的少数派の人権擁護を主目的とするIARFでは、今回の世界大会のテーマを『デジタル時代における信教の自由の挑戦』と定めて、英国で最も「移民」の人口比率が高いバーミンガムが今回の世界大会の開催都市に選ばれた。
第34回IARF世界大会の開会式は、8月24日午後、バーミンガム大学のバーバーホールで開催され、英語と日本語による「平和の祈り」の唱和に続き、4年間IARFの会長を務めてきた人類共栄会の三宅光雄会長が開会の挨拶を行った。地元の各宗教の代表者や市長等による歓迎の辞に続いて、今大会の基調講演者で英国の著名な作家であるカレン・アームストロング女史が『宗教的問題とわれわれの時代が要求するもの』という講題の基調講演を行った。
開会式で会長挨拶を行う三宅光雄会長
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二日目からは、会場を同大学の学生センターに移し、朝の全体会合では、3人の発表者による『アニメーション』と題する映像をふんだんに用いたマイノリティとの和解プログラムが紹介された。その後、『少数派の権利とデジタルメディア』と『極論と極論の間』という二つの分科会が、それぞれ3人の発表者によって行われた。午後からは、『自由の遺産』と『他宗教の経典や文化への敬意の確立』という分科会が行われた。さらに、夕方には、各地域会議と『近接する者同士』という分科会が行われた。
婦人大会で挨拶する三宅会長
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【難しい総会の舵取り】
三日目は、4年に一度開催される法人としてのIARFの最高意思決定機関である「総会」が議決権を有する84名の代議員が出席して、三宅会長が「議長」を務めて開催された。「議題案」の採択、2010年に開催された第33回世界大会の「議事録承認」や「会長演説」に引き続き、過去4年間の「活動報告」や「会計報告」が行われた。本来、この任務を担うはずであった英国人の法務担当兼財務担当理事が任期を8カ月残して、昨年末に突然辞任したので、報告説明が難しい場面もあった。
その後、『メディアと責任』と『鋭敏化したネットワーク』という二つの分科会が開催され、午後からは、『デジタルユートピア主義』と題する全体会合が行われ、英国コプト教会首座のアンガエロス主教や英国諸宗教ネットワーク理事長のハリエット・クラブトゥリー博士他が発表者を務め、デジタル時代の実情について議論した。夕方には、バーミンガム大学の神学・宗教学部の教授たちによるパネルが行われた。
K・アームストロング女史と アンガエロス主教と
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【身を切る改革】
最終日の朝は、「総会」の第二日目として、前日の激しい議論を踏まえて、各項目毎の採決が行われた。前回の議事録の承認や過去4年間の活動報告や財務報告については、すべて圧倒的賛成多数で評決が行われたが、予め国際評議員会から提出されていた「常設の意思決定機関である国際評議員会の定数を現行の19名から11名に減らす」という「身を切る」定款条項の改正案件の決定には、非常に時間を有した。
というのも、「定款」を改訂するには、出席者の3分の2以上の支持を得なければならず、意見の対立する案件に関しては、改訂を行うのは事実上困難だからである。しかしながら、現行の「定款」が制定された2006年時には、国際事務局は英国にあり、常勤の事務局員が事務総長以下数名おり、国際評議員はまさに、年に1回集まって「思いつきの意見を述べる」だけで良かったが、2008年以後は、国際事務局が大阪へ移転し、事務局員の1名だけになった上に、インターネットの発達により、国際評議員同士が日常的に意見交換を行うようになったので、IARFを取り巻く「前提」そのものが大きく変化したからである。
総会での代議員による挙手採決の様子
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非常に近接した票数が予測されたので、挙手ではなく投票用紙を用いた投票になり、「国際評議員の定数を19から11名に減らす」という改革案については、賛成56票・反対28票とまさに3分の2ちょうどというギリギリで可決された。これに伴い、「11名の国際評議員とは、東アジア・南アジア・欧州中東・北米の各地域からの2名ずつに加えて、RFYN(青年団体)代表・IALRW(国際自由宗教婦人連盟)代表と、総会時に一般会員から選ばれる1名」という定款改訂が成立した。なお、今回の総会で、新たな三役を含む国際評議員11名が選任され、会長には、オランダのウィツケ・ダイクストラ女史が、副会長には三宅光雄師が、財務理事には米国のベッツィー・ダール女史が選任された。
閉会式で謝辞を述べる三宅前会長
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【将来を託す】
総会終了後、最後の全体会合『自由の技術』と題するセッションが、ジュネーブのIARF国連代表らによって行われ、各国から合計で発表者が三十数名にも及ぶ充実したプレゼンテーションであった。昼食後、閉会式が行われ、各大陸からの青年たちの代表が今回の世界大会の感想や提言を述べ、三宅光雄会長から、過去4年間にわたる国際役員、一般会員、そして、今大会のボランティアへの感謝と、次期会長に選任されたW・ダイクストラ女史の指導力への期待を込めた挨拶が行われ、歴代会長に継承されてきた「議長の木槌」が、万雷の拍手のもとに三宅会長からダイクストラ新会長へと手渡され、ダイクストラ新会長から就任挨拶が行われ、第34回世界大会は無事、閉会した。
青年総会で挨拶する三宅会長
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なお、IARFの世界大会に先立ち、三宅会長は、姉妹団体であるIALRW(国際自由宗教婦人連盟)の世界大会の閉会式と、傘下のRFYN(自由宗教青年ネットワーク)の総会に、特別ゲストとして招かれ、それぞれの団体への期待を込めたスピーチを行った。
【松本芳之さんの感想 】
松本芳之さん
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IARF世界大会が、会長先生の祈り深いご挨拶で始まり、孔子を主にしたアームストロング博士の基調講演に、「寛容」や「おもいやり」という言葉が出てびっくりしました。講演後、多くの宗教家の先生が熱心に質疑をされる姿にも感動しました。世界平和は武力による解決でなく、同じ土俵を作り熱い議論を通してこそできる近道であると感じました。まさに今、日本だけでなく世界で道徳教育が必要とされている時代だと感じました。IARFは、他の国際機関よりも地道だが、着実に世界平和の種まきをしていると確信しました。大会を通して、教育の原点に戻り邁進したいと思います。
【田村聡子さんの感想】
田村聡子さん
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会長先生のお供に加えていただき、英国で開催されたIARF世界大会に参加させていただきました。大会には、政治・経済が混乱している中、「宗教家として何とかしなければ…」という気持ちのもと、たくさんの人が集まりました。世界中の多様な宗教や、また、それに携わる方々ごとに、いろんな価値観や思いがあることを目の当たりにしました。
これだけ違う背景の人々の意見をまとめ、一丸となって世界中にある課題に取り組むことは簡単ではなかったと思います。あらためて、会長先生のリーダーシップの強さを実感しました。仕事の都合もあり、全日程は参加できなかったのですが、一個人としても、深く考えさせられる機会を頂きました。有難うございました。