ごあいさつ

三宅光雄会長

本年7月7日、国連総会において、核兵器の実験・製造・備蓄・移譲・使用等を全面的に禁止する画期的な『核兵器禁止条約』が採択されました。しかし、たとえ法律を施行したとしても、これに反した者を取り締まる警察がなければ実質的に意味がないのと同様、国際社会においても、この条約の締結に反対してきた核保有国の行為を実際に取り締まることができない以上、いわば「絵に描いた餅」にすぎません。

そんな国際情勢の中で、度重なる国際社会からの非難の声を無視して弾道ミサイルの発射実験を繰り返してきた北朝鮮は、とうとうICBM(大陸間弾道ミサイル)の技術を手に入れました。このミサイルの弾頭に、すでに開発に成功している核爆弾を搭載すれば、世界中の任意の地点をいつでも核攻撃できるという意味です。

何故、こんな事態になってしまったのかというと、答えは簡単で、国連やアメリカは「制裁、制裁」と口先で唱えるだけで、本気で北朝鮮の独裁者に対峙してこなかったからです。具体的に言うと、二十年前に北朝鮮の核施設をピンポイント攻撃していたら、おそらく数百人の犠牲者を出すだけで北朝鮮の核開発の夢は潰えていたでしょう。十年前でも数万人の犠牲者で済んだはずです。

しかし、その時代その時代の米国大統領が、その「痛み」――当然、自らの決断に対する内外から批判に晒されることになる――に耐えることを避けてきたせいで、今や、数億人の人々が、いわば「人質」に取られたような格好になってしまいました。

しかも、現在のトランプ大統領の立場は非常に不安定で、下手をすると、純粋に戦略的な目的からではなく、自らの政権運営の失敗に対する内外からの批判を誤魔化すために、北朝鮮に対する軍事作戦を実行する可能性すらあります。

これは極端な例でしたが、われわれの周囲には、環境問題にしろ難民問題にしろ、「今、取り組んでおけば少ない痛みで済む」ものを、見て見ぬふりをして後回しにし、その場の楽に就いたせいで、後になって何倍ものツケを払わされるというようなことがよくあります。私たち人類共栄会も、厳しい、困難であると思われることから取り組んでゆきたいと思います。

コンポジウム気仙沼を今年も支援

今年も、「コンポジウム気仙沼」の開催される季節となった。「コンポジウム」とは、「コンサート」と、語り合う「シンポジウム」を合わせた造語で、東日本大震災被災地の気仙沼市民会館に、被災地の風景を描いた巨大な絵を設置し、大津波で亡くなられた方々に鎮魂の祈りを捧げると共に、気仙沼の郷土芸能や合唱、ダンス等で来場者を楽しませた後、専門家を招いて気仙沼の希望ある未来を探るためのシンポジウムが3年前から開催されている。

人類共栄会では、本イベントの実質的な推進者である大阪大学大学院の人間科学研究科で「利他主義」について研究実践をされている稲場圭信教授を通じて、息の長いこの被災地の復興支援活動に毎年10万円の支援をさせていただいている。

三宅会長 パナマでGNRC第5回フォーラムに

三宅光雄会長は、5月9日から11日までの三日間、600名の参加者を集めてパナマ共和国で開催された「子どものための宗教者ネットワーク(GNRC)」第5回フォーラムに出席し、フォーラム第二日の全体会議の議長を務めた。

GNRC全体会議でスピーチする三宅光雄会長
GNRC全体会議でスピーチする三宅光雄会長

GNRC(子どものための宗教者ネットワーク)は、妙智會教団の外郭団体である「ありがとう基金」によって2000年に東京で設立された子どもの権利と福祉に取り組んでいる宗教指導者のグループ、子どものために活動を行う宗教団体、教育者、NGO、ユニセフやユネスコ等の国連機関などが参加しているプラットフォームである。現在では、国連経済社会理事会に諮問資格を有する国際NGOの「ありがとうインターナショナル」が運営しており、三宅会長も理事の一人として名を連ねている。2002年には、国連本部で開催された「国連子ども特別総会」で宮本丈靖GNRC総裁(当時)が代表演説を行い、これまで、ジュネーブで第2回を、広島で第3回を、タンザニアで第4回のフォーラムを開催してきた。

パナマ共和国のヴァレラ大統領と三宅会長
パナマ共和国のヴァレラ大統領と三宅会長

今回の第5回フォーラムでは、『子どもに対する暴力をなくす』をテーマに、パナマ共和国のフアン・カルロス・ヴァレラ大統領が開会式に臨席し、三宅会長が大統領の案内役を務めた。ヴァレラ大統領は、挨拶の中「国際社会と人類の家族全員が世界の子どもたちの窮状に緊急に対応するように」と呼びかけた。他にも、ユニセフ事務局長アンソニー・レイク氏、国連事務総長特別代表・子どもに対する暴力担当マルタ・サントス・パイス女史、子どもに対する暴力をなくすグローバル・パートナーシップ事務局長スーザン・ビッセル博士、ヨルダン王国のハッサン・ビン=タラル殿下、教皇庁諸宗教対話評議会議長ジャン・ルイ・トーラン枢機卿、世界教会協議会総幹事オラフ・フィクセ・トヴェイト師らが、大変メッセージ性の強い講演を行った。参加者たちは、現代の子どもを取りまく環境や社会がいかに複雑であり、国を超えて、宗教間の協力なしには問題の根本的解決に至らないことを再認識した。

