三宅代表がベネチア大学でワークショップ

 06年10月9〜10日


カ・フォスカリ大学で行われたワークショップ

  2006年10月9・10両日、ベネチア大学(註:15世紀にベネチア共和国の総督を務めたフォスカリ家の邸宅を改造して大学の校舎としているので、現地では「カ・フォスカリ(フォスカリ邸)大学」と呼ばれている)において、神道国際学会カ・フォスカリ大学の共催による『神道の伝統における象徴的言語』と題する国際ワークショップが開催され、イタリア・ノルウェイ・アメリカ・ロシア・中国・日本からの学者ならびに現地で学ぶ研究者約二十名が二日間にわたるワークショップに参加した。

  9日9:30、大学の代表らによる歓迎の辞に続いて、米国コロンビア大学のB・フォール教授の進行によって、京都大学の薗田稔名誉教授、ノルウェイ・オスロ大学のM・テーウエン教授、ロシア国立大学のA・メシャラコフ教授らが、主として古代・中世の分野を対象に研究成果を発表し、全員でディスカッションが行われた。


休憩時間中も、各国の研究者と意見交換する三宅代表

  昼食休憩を挟んで、14:30からは、メシャラコフ教授の進行によって、フォール教授、ロシア科学アカデミーのE・モロジャコーワ教授、三宅善信レルネット代表、梅田善美神道国際学会理事長らが、主として近・現代の分野を対象に研究成果を発表し、全員でディスカッションを行った。


研究発表と質疑応答を英語で行う三宅代表

  神道国際学会の常任理事でもある三宅代表は、近代国民国家形成期に教団の成立期間が重なった黒住教・天理教・金光教の三教団を例に挙げ、独自に入手したデータを掲げながら「神道事務局からの『一教独立』を達成するために、各宗教が方便として各教祖の教えを明治国家の方針に擦り寄せようとしたことを今日、批判的に捉えている教団関係者が多いが、ある意味では、明治国家との軋轢の大きかった教団ほど教勢が大きくなったことはその査証であるとしても、一方で、戦後、『信教の自由』が保証されたことによって、本来なら『国家神道』という重しが取れた分だけ各教団の教勢が伸びても良いはずのところを、実際には三教団とも教勢の長期低落傾向は否めず、むしろ、治安維持法が最も強化された1941年(昭和16年)当時が最も教勢が大きかったことの説明がつかないので、良い意味でも悪い意味でも、もう一度、国家神道による圧力が教勢拡張のバネとして作用したかどうかについて考え直す必要がある」という趣旨の発表を行い、各国の研究者から盛んに質問を受けていた。

  10日の午前中は、梅田氏の進行によって、ISIの大崎直忠代表(直前の病欠で発表ペーパー代読)、カ・フォスカリ大学のM・ラベリ教授、中国浙江工商大学の王勇教授らが神道研究の方法論について研究発表を行い、全員でディスカッションをすると同時に、前日からのワークショップの総括を行った。


各国からの研究者と一緒に
ゴンドラでベニスの街を見学

  マルコ・ポーロ以来、東洋の文化に関心の強いベネチアにあってか、カ・フォスカリ大学の東アジア研究学部においては、日本語を学ぶ学生が千人以上もいるということで、当ワークショップの期間中も、多くの学生や大学関係者が協力して、ワークショップの円滑な運営に協力した。


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