ごあいさつ

三宅光雄会長

人類共栄会員の皆様には、健やかに新しい年をお迎えになられたこととお慶び申し上げます。 米朝間の歴史的和解や米中間の貿易戦争の激化、さらには、長年「塩漬け」になっていた日露間の領土問題の急速な進展など、日本を取り巻く国際環境は激動しています。

今年、5月には近代国民国家成立後はじめての天皇陛下の生前譲位が予定され、つづいて6月末のG20サミット、秋にはラグビーワールドカップの開催など、世界の耳目が日本に集まる年となりそうです。そんな中で、日本社会に根本的な変化をもたらしかねない「入国管理法」の改正が、単なる産業界の「人手不足」の解消手段として進められています。

昨年末、男鹿の「ナマハゲ」など日本各地の「来訪神行事」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。世界のどこでも、伝統社会における地域共同体は、構成員同士お互い皆「顔見知り」であることが原則だったので、この閉じられた共同体に辿り着いた「余所者(よそもの)」を「異分子」として排除する傾向が強かったのですが、島国である日本は、この余所者を「稀人(まれびと)」として歓迎し、「客人(まろうど)」として歓待し、場合によっては「カミ」として祭り上げることによって、社会の閉塞を打破しようとしてきました。

しかしながら、日本社会になんらかの恩恵をもたらしてくれた「来訪神」は、たとえこちらに落ち度がなくても、彼らの気分が変わると、すぐまたどこかへ行ってしまうということを忘れてはなりません。現在はまだ、辛うじて日本のGDPのほうが東南アジア各国よりも高いので、日本に「働きに来たい外国人」のほうが優勢ですが、近い将来、これが逆転して「出て行きたい日本人」のほうが優勢になってしまえば、少子高齢化に拍車がかかって、日本社会はあっという間に衰退していってしまうでしょう。

私たち人類共栄会では、世界中の人々が、まるで「ひとつの家族」であるかのように、その喜びも悲しみも楽しみも苦しみも分かち合えるようになりたいものです。皆様、人類共栄会の活動がますます盛んになりますように、ご協力よろしくお願いします。

三宅会長 WFM第一副理事長に再選

三宅会長 WFM第一副理事長に再選

7月7日から13日まで、オランダのハーグでWFM(世界連邦運動)の世界大会が開催され、三宅光雄人類共栄会会長が出席した。ハーグは、欧州における国連の拠点のひとつで、国家間の紛争を調停する国際司法裁判所や、自国民に対して非人道的な行為を行った独裁者等の責任を問う国際刑事裁判所が置かれている。

大会に伴って実施される役員改選で、三宅会長はWFMの第一副理事長に再選された。また、2020年に予定されている次回の世界大会が、AYC(世界連邦アジア青年センター)がホストとなって、金光教泉尾教会で開催されることが決定された。

世界連邦アジア青年センター総会コルカタで開催

AYC総会に併せて開催された執行理事会の様子
AYC総会に併せて開催された執行理事会の様子

3月10日、インドのコルカタにて第10回世界連邦アジア青年センター(AYC)総会が『アジア諸国における社会環境や人類との関係性における現在の状況と解決法について〜調和と平和を維持するために〜』をテーマに各国代表と地元会員約百名が参加して開催された。

総会では、AYC会長である三宅光雄会長からの挨拶に続いて、国連のICC(国際刑事裁判所)創設者のひとりであるナラシムハン・スンダララマン博士が記念講演を行った。続いて、パネルディスカッションとして、5カ所のAYC支部(全体で8カ国に11の支部がある)の代表が、それぞれの国や地域における社会問題とそれへの取り組みについてプレゼンテーションを行い、フロアとの間で、熱のこもった意見交換がなされた。

また、2年前に長年AYC事務総長を務めたハイデラバードのスクマル・デイビッド氏が死去した後を受けて新たに事務総長に就任したサンジーブ・クマール氏の運営による初めての総会にもかかわらず、先年、執行理事会議長に就任した人類共栄会の三宅薫氏と地元コルカタ支部の役員たちとの間で事前に入念な打ち合わせがなされたので、順調な総会運営であった。