全体会議の議長として議事進行する三宅会長
全体会議の議長として議事進行する三宅会長

また、5月6日から8日までの三日間にわたって20カ国からの青少年が集って開催された「子ども事前会議」に本会会員の三宅薫氏が参加し、わずか3名しかいない、第1回フォーラムからの連続参加者として、リーダーシップを発揮した。

子ども事前会議に参加した三宅薫氏
子ども事前会議に参加した三宅薫氏

ドイツでG20諸宗教サミットに

G20諸宗教サミットで発表する三宅善信氏
G20諸宗教サミットで発表する三宅善信氏

6月15日から17日にかけて、ドイツの古都ポツダムで、2017年度のG20諸宗教サミットが、33カ国から約120人の宗教指導者、政府・国際機関関係者、学者らが一堂に会して『宗教と持続可能な発展と難民危機』をテーマに開催された。このG20諸宗教サミットは、2000年代に開催されていたG8宗教指導者サミットが一巡したのを受けて、三年前のオーストラリアからG20諸宗教サミットへと改組され、より国際政治への影響を意識したものである。

15日の開会式では、G20諸宗教サミットの運営組織の執行委員長であるオーストラリアのグリフィス大学のブライアン・アダムス諸宗教・諸文化研究所長や会場を提供したポツダム大学のオリバー・ギュンター学長他3名が歓迎の挨拶を行った。さらに、同大学の六つの学部の教授たちによるパフォーマンスや各種の音楽が供せられた後、フランス正教会首座のエマニュエル府主教や米国の前国際自由宗教拡大大使のデビッド・サーパースタイン師他3名が基調講演を行った。

三日間の開催期間中、6回の全体会議と、のべ18回(三分科会の並行開催が6回)に及ぶ分科会が開催された。正式参加者全員が、それぞれ数名ずつに分かれて講演者・パネリスト・モデレータを務めて議論を深め合った。

前身のG8宗教指導者サミットはもとより、G20諸宗教サミットに改組して以来連続参加している唯一の日本人である本会の三宅善信理事は、『信仰と持続可能な発展と環境』セッションに、エマニュエル府主教、トルコの前外務事務次官イブラヒム・オズデミール氏、オランダのアウラハム・セテンドロップ人間の価値研究所長らと共にパネリストをして登壇し、パワーポイントを用いて、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教という一神教の人々にも解りやすく、神道的価値観について生物多様性の原理を人類の文化に敷衍させて発表を行った。

九州の被災地支援活動を継続

熊本地震の合同祈願式で祈る三宅光雄会長
熊本地震の合同祈願式で祈る三宅光雄会長

人類共栄会では、震度7の激震を二度記録し、熊本城の石垣の崩壊など周辺地域に甚大な被害をもたらせた昨年4月の熊本地震の発災以来、累次にわたり、三宅光雄会長はもとより多くの人類共栄会員たちが現地を訪れ、倒壊した家屋の解体整理や避難所や仮設住宅での炊き出し奉仕等を行ってきたのは既報のとおりであるが、今年に入っても、数々の支援事業を継続している。

1月22日に、三宅会長が金光教大阪災害救援隊の白神信幸隊長に100万円を寄託したのをはじめ、3月25日には募金で集めた58,164円を、5月1日には75,770円を、7月14日には279,310円をそれぞれ寄託し、このプログラムを通じた本年前半の熊本地震被災者への支援金の合計は、1,413,244円となった。

4月19日には、WCRP日本委員会主催の諸宗教による「熊本地震の追悼と鎮魂ならびに復興合同祈願式」が震災で倒壊した金光教木山教会の境内地で開催さて、三宅会長がWCRP日本委員会を代表して玉串を奉奠し、挨拶を行った。引き続き、発災後一年を迎えた熊本市内や益城町の視察を行った。また、三宅会長は、益城町における大阪災害救援隊の活動現場を訪れ、時間の許す限り、炊き出し奉仕の手伝いをした。

大阪災害救援隊で炊き出しを手伝う三宅会長
大阪災害救援隊で炊き出しを手伝う三宅会長

5月25日から27日にかけては、本会会員の三宅薫氏が、金光教大阪災害救援隊の第14次派遣隊の一員として一番被害の大きかった益城町の安永仮設団地で炊き出し奉仕活動を行った。

さらに、本年7月に福岡・大分の両県を襲った集中豪雨災害の被災地で、浸水家屋の泥掻き奉仕や家財道具の片付け奉仕のボランティア活動を行うため、8月9日〜14日(第16次)、9月25日〜29日(第17次)の日程で、従来の熊本県に加えて、福岡・大分の両県にも災害救援隊が派遣され、人類共栄会では、財政的にも人材的にも、この活動を支援していくことにしている。

