4th Quater2002

IARF会長・事務総長が三宅龍雄会長を表敬
IARF緊急会議
「有事」をテーマに大阪国際宗教同志会例会開催
IARFで沖縄の宗教的伝統文化を現地視察
スリランカ三宅財団役員が来訪
ネパール「ミヤケホーム」から来訪
スリランカ首相と意見交換
「地球感謝の日」制定を
ノーベル平和賞のカーター元米大統領からメッセージ

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三宅光雄理事長がインドでAYC総会を主催

三宅光雄人類協栄会理事長は、自身が会長を務めるAYC(世界連邦アジア青年センター)の第7回総会を開催するため、2月13日から20日の日程で、インド・スリランカ・タイを歴訪した。

AYCは、今から19年前にインドのマドラス(現チェンナイ)において結成された世界連邦運動(WFM)のアジア(の社会的状況)における展開を意図した国際組織であり、60年以上の歴史を有する世界連邦運動において、世界中のどの地域よりもうまく活動が展開したケースである。この運動の創設に当たっては、本会の創始者である故三宅歳雄師が大いに貢献した。AYCは、南アジア各国を中心に1万人以上の活動的な会員を有し、各地の地域事情に応じて、積極的な社会開発事業を行っている。

今回のAYC総会は、インド東部の大都市コルカタ(カルカッタ)で開催され、人類協栄会からの代表団6名を含め、アジア各地から約200名の青年が参加した。


P・C・シンハ議会担当大臣と懇談する
三宅光雄AYC会長

2月14日(金)の夕方に、ロータリー・サダンで催された「歓迎の夕べ」では、開催国を代表して、P・C・シンハ議会担当大臣が歓迎の挨拶を、また、M・G・ムクホパディエイ高裁判事が講演を行った。また、歓迎式典の席上、ACY会長を務める三宅光雄理事長は、地元の盲学校の生徒たちにラジカセや音楽テープを贈呈した。これは、三宅理事長が二十数年前に、初めてカルカッタ(現コルカタ)の地を訪れてマザーテレサの施設を訪問して以来、この地を訪れるたびに、「実際に役立つ」支援活動を実行してきた一貫によるものであり、AYCコルカタ支部の会員たちの中には、マザーテレサの事業の中心的なスタッフも含まれている。

15日は朝から、ヒンダスタン・ホテルにおいて、第7回AYC総会が開会された。まず、地元コルカタを代表してS・ムクホパディエイ市長が歓迎の挨拶をした後、ヒンズー教の伝統に則って、諸宗教・諸民族の代表らが登壇して「多様性の中の統一性」をシンボライズした「献燈の儀」を執り行った。


ヒンズー教の伝統に則って行われた「献灯の儀」

続いて、三宅光雄AYC会長が挨拶に立ち、今回の総会開催までの地元の皆さんの準備に感謝の意を表すると共に、世界が暴力の応酬によって分裂されようとする危機的状況にあるこの時期に、AYCの総会が開催されたことの意義を説き、AYC会員各位のそれぞれの立場での一層の努力を要請した。

その後、S・バナジー博士による今総会の第1のテーマ『青年の不安に誰が応えるのか?』の説明が行われ、ビジャーサガル大学のA・ムクホパディエイ副学長と、ABPのS・チョットパディエイ執行理事と、SERVEのB・マッカルタイゲ氏から基調講演がなされ、最後に、AYC実務議長のJ・アルプサラジ博士から総括がなされた。

午後からは、AYCコルカタ支部のS・ダス博士の進行により、第2のテーマ『持続的発展とNGOの役割』について、インド僻地医療協会理事長のB・ムリック博士、カルカッタ大都市圏老化現象研究所所長のI・チャクラボーティ博士と、J・アルプサラジ博士が講演を行い、その後、分科会を経て、全体会でそれぞれの意見が集約された。


AYC会長として総会の成功を
リードする三宅光雄理事長

今総会を閉じるに当たり、AYC事務総長のS・デービッド氏の発議により、来年創設20周年を迎えるのを期に、三宅光雄師を終身会長に戴き、現執行部の若返り一新を図ること提案され、満場一致で新執行部人事が三宅光雄理事長に一任された。

翌16日は、東部文化センターにおいて、第4回の執行理事会が開催され、S・デービッド氏の議事進行により、三宅光雄AYC会長の挨拶とこの度、実務議長を退任することになったJ・アルプサラジ博士から、これまでの活動報告が行われ、三宅会長から、「今年3月末までに各国支部から新役員の候補を提出するよう」に通達が出された。特に、「これまで、南アジア地域津比べて活動基盤が弱かった東南アジア地域の活性化が求め」られた。また、来年3月6〜8日の3日間の日程で、インド大統領をゲストに迎え、3,000名の音楽隊によるパレードを含むAYC創設20周年記念行事を、AYC創立の地であるチェンナイ(旧マドラス)において開催することが決められた。

三宅光雄理事長はまた、移動日を挟んで、18日にはスリランカを訪問し、現地、世界連邦運動関係者と、長年の懸案になっていたスリランカ三宅財団の運営のあり方を検討した。また、先頃、20年間にわたる多数派シンハラ人(仏教徒)とタミール人(ヒンズー教徒)による内戦終結と両民族による「連邦制」国家樹立について、世界連邦運動(WFM)の「副理事長」でもある三宅光雄理事長の来訪に、コロンボの3局ある全テレビ局から取材を申し込まれ、記者会見を行った。
 また、夕方には、AYCスリランカ支部を訪問。現地スタッフから直接、事情の説明を受けた。


