■IARF国際評議会に会長名代が出席
3月22日から25日まで、英国オックスフォード大学のハリス・マンチェスターカレッジにおいて、IARF(国際自由宗教連盟:E・ファン・ヘルワイネン会長)の定例国際評議員会が開催され、国際評議員である三宅龍雄人類共栄会会長の代理として三宅善信師が出席した。
3月22日午後五時(現地時間)、IARF国際評議員会は、「仏教徒にとっての沈黙(台湾仏光山の覚門法師が担当)」というレクチャーと黙祷よって始まった。最初に、一年ぶりに開催された国際評議員会ということで、この一年間にそれぞれのところで起こった出来事について報告し合った。この晩は、2002年にハンガリーのブタペストを中心に東欧3カ国で開催される予定の第31回IARF世界大会の進捗状況について協議された。
2日目にあたる23日の会議は、「イスラム教徒にとっての沈黙(インドのM・アリ・カーン博士が担当)」で始まった。最初に、今回の評議員会で最も重要なテーマである2001年から2007年までのIARFの長期戦略を考察することの意味がA・クラーク事務総長から説明された。ここ数年、飛躍的な発展を遂げたWCRP(世界宗教者平和会議)と比べてIARF運動の停滞が目立つが、百年前にIARFが設立された時点では、「諸宗教間対話」というテーマ自体が非常に独創的であった(それ故に多くの賛同と注目を集めることができた)が、現在では、同様の趣旨の団体が数多く存在し、それらとの「競合」の中で十分独自色を示すことができなくなってきている嫌いがある。さらに、IARFはこれまで、本来の目的である「宗教的自由」の探求以外にも、それらから派生する諸問題(社会開発・人道的援助・環境保全等々)にまでその活動範囲を広げてきた結果、かえって独自性が示せなくなってきたことを率直に認め、今後は、本来の使命である「宗教的自由(多くの場合は、少数派の人権擁護)」の問題を専門に扱う国際的NGOに特化してゆくという方向性が示された。
3日目にあたる24日の会議は、「神道にとっての沈黙」と題する三宅善信師のレクチャーと祈りで始まった。三宅善信師はここで、「本来が地域共同体の宗教である神社神道にとって、『沈黙の祈り』はほとんど積極的な意味を持たないが、金光教にとっての『沈黙(心中祈念)』は大きな神学的意義を有する。なぜならば、幕末・維新期に成立した金光教においては、当時、既存の宗教(修験道など)や公権力(幕府や維新政府)から布教活動を禁止(弾圧)された歴史があり、その経緯の中で、教祖は、視聴覚に訴える儀礼や神前の荘厳などを排し、外見からは、宗教行為を行っているやらいないやら判らない『心中祈念』という形式を生み出した。そのことによって、天地金乃神という神名や生神金光大神という神号が定まり、さらには『取次』中心という独自の布教形態を生み出した。したがって、金光教の信仰形態の重要な部分は、信教の自由の抑圧によって成立したと言っても過言でない」と発表し、各国からの参加者から注目を集めた。
4日目にあたる25日の会議は、「ユニテリアンにとっての沈黙(J・ビューレンズUUA会長が担当)」で始まった。この日の討議は、来年夏にブタペストで開催される第31回世界大会の運営の基本になる予算等について協議された。この他にも、いろんな問題が話し合われたが、アフガニスタンのイスラム原理主義政権タリバンによるバーミヤンの仏教遺跡破壊に見られるように、現実世界の状況は、IARFの目標とする「諸宗教対話の推進」どころか、かえってこれに逆行する動きを見せており、「宗教的少数派の人権擁護」に目的を特化しようとしているIARFの活躍する場面はいくらでもあり、そのことが創立3世紀目に突入したIARFにとって大きな意味がある。