記念総会ハイライト


 2007年6月7日、金光教泉尾教会国際会議場で、国際宗教同志会創設60周年記念総会が開催され、各宗派の代表約100名が参加した。東大寺長老の森本公誠前華厳宗管長による『日本における国家と宗教――歴史の視点から――』と題する記念講演が行われ、また、60周年記念行事として、本年9月末にインドのダライ・ラマ法王を訪問することが発表された。さらに、総会終了後、会場を会堂一階ホールに移して、国際宗教同志会創設60周年記念レセプションが開催された。


▼国際宗教同志会とは

  国際宗教同志会は、1947年(昭和23年)、わが国最初の本格的な諸宗教間対話・協力団体として、時の同志社総長牧野虎治先生が発起人となって、金光教泉尾教会、カトリック京都司教区・大本・一燈園・八坂神社・東西両本願寺・知恩院などの協力を得て、新しい時代の宗教者のあり方を探る会として設立され、戦後の混乱がまだ収まらない時期から、米国のジョン・F・ダレス国務長官や世界食料機構の初代総裁ボイド・オア卿ら、当時の日本の国力では考えられないほどの大人物を招くなど積極的な活動を展開してきた。


来賓各師と国宗会員各師による記念写真

  一時は、各地に「国際宗教同志会」が結成され、わが国の諸宗教間対話運動の礎となった。1970年に京都で開催された世界宗教者平和会議(WCRP)の創設に当たり、その時点で既に20年以上も前から国際宗教同志会で活躍されていた諸先生方が、それまでに培った対話のノウハウや信頼関係のネットワークを惜しみなく提供されたことは特筆に値する。中でも、大阪地区を中心に活動を行った大阪国際宗教同志会は、京都国際宗教同志会と共に、国際宗教同志会運動の中心的な役割を果たし、創設から60年を経た現在でも、年3回の定期講演会をはじめ、海外の宗教事情の視察や外国からの宗教使節団の受け入れ、また、2005年には、「愛・地球博」の『こころの再生・いのり』館の出展プログラムに協力して、万博会場で公開シンポジウムを開催するなど、積極的な活動を展開している。


▼歴史の因縁が織りなす国宗

  6月7日、午後1時、創設60周年記念総会に先だって神徳館小会議室で開催された大阪国際宗教同志会(会長:左藤恵大谷学園理事長)平成19年度第2回理事会の席上、三宅善信事務局長から、前年来検討されてきたインド北西部ダラムサラのダライ・ラマ法王亡命政府に代表団を派遣し、ダライ・ラマ14世法王と親しく謁見することが、東京のダライ・ラマ法王庁駐日代表部との交渉の結果、受け入れが受諾された旨の報告があった。また、平成18年度の決算、19年度の予算、事業報告等に続いて、60周年記念事業として、50周年記念総会以後の過去10年間にわたる30人分の講演録を3巻に分けて出版する件などが審議了承された。



開会の挨拶を行う三宅光雄理事長

  午後2時、記念総会の会場となる国際会議場は、100名を超す参加者で既に満席となっていた。融通念佛宗前宗務総長山田隆章師による「平和の祈り」に続き、大阪国際宗教同志会理事長である三宅光雄金光教泉尾教会長が「開会の挨拶」を行った。続いて、来賓を代表して、和宗総本山四天王寺管長の出口順得猊下「現代における宗教の役割研究会(通称:コルモス会議)」会長の大村英昭先生が祝辞を述べられた。出口管長のご尊父出口常順管長は、昭和30年代から40年代にかけて、大阪国際宗教同志会創設者である三宅歳雄師と共に、国宗の中心的メンバーとして活躍されただけに、因縁浅からぬものがある。また、大村英昭先生は、この10年間に講演を行った30名の講師を代表して祝辞を述べられたが、コルモス会議もWCRP同様、1970年に三宅歳雄師が「宗教界と学者との相互交流研鑽」を目的に創設されたことからも、いわば、異体同心のものであることを強調された。

  60周年記念講演に先立ち、大阪国際宗教同志会の平成10年度総会に移り、議長として大阪国宗理事の村山廣甫曹洞宗大阪祖門会会長を選出。先ほどの理事会で議決されたそれぞれの事項について、総会に一括承認を求め、全会一致で可決された。


▼宗教界を挙げて60周年を祝う

  続いて、著名なイスラム教研究者としても知られる東大寺長老の森本公誠前華厳宗管長による『日本における国家と宗教――歴史の視点から――』と題する記念講演が行われ、外務省からの依頼でイスラム諸国に日本の宗教と国家の関係について説明するために行った講演の骨子を元に、飛鳥時代から21世紀に至るわが国における国家と宗教の相互作用について、解りやすくまとめられた。また、講演に引き続いて、三宅善信事務局長の司会進行で、会場参加者との間での丁々発止のディスカッションが行われた。



森本公誠先生の講演に耳を傾ける国宗会員各師

  最後に、大阪国宗常任理事の大森慈祥辯天宗管長が閉会の挨拶を行い、同じく理事の松井龍一郎天理教明城大教会会長が「平和の祈り」を行って、国際宗教同志会創設60周年記念総会を閉じた。

  その後、会場を会堂一階ホールに移し、国際宗教同志会創設60周年記念レセプションが催された。レセプションに先立ち、大阪国際宗教同志会の正式メンバーとご来賓とで記念撮影を行った。続いて、受け入れ教団を代表して、三宅光雄泉尾教会長が歓迎の挨拶をした後、来賓を代表して、融通念佛宗管長の倍巌良舜猊下妙見宗管長の野間秀昭猊下がそれぞれご祝辞をくださった。さらに、京都国際宗教同志会事務局長の西田多戈止一燈園当番のご発声で乾杯し、懇親会が始まった。



西田多戈止一燈園当番の発声で乾杯

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