スリランカのテレビ局からインタビューを
受ける三宅光雄理事長

翌20日には、帰途、バンコクに立ち寄り、タイ国有数の大乗仏教教団の管長アリアンソワ猊下と会談。1年前に人類協栄会で3カ月間の研修を行った同師の甥のM・コソルキティーオング青年への本会の好誼への感謝を受けた。また、三宅光雄理事長は、同国の世界連邦運動の有力者P・トビビッチ博士の案内で、AYCタイ支部を訪問した。

このようにして、三宅光雄理事長は、交通状態の良くない南アジア各地を早足で視察して、各地で根付いてきたAYCの活動を激励した。

『水と生命を考える』環境シンポを平安神宮で開催

本年3月に琵琶湖淀川水系流域の滋賀県・京都府・大阪府を会場に開催される日本政府主催の「第3回世界水フォーラム」を前に、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会の開発・環境委員会(三宅光雄委員長)が、2月5日(水)、平安神宮会館(京都市左京区)において、環境シンポジウム『水と生命いのちを考える』を開催し、三宅善信金光教春日丘教会長がパネリストとして出演し、その発言が注目された。


平安神宮会館で行われたシンポジウムの様子

今回のシンポジウムは、三宅光雄人類協栄会理事長が委員長として主宰者であるだけでなく、善信師がパネリストのひとりとして発題者を務め、また、関西での開催ということもあって、人類協栄会からは約70名が聴衆として、会場となった平安神宮会館へ参加した。せっかくの機会でもあるので、シンポジウムに先立って、一般では入場が許されない平安神宮の拝殿に昇殿して、正式参拝を行い、三宅理事長が参拝者を代表して、玉串を奉奠した。


参拝者を代表して玉串を奉奠する
三宅光雄理事長

シンポジウムの開催に当たって、「地元」京都在住のWCRP日本委員会常務理事の西田多戈止一燈園当番から開会の挨拶が行われた。本シンポジウムは、3月に琵琶湖淀川水系流域の滋賀県・京都府・大阪府を会場に、日本政府主催で開催される「第3回世界水フォーラム」に協賛するイベントであり、環境省が「後援」に付いたことからも、いかに重要な意味があるかが判る。

また、会場になった平安神宮には、琵琶湖疎水を引き込んで造られた神苑の池があり、琵琶湖ではブラックバスやブルーギル等の外来魚の繁殖により、ほとんど姿を消してしまった固有種であるタナゴ類やモロコ類が、奇跡的に残ったという、まさに『水と生命いのちを考える』という本シンポのテーマに相応しい会場であった。

本シンポジウムは、秩父神社の薗田稔宮司(京都大学名誉教授)がモデレータを務め、この度の「水フォーラム」の中心的人物でもある京都精華大学の嘉田由紀子教授(琵琶湖博物館研究顧問)と、平安京へ水を供給する神様を祀っている貴船神社の高井和大宮司(京都古事の森育成協議会会長)および、人類協栄会の三宅善信師が、パネリストとして、それぞれの観点から意見を交えた。


左から
三宅善信・高井和大・嘉田由紀子・薗田稔各師

まず、モデレータの薗田稔宮司が、「鴨川と桂川、豊かな地下水の恵みを受けた"千年の都"で、水について話し合うことは意義深い。世界水フォーラムでさまざまな観点から討議されるであろうが、水をいのちの源と捉える宗教者の視点からの提言が必要でないか」と問題提起した。

続いて、文化人類学者の嘉田由紀子教授は、水道普及以前の日本人の暮らしぶりを紹介し、「当時は、水を飲み水・暮らし水・農耕用水と、その用途用途で使い分ける"養い水"として捉え、"排水"という概念がなかったが、"近代化"の美名の下に衛生的な上下水道の導入された後は、行政や企業が水を単なる"消費物質"として捉えるようになったことが、今日の"水に関する諸問題"を生み出してしまったので、われわれ市民は今一度、水の持つ精神性や宗教性を見直すべきだ」と提言した。


シンポジウムには二百数十名が参加し、
熱心に聞き入った

また、高井和大宮司は、平安京遷都以来、"水の神"として、朝廷をはじめ京の庶民に尊ばれてきた貴船の神様である"おかみ"の事跡を紹介し、「雨乞い(あるいは雨止み)祈願など水にまつわる信仰が、結果的には、"聖地"として、水源になる山や森を保存することになった」と、自然の恵みに感謝する日本人の伝統的価値観を再評価する必要性を訴えた。

さらに、善信師は、「世界の諸文明における水の意味づけを教えて欲しい」というモデレータからの依頼を受けて、フォークダンスとして誰もが一度は踊ったことのあるイスラエル民謡『マイム・マイム』を題材にして、旧約聖書『創世記』と古事記『神代記』の比較を行いながら、「水」に対する文明ごとのアプローチの違いを分析し、乾燥地帯の都市国家において成立した一神教と、温暖な森の文化が育んだ多神教の自然への接し方の違いを説き、果ては、出口が見えないパレスチナ紛争から、現代日本社会における食品安全神話の崩壊の原因究明まで、「水」をキーワードに見事に読み解いてみせ、他のパネリスト諸師からも大いに感心された。

3名のパネリストの問題提起を受けて、フロアの参加者も交えてディスカッションが行われ、「もったいない」、「おかげさまで」、「いただきます」という、伝統的な生活では当たり前に行われ、また、世代を超えて引き継がれてきた「自然と生命を尊ぶ生活のあり方」が今一度、見直されるべきだという善信師の提言が、大方の参加者の見解の一致するところとなった。


主宰者として、閉会の挨拶を行った
三宅光雄理事長

最後に、本シンポジウムの閉会に当たって、主宰者として、WCRP開発・環境委員長を務める三宅光雄理事長が挨拶に立ち、「実践する者としてWCRPが、本シンポジウムで得た結論を、参加者それぞれの日常生活の局面で、意識して実行していくこと」を期待した挨拶を閉めた。

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