恭賀新禧/2025(乙巳)年

謹んで新年のご祝詞を申し上げます。過ぎし一年を振り返ってみると、元日早々に発生した能登半島地震は、われわれ日本人に不穏な年を予感させました。現在、遠州灘・熊野灘・日向灘などにおける大陸プレート側の海底地盤のスロースリップの数値が急上昇しつつあり、10mを超す大津波が太平洋沿岸を襲い、想定死者数が32万人に及ぶという南海トラフ巨大地震の発生がカウントダウン状態と言っても過言ではないでしょう。その前に、千島海溝巨大地震が発生する可能性もあります。

国際情勢を見ても、ウクライナ戦争はロシア・ウクライナ両国ともに消耗戦の様相を呈し、秋には北朝鮮軍まで加わり、周辺国へのドローン攻撃などいつ欧州諸国を巻き込んだ戦争へと拡大するか判らなくなってきました。また、一般市民を大量に巻き込んだパレスチナにおけるイスラエルとハマスの戦闘も、イスラエルによるレバノンのヒズボラやイエメンのフーシ派、さらにはその背後に居るイラン等とのミサイル攻撃の応酬など、エスカレートの一途を辿っています。

また、欧米の民主主義諸国においても、選挙によって各国でナショナリズムを強調する勢力が政権を握りました。中でも、米国大統領選におけるドナルド・トランプ氏の圧勝は、世界中の多くの独裁国家の指導者たちに対して「(トランプ氏が大統領に就任する)2025年1月20日までにできるだけ陣取りを進め(ておいてからトランプ氏とディールをする)」という気分をもたらせました。選挙の結果がその逆を行ったのは、おそらく日本だけでしょう。

年末になっても、韓国における唐突な非常戒厳の発令から1週間でユン・ソンニョル大統領への弾劾決議が可決され、親子二代で半世紀以上も続いたシリアのアサド独裁体制があっという間に崩壊するなど、中国や北朝鮮の独裁者たちも、一層疑心暗鬼を募らせたことでしょう。

第二次世界大戦の戦勝国によって80年前に築かれた国連安保理事会体制の機能不全が顕在化した中で、国家として2025年にどう振る舞うかが、今後数十年間におよぶその国の国際的地位を決めることになるでしょう。日本が選択を誤らないことを願うばかりです。

三宅善信


2024年を振り返って

1月20日、東海大学品川キャンパスで開催されたG20諸宗教フォーラム(略称:IF20)のコロキアム『宗教と持続可能な開発:ブラジルでの2024年G20サミットに向けた新たな課題と機会』にスピーカーの一人として出席した。


2月19日、新宿のホテルセンチュリーハイアットで、ウクライナ和平に関して話し合うWCRP(世界宗教者平和会議)主催の第2回東京平和円卓会議が開催され、正教会研究の専門家として参加した。


3月15~16日、同志社大学で第70回コルモス研究会議が『宗教間対話の未来―コルモス50年をふり返ってー』をテーマに開催され、親子孫の三代にわたって参加しているチャーターメンバーとしてコルモス会議50周年記念誌に寄稿した。


6月9日、金光本部で厳修された教団独立記念祭で、金光浩道教主から教師補任40年の永年勤続褒賞を受けた。


6月24日、イタリアで刊行されている季刊誌『JUSUR』第2号の「宗教とテクノロジー:人工知能時代における信仰」特集で、世界の8人の識者の一人として『AI Incarnate: How Religion might respond to the Technological Challenge (AIの受肉:テクノロジーの挑戦に宗教はどう応えるべきか)』という小論が掲載された。


7月7日、サイパンでの大規模戦闘終結80周年を記念して北マリアナ連邦知事等が出席して厳修された日米合同慰霊祭にて祭主を勤めた。


7月9~10日、広島国際会議場でWCRP日本委員会、教皇庁生命アカデミー、アブダビ平和フォーラム、イスラエル諸宗教関係首席ラビ委員会の共催による「平和のためのAI倫理会議」が開催され、AIと宗教問題の研究者としてコメントを述べた。


7月22日、千代田区のホテルニューオータニで米国政府系シンクタンクIRF(国際信教の自由)サミットのアジア大会が、米国のマイク・ポンペオ前国務長官らが出席して日本で初めて開催され、「アジアの民主主義における信教の自由の確立」というテーマでパネリストを務めた。


8月20~22日、南米ブラジルで『誰一人取り残さない:地球とその人々の幸福』をテーマに開催されたG20諸宗教フォーラム2024の「宗教的文脈におけるAI(人工知能)の挑戦」分科会で、各国の専門家たちとともにパネリストを務めた。


10月22日、グランドプリンスホテル大阪ベイにおいて第79回国連デー午餐講演会が開催され、日本国際連合協会関西本部の理事長として挨拶を行った。他にも、リーガロイヤルホテルや帝国ホテルやウェスティンホテルにて、定例の午餐会や総会を主催した。


10月29日、京都山科のホテル山楽にてIARF日本連絡協議会(略称:JLC)創設40周年記念行事が開催され、40年間にわたるJLCの歴史について映像と共に解説した。