集中豪雨で被災した日田市の大鶴教会
集中豪雨で被災した日田市の大鶴教会

オランダでIARF国際評議員会開催

オランダで開催されたIARF国際評議員会
オランダで開催されたIARF国際評議員会

4月19・20両日、IARF(国際自由宗教連盟:W・ダイクストラ会長)の年次国際評議員会が、日・米・欧・中東・南アジアからの代表を集めてオランダの港湾都市アイムイデンで開催され、IARFの副会長を務める三宅光雄人類共栄会会長の名代で、三宅善信氏が出席した。

今回の国際評議員会は、世界各地域の活動報告や予算決算の承認など通常の審議事項に加えて、来年夏にワシントンDCで開催が予定されている第35回世界大会を控えて、任期四年の国際評議員の選任方法の決定や定款や規約の改正手続きの準備、さらには、次期世界大会の開催地の正式決定とホスト委員会の人選や大会予算の承認など、数多くの審議事項が上程された。

さらには、諸般の事情で今回の会議に出席できなかった青年ネットワーク(RFYN)代表のジャンビ・グプテ女史(インド在住)と、ケニアでのプログラムリーダーが、インターネット回線を用いたビデオ会議の形式で参加するハイテク会議となった。

なお、来年7月末から8月初めにかけて予定されている第35回世界大会は、米国の首都ワシントンDCで開催されることが正式に承認され、信教の自由やマイノリティの擁護(多様性の尊重)などを活動目的としているIARFとして、他の諸宗教対話団体と協力して、これらの価値に対してネガティブな評価をしているトランプ政権のお膝元で、IARFの理念をアピールしてゆくことになった。

国際評議委員会の議論を導く三宅善信氏
国際評議委員会の議論を導く三宅善信氏

第37回チャリティバザー

終日子供たちの歓声で賑わったバザー会場
終日子供たちの歓声で賑わったバザー会場

5月5日、新緑の眩しい金光教泉尾教会の境内および会堂ホールを会場に、人類共栄会主催の第37回チャリティバザーが開催され、近隣住民など多くの来場者があった。『世界中の子供たちの笑顔のために』と銘打って毎年この時期に開催されるこのバザーによって、これまで、南アジアの各国で展開してきた孤児院や学校等が運営されてきた。

バザー会場は、友愛セール、餅つき・ちゃんこ鍋・ちらし寿司・焼きそば・かき氷等の各種模擬店、エアバルーン等のゲームコーナーが盛況で、商品は3時間ほどでほとんど売り切れた。また、昨年より設置されている特設ステージでは、民謡等が披露された。なお、この日の収益金の1,494,812円は全額、人類共栄会を通じて熊本地震の被災地等への救援事業に充てられた。

バザーの収益金は全額人類共栄会に寄託された
バザーの収益金は全額人類共栄会に寄託された

世界連邦近畿協議会総会

世連近畿協議会会長として挨拶する三宅光雄会長
世連近畿協議会会長として挨拶する三宅光雄会長

6月2日、人類共栄会会議室において、世界連邦近畿協議会の平成29年度総会が開催され、二十数名が出席した。最初に、世界連邦近畿協議会の会長を務める本会の三宅光雄会長が挨拶を行い、引き続いて、昨年度の活動報告・決算ならびに本年度の活動方針・予算が審議され、活発な議論の後、原案どおり承認された。

特に、本年は、大阪府が世界連邦運動協会の全国大会の当番県であることから、同大会への参加が促された。

国連で核兵器禁止条約の締結を

清水寺で行われた核兵器禁止条約の署名活動
清水寺で行われた核兵器禁止条約の署名活動

5月29日、WCRP日本委員会は、日本原水爆被害者団体協議会と協力して、清水寺において、核兵器廃絶を訴える「ヒバクシャ国際署名」を開始した。これは、6月に国連本部で開催される核兵器禁止条約第2回交渉に対して、地球市民の切実な声を届けるもので、世界各国から清水寺に訪れた観光客にもアピールし、その様子が新聞各紙で取り上げられた。

この日のプログラムには、本会理事の三宅善信氏もWCRP日本委員会核兵器禁止条約タスクフォース委員として中心的に活躍しており、これらの動きもあって、画期的な「核兵器禁止条約」は7月7日の国連総会第一委員会で可決採択された。

2017年度JLC当番事務局に

JLC当番として挨拶する三宅光雄会長
JLC当番として挨拶する三宅光雄会長

日本国内のIARF(国際自由宗教連盟)加盟教団および日本チャプターならびにIALRW日本によって構成されるIARF日本連絡協議会(JLC)は、毎年、加盟教団が輪番で事務局を引き受けることになっているが、2017年度は、金光教泉尾教会がその任に当たっている。

2017年度前半は、2月9日と6月12日に第202回と第203回のJLC会議がそれぞれ開催され、IARF副会長を務める本会の三宅光雄会長が歓迎の挨拶を行った。なお、本年中に、東北地方でのフィールドワークをはじめ、JLC関連行事があと3回開催される予定である。