コルカタで開催された第10回AYC総会を終えて
コルカタで開催された第10回AYC総会を終えて

なお、人類共栄会からは、AYC会長と議長に加えて、AYC日本支部代表の高橋真理子氏、同前代表の吉村裕之氏、三宅泉氏、内田信雄氏、田村聡子氏、南原友子氏の8名がコルカタでの第10回総会に参加した。

翌11日には、AYCコルカタ支部と縁の深いノーベル平和賞受賞者の聖マザー・テレサが始めたターミナルケア施設「死を待つ人々の家」を訪問した。もともとは、カトリックの一修道女が始めた修道会の施設であったが、宗教・民族・国籍の違いを超えて、世界中からこの活動を支援する人々が集まり、マザー・テレサ尼の死後21年もの歳月が経過するにもかかわらず、毎日、世界中から数十人のボランティア希望者が来訪する「ボランティア活動の聖地」のような施設であり、この日「死を待つ人々の家」を訪れたアジア各地で社会奉仕活動を展開しているAYCの会員にとっても、それぞれの地域で展開する活動のあり方を自己吟味するためにも、大変良い機会となった。

AYCスリランカ支部創立30周年

アリアラトネ博士を迎えるAYCスリランカ支部の役員たち
アリアラトネ博士を迎えるAYCスリランカ支部の役員たち

10月3日、世界連邦アジア青年センター(AYC)のスリランカ支部の創立30周年記念集会がコロンボで開催され、AYC会長の名代として、三宅薫AYC執行理事会議長が現地を訪れた。

スリランカとAYC創設者である故三宅歳雄師との縁は深く、1951年のサンフランシスコ講和会議の際に、当時のセイロン代表として世界の趨勢に抗して日本を擁護したことでも知られるJ・R・ジャヤワルダナ前大統領(1991年当時)は、大阪まで三宅歳雄師を表敬訪問されたこともあるくらいである。

AYCスリランカ支部の30周年式典には、有機農業に基づく持続可能な第一次産業の活性化を通して農村開発を行うアジア最大級のNGO「サルボダヤ運動」の創始者であるA・T・アリヤラトネ博士も来臨して、AYCスリランカ支部の活動を高く評価した祝辞を述べた。

第38回チャリティバザー

プレスラーの飛び入り参加で盛り上がる餅つき
プレスラーの飛び入り参加で盛り上がる餅つき

5月5日、新緑の眩しい金光教泉尾教会の境内および会堂ホールを会場に、人類共栄会主催の第38回チャリティバザーが開催され、近隣住民など多くの来場者があった。『世界中の子供たちの笑顔のために』と銘打って毎年この時期に開催されるこのバザーによって、これまで、南アジアの各国で展開してきた孤児院や学校等が運営されてきた。

バザー会場は、友愛セールの他に、ちゃんこ鍋・ちらし寿司・焼きそば・かき氷等の模擬店や各種のゲームコーナーが盛況で、商品は3時間ほどでほとんど売り切れた。また、今回は、9名のプロレスラーがチャリティバザーの趣旨に賛同して、特設リングで熱戦を展開しただけでなく、その屈強な肉体を活かして餅つきイベントを盛り上げた。なお、この日の売り上げ1,545,719円は全額、人類共栄会を通じて各地の被災地等への救援事業に充てられた。

第35回IARF世界大会 ワシントンDCで開催

世界大会の主催団体を代表して紹介された三宅光雄会長を中心に
世界大会の主催団体を代表して紹介された三宅光雄会長を中心に

7月29日から8月1日まで、ホワイトハウスからも近いジョージワシントン大学を会場に、『諸宗教対話をもう一度想起しよう』をテーマに、IARF(国際自由宗教連盟)の第35回世界大会が開催され、世界各国から約350名が参加した。

29日の夕方に催された開会式では、IARF副会長でもある本会の三宅光雄会長をはじめ、今回の大会の開催に協力した諸団体の代表者が舞台上に紹介された。また、この日の夜に催された「諸宗教の祈り」では、三宅会長が日本の宗教者を代表して「祈り」を行った。

