栗本慎一郎氏による
『文字化けした歴史を読み解く』への書評等

                                        06年02月28日

  三宅善信代表の対談集『文字化けした歴史を読み解く――われわれは日本のことをどれだけ知っているのだろうか――』(本体価格1,500円)が刊行され、八重洲ブックセンターをはじめ全国の主な書店で好評発売中なのは既報のとおりです。

  この度、東京農業大学教授の栗本慎一郎氏から、神道国際学会の機関誌『神道フォーラム』に掲載するための書評が寄せられましたので、転載いたします。他にも、『中外日報』紙や『仏教タイムス』紙や『宗教新聞』紙などにも、「書評」が次々と掲載され、また、2月15日付で「日本図書館協会選定図書」に指定され、全国の主な図書館にも備え付けられることが決定いたしました。


『文字化けした歴史を読み解く』
書評・栗本慎一郎

本書は、神道国際学会常任理事・三宅善信氏が十人の碩学と対談したものを納めた書である。碩学のうちには衆議院議員亀井静香氏が加えられていて、「意外」と思う人もいるだろうが、三宅氏の問題意識に引っ張られたせいか亀井氏の主張はひときわ明瞭で筋が通っている。これは面白いと思う人がいるだろう。

三宅氏は、現在の日本の精神的惨状は一見、太平洋戦争の惨敗が和魂を崩壊させたからだと見えるだろうが、その実、明治の和魂洋才のうちの和魂が中途半端な近代主義で本来の和魂(にぎみたま)を歪めたものだったからだと指摘する。そして、本来の和魂(にぎみたま)は山川草木と調和する霊性あるスピリチュアリティであって、混乱の今日むしろ改めて台頭しつつあると言う。いまだ文字化けしている状態だが、明瞭なものになっていく、あるいはなって行かねばならないと考えるのだ。評者も全く賛成である。

 このきちんと筋が入った歴史観により碩学と対談するとき、各氏が普段よりも明瞭なメッセージを発し始めるのに驚く。特に面白かったのが、ユニテリアン・ユニバーサリスト協会のホームズ女史のアメリカ社会についての発言で、なぜリベラル派が力を持たない現状があるかを分析している。現在の世界の支配国の支配的観念の適確な分析であって、国際問題に関心のある方にもぜひ読んでいただきたいものだ。

                               ▽三宅善信 著
                               ▽文園社
                               ▽本体価格一五〇〇円(税別)


1月24日付の 『中外日報』紙に掲載された「書評」

1月26日付の 『仏教タイムス』紙に掲載された「書評」

戻る