ローマでG8宗教指導者サミット継続委員会に出席

 09年06月14日〜19日


  2009年6月15日から17日までの日程で、G8宗教指導者サミット継続委員会が、今年度のG8主要国首脳会議の開催国イタリアのローマで開催され、昨年度のG8宗教指導者サミット2008の事務局長を務めた三宅善信代表が参加した。

G8宗教指導者サミット(以下、必要に応じて「G8RLS」と略す)この毎年各国持ち回りで開催されるG8主要国首脳会議の開催に合わせて開催され、宗教界からの提言を現実の政治に反映させようというものである。この動きは、2006年、サンクトペテルブルグのG8首脳会議の開催に先立ち、ロシア正教会の提唱により、モスクワで初めての「G8宗教指導者サミット(原題はロシア語)」が開催され、翌2007年6月には、ハイリゲンダムでのG8首脳会議開催に先立ち、EKD(ドイツプロテスタント教会連合)のホストにより、古都ケルンで2回目の「G8宗教指導者サミット(原題はドイツ語)」が開催された。


エチオピア正教会総主教にG8RLSのDVDを手渡す三宅善信代表

そして、日本では、2008年6月27日から29日の3日間、大阪と京都の大学や各宗教施設を会場に、33カ国からの海外代表47人を含む約200人規模の『G8宗教指導者サミット2008』(会長:出口順得和宗総本山四天王寺管長)が成功裏に開催されたことは、周知の事実である。ただし、日本では、ほぼ同時期の7月2日〜3日に、札幌で、(財)世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会主催による『平和のために提言する世界宗教者会議〜G8北海道・洞爺湖サミットに向けて〜』という類似の会議が開催されたので、混同している人が、宗教界やマスコミにも多々居るということは事実である。

  もちろん、レルネットの三宅善信代表は、2007年のケルンと、そして2008年の大阪・京都と、両方のG8宗教指導者サミットに参加した唯一の日本人として、また、WCRP日本委員会の評議員として、札幌での『平和のために提言する世界宗教者会議〜G8北海道・洞爺湖サミットに向けて〜』両者を比較することができた希有な存在である。三宅代表の他に、この三つのサミットに出席し、また、今年度のローマでのサミットにも出席したのは、カナダ協会協議会(CCC)の会長を務めるジェームス・クリスティ師とカレン・ハミルトン師の2名だけである。


膝をつき合わせて話し合われたG8RLS継続委員会

そこで、2010年にカナダのウイニペグで開催される予定のG8宗教指導者サミットの中心者が呼びかけて、これまで同会議を主催・運営した人々と、これから同会議を招致する人々の間で、情報と経験を分かち合うための「G8宗教指導者サミット継続委員会」が、6月15日からローマ市内のアルドロバンディ・ホテルで開催された。この正式の会合には、カナダの両師と三宅代表の他には、英国国教会首座のカンタベリー大主教の諸宗教対話担当官ガイ・ウイルキンソン師が参加した。

その会議で主に話し合われたのは、2000年の国連ミレニアムサミットで決議された『MDG(ミレニアム開発目標)』の掲げる「貧困・飢餓の撲滅」、「初等教育の普及」、「疾病の蔓延防止」、「持続可能な開発」等の世界的課題を2015年までに実現するということを、いかに世界の宗教界が手を携えて行くかというロードマップや、今後のG8宗教指導者サミットのモデルとして、特定の教団や政府機関に多額の財的負担を依頼して、交通費・宿泊費等を丸抱えでビッグネームを雛壇に並べるだけの拙速なタイプの国際会議ではなく、たとえ小規模な予算でも、長期にわたる準備期間と市民に開かれたボランティアベースで、「中身の濃い」ものを共同して創り上げていくタイプの会議を念頭に置いていること等が確認された。また、三宅代表が提言した「毎年、宗教界からの『提言書』をG8首脳会議に提出するだけでは不十分で、1年間かけて、昨年度の宗教界からの提言を、政治的指導者たちが実現するためにいかに取り組んだか査察・評価するためのシステムを構築しなければ、これまでの諸宗教会議同様、単なる『言いっ放し』の宗教会議になってしまう」という主張が受け入れられ、どのような検証システムを確立するかということが討議された。


アラム1世との話が盛り上がった三宅善信代表

また、三宅善信代表は、16日の夕方、ローマ市内の「聖母公園」にあるイタリア外務省の迎賓館で、旧知のバチカン諸宗教対話評議会議長のJ=L・トゥーラン枢機卿、インドネシア最大のイスラム教団体のD・シャムスディーン師らと出会った。また、三宅代表と共に国際自由宗教連盟(IARF)の国際評議員として、来年9月にインド南部の都市コーチで開催が予定されている「第33回IARF世界大会」の大会実行委員を務める世界ゾロアスター教文化協会会長のホミ・ダラー博士と、同大会の進捗状況について話し合った。

それ以外にも、三宅善信代表は、アルメニア正教会総主教アラム1世にも出会った。今回、ローマには、東方正教会(註:千数百年前にローマ帝国が東西に分裂した際、ローマを中心とする西方(=今日の西欧)には、ローマ教皇を戴くラテン典礼のローマカトリック教会が成立したが、帝都コンスタンチノープルを中心とする東方(=今日の東欧と近東)には、ビザンツ皇帝を戴くギリシャ典礼の東方正教会が成立した)の流れを汲む各国正教会の指導者も何名か来訪していたので、彼らとの交流も意義深かった。余り知られていないが、三宅善信代表の大学院の学位論文の研究テーマは、東方正教会の典礼(儀礼)に関するものであり、日本人としては、東方正教会についてはかなり詳しいので、話は大いに盛り上がった。


バチカン諸宗教対話評議会を訪れた三宅善信代表

17日には、昨年カトリック教会最大の在家団体「フォコラーレ」の二代会長に選出されたマリア・ボーチェ女史と挨拶した。三宅代表は、昨年4月18日にローマのサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂で仕えられたフォコラーレの創設者キアラ・ルービック女史の追悼ミサに参列した唯一の日本人として、神式の装束を着けて、イタリア語で弔文を読んでいる。さらに、三宅善信代表は、1977年に時の教皇パウロ6世に謁見して以来、再三にわたって訪問してきたバチカン(ローマ教皇庁)諸宗教対話評議会(PCID)を訪れ、新任のA・タンニャアナン次官補をはじめ、メリノール修道会のブリンクマ神父らと諸問題について情報交換を行った。また、帰国直前の18日の朝、たまたま同じホテルに宿泊していたエチオピア正教会のアブナ・パウロス総主教とも挨拶する機会に恵まれるなど、三宅代表は、各方面の宗教指導者と意見を交換してきた。



戻る