30日は、午前と午後の2回に分けて、国際的な非営利活動を行う公益法人(NGO)として英国で登記されているIARFの「総会」が開催された。今回の総会の主たる目的は、次期世界大会までの4年間の役員人事と、英国内法の改正に合わせるために、公益法人としての定款の改定を審議することであり、そのため、丸一年以上かけて各方面と調整してきた。

代議員と執行部の間で真剣な討議が行われた総会
代議員と執行部の間で真剣な討議が行われた総会

「総会」での激しい議論の応酬の末、4年に1度だけ開催される総会と総会の間、総会に代わってIARFの意思決定機関となる国際評議員が選出され、人類共栄会の三宅善信理事が、公益法人としてのIARFの責任役員となる財務担当理事に選出された。また、これまで4年間会長を務めたオランダ人のウィツケ・ダイクストラ女史に代わって英国人のロバート・インス氏が会長に選出された。

4日間にわたっていろいろなセッションが同時並行的に開催される間隙を縫って、新執行部を構成するインス会長と三宅財務理事に加えて、ジャンビ・グプテ副会長の三名で、諸般の擦り合わせが行われた。

31日には、大会参加者が徒歩でホワイトハウスの「裏庭」まで行進し、宗教的・民族的マイノリティに対してネガティブな発言の多いドナルド・トランプ大統領に抗議するための「平和の祈り」集会が催され、米国において諸宗教対話に興味を持っている人々とも情報を交換できる良い機会となった。

大会最終日の8月1日まで、現在アメリカで流行している形式でのいろんな意見交換の場が持たれた後、閉会式が行われ、その直後に新国際評議員による最初の国際評議員会が開催された。なお、人類共栄会からは三宅光雄会長以下10名が参加した。

国際宗教同志会

6月の例会終了後に行われた記念撮影
6月の例会終了後に行われた記念撮影

現代社会に惹起する様々な問題について宗教者が学び合う場である国際宗教同志会の平成30年度の例会が2月5日と6月12日と10月5日の三回、金光教泉尾教会において開催された。

2月には皇學館大学の新田均教授が『皇位継承の概要と課題』と題して、6月にはオスロ大学のマーク・テーウェン教授が『民俗宗教の概念化:ミャンマーのナッ信仰、ヒンドゥー教、神道』と題して、10月にはフォトジャーナリストの宇田有三氏が『<ロヒンギャ問題>の問題化』と題して記念講演を行った。

第32回UPF世界指導者会議

三宅善信理事による講演に耳を傾けるILC参加者
三宅善信理事による講演に耳を傾けるILC参加者

8月26日から28日まで、韓国ソウルでUPFの第32回世界指導者会議(ILC)が開催され、本会の三宅善信理事が参加した。

UPF主催の諸国際会議は、宗教者だけでなく、各国の国会議員や国際機関の代表、また米国の政策決定に大きな影響を与えるシンクタンクの専門家らが継続的に参加し、場合によっては、大統領や首相クラスの「大物」が基調講演を行うことで知られている。

三宅善信理事は、諸宗教対話の方法論についてスピーチを行い、それが敵国同士の軍縮交渉よりも方法論的に難しいものであることについて論説した。

IARF役員会 オランダ

IARFの予算管理について問題点を指摘する三宅理事
IARFの予算管理について問題点を指摘する三宅理事

4月11・12両日、オランダのエグモント・アーン・ゼーにおいて、2018年度のIARF(国際自由宗教連盟)の国際評議員会が開催され、副会長を務める三宅光雄師の代理として三宅善信理事が出席し、世界大会に向けての準備を進めた。

会長 アブダビ皇太子主催の諸宗教連合会議に出席

デジタル社会における子どもの擁護に関して発表する三宅会長
デジタル社会における子どもの擁護に関して発表する三宅会長

11月19・20両日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで開催されたモハマド・ビン・ハリファ・ビン・アル=ナフヤン皇太子主催の「安全なコミュニティーのための諸宗教連合会議:デジタル世界における子供の尊厳」に三宅光雄会長が招待され、意見発表を行った。

