99年 Summer

ごあいさつ
ごあいさつ
人類共栄会 会長 三宅龍雄人類共栄会 会長 三宅龍雄

ひとことご挨拶申し上げます。新体制への移行から1年半が経過し、その間に約650名の方が新たにこの運動に参加して下さったことに感謝申し上げます。日本国内では、政治主導の大規模な景気テコ入れ策によって、長かった平成不況もようやく回復の兆しが見えかけてきましたが、世界に目を向けますと、この半年間だけでも、コソボ自治州におけるNATO軍とユーゴ連邦軍の2カ月半に及ぶ戦争が欧米各国を巻き込んで戦われ、数多くの尊い人命が失われただけでなく、ユーゴスラビア内の諸都市が破壊され、百万人に及ぶアルバニア系住民が難民となって隣国へ流出するという事態になりました。

幸い、この戦争は国連安保理の決議を両者が受け容れて6月11日に一応の停戦を見ましたが、国際紛争に関する討議の場である国連を軽視した米国主導のNATO軍による実力行使(空爆)は、民族紛争の解決手段としては決して有効なものではないということを証明した形になりました。砲弾が飛び交う戦争は終結したものの、ユーゴ連邦内でのセルビア系住民とアルバニア系住民間の相互不信は一層深まり、破壊された生活基盤の再建のためには国際社会からの膨大な支援が期待されていますが、実際にはなかなか捗らないものと思われます。

アジアでは、総選挙後のインドネシアが経済再建に向けて歩み出しましたが、昨年、核兵器保有国となった印パ両国の軍拡競争は留まるところを知りません。そして、何よりも大きな不安定要因としては、北朝鮮の昨今の不気味な行動です。幸いなことに、日本周辺では、朝鮮戦争以後半世紀にわたって「戦争のない状態」は維持されましたが、この「平和」がいつ壊れるとも限りません。そうなれば、日本も、金融破綻や経済不況どころの騒ぎでは済みません。千万人単位の難民が押し寄せることは目に見えています。 20世紀の戦争だけで、1億6000万人もの尊い人命が失われました。この世紀末の時代に、微力ながらもわが人類共栄会は、この人類社会に対して警鐘を鳴らし続けてまいりたいと思います。


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