この会議は、ちょうど一年前にフランシスコ教皇も出席してバチカンで開催された同名の会議を継承するもので、今回の会議には、イスラム法の最高権威であるエジプトのアズハル大学のアフマド・アル=タイーブ総長、東方正教会のバーソロミュー全地総主教、アレクサンドリアのコプト教会の総主教タワドロス二世をはじめとする世界の宗教指導者はもとより、世界各地から450名の国家指導者や国際機関の代表者らが一堂に会して、二日間にわたる討議を行った。

1989年11月20日に国連本会議で採択された全54条におよぶ「児童の権利に関する宣言」(いわゆる「子どもの権利条約」)の29周年記念日にあたる二日目に登壇した三宅光雄会長は、「子供たちに対して、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的もしくは社会的出身、財産、心身障害、出生にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する」ことが義務づけられており、2015年に採択された『持続可能な開発目標(SDGs)』においても、貧困や飢餓の撲滅、すべての人に健康や教育機会を提供することが国際社会を挙げて行われ、子供の健全な成長を目指す取り組み行われている。

世界の宗教指導者たちとディスカッションする三宅会長
世界の宗教指導者たちとディスカッションする三宅会長

また、子供に対する性的虐待や搾取の問題も、29年前から指摘され、各国政府や国際機関、宗教団体の努力によってそれなりに改善してきたが、29年前には想像することもできなかった機能を有するインターネットやソーシャルメディアの普及によって、地球規模でのマネーロンダリングやテロリストの資金調達が容易になったり、今回の会議で取り上げているようなインターネットやソーシャルメディアを用いた人身売買や、危険なゾーンに子供を勧誘することが安易になった。そこで、「世界の諸宗教が連携して、それぞれの倫理観に基づく監視活動を展開していくことを提言したいと」述べた。

熊本地震追悼式

4月26日、WCPR日本委員会主催の熊本地震の犠牲者追悼式と復興祈願祭が熊本大神宮で催され、同委員会評議員でもある三宅光雄会長が煬ゥ三明カトリック長崎大司教らと共に列席し、玉串を奉奠した。

2016年4月に発生した熊本地震では、震度7を二度も記録するなど、熊本県から九州北部に大きな犠牲をもたらしたが、人類共栄会では、発災後すぐから救援隊や奉仕隊を何次にもわたって派遣して被災者を支援してきた。また、2018年度は5月、7月、12月の三次にわたって集めた義援金483,104円を寄託した。

他にも、2017年7月に九州北部地方を襲った九州北部集中豪雨の被災地域に対しても、金光教大阪災害救援隊の皆さんと協力して継続的な支援活動を展開している。

ブエノスアイレスでG20諸宗教フォーラム開催

気候変動セッションでコメントする三宅善信理事
気候変動セッションでコメントする三宅善信理事

9月26日から28日まで、アルゼンチンのブエノスアイレスでG20諸宗教フォーラムが開催され、人類共栄会の三宅善信理事が出席した。アルゼンチン外務省で開催された開会式には、ガブリエラ・ミケッティ副大統領による歓迎の挨拶、また、フランシスコ教皇やバーソロミュー総主教らのビデオメッセージが寄せられた。

続いて、第1全体セッションに移り、「宗教と新しいグローバルな挑戦」と題して、ローワン・ウイリアムス第104代カンタベリー大主教やサウジアラビアのアブドラ・アルヒーダン宗教省顧問らがそれぞれ基調講演を行った。

27日には第3全体セッションが「地球のためのケア:気候変動に対する様々な挑戦と宗教的役割」と題して行われ、特に南米各国でそれぞれの活動を展開している人々が講演を行い、ディスカッションが展開された。その分科会のひとつである「気候変動に対する宗教的アプローチ」において、三宅理事が気候変動に真剣に取り組まなければならない必然性について力説した。

最終日に当たる28日は、会場を国立図書館内のホールに移し、朝から全体セッションを行い、昼食後閉会式が行われた。なお、全日程終了後、2019年の6月に関西で開催される予定のG20諸宗教フォーラムの開催日程や予算やテーマ等の大枠について協議された。