三宅善信代表がコペンハーゲンで
COP15にオバマ大統領を目撃 
12.14〜18

 2009年12月14日から18日の日程で、三宅善信代表は、WCRP日本委員会の開発・環境副委員長として、デンマークの首都コペンハーゲンで開催されている「国連気候変動枠組会議(UNFCCC)」の「第15回締約国会議(COP15)」に出席した。


福山哲郎外務副大臣と歓談する三宅善信代表

  三宅代表が、「UNFCCC」に出席するのは、2008年のバリ(インドネシア)、2009年のポズナニ(ポーランド)に続いて、三年連続の参加に当たるが、今回の会議は、主催者である国連の事務的な不手際のために、単なる「登録」作業のために、氷点下の寒風の中で数時間立ちっぱなしで列を待つというとんでもない経験をした。


最低気温氷点下7℃という極寒のデンマーク

 日米共に、環境問題への関心が高い政権が発足して、地球温暖化防止が大いに期待される中、地球温暖化ガスの排出制限について、2012年で期限の切れる『京都議定書』以後の新たな国際的な枠組みの構築に向けて開催された今回のCOP15であったが、『京都議定書』が締結された当時(1997年)とは、この問題を取り巻く国際情勢がすっかり変わってしまっているので、解決がほぼ不可能なことは会議が開催される前から、ほぼ確定していた。


オバマ大統領もスピーチした全体会議場の講演台で

 というのは、1990年当時の温暖化ガス排出量に遡って、「G7」を中心とした日米(加)欧の各地域の温暖化ガスの排出量を、それぞれ欧州が-8%、アメリカが-7%、日本とカナダが-6%という具体的な削減目標を定め、アジア・アフリカ・南米等のそれ以外の「発展途上国」には、具体的な削減目標を決めないという「枠組み」が『京都議定書』の基本的な構造であったが、ブッシュ政権の『京都議定書』からの離脱による「骨抜き」と、その後の世界経済情勢の変化は、中国やインドをはじめとする「新興国」の温暖化ガスの排出量が日欧のそれらを遥かに凌ぐ事態となり、いくら日欧が削減に努めても意味がないことになった。


運良くオバマ大統領の到着に出くわす

 しかし、「新興国の首に鈴を付けないと意味がない」という立場の日米欧と、「いったん『削減の数値目標が不要』という既得権を得た限りは、“削減”を経済援助を引き出すための取引材料」と考える途上国との間で、綱引きがなされることが明らかで、その間に立って中国やインドが国際政治のヘゲモニー(覇権)を握ろうとするからである。今回のCOP15においても、「G7」に代表される「先進国」と闘うための枠組みとして、「G77+中国」という枠組みが幅を効かせていた。


ロビー外交が昼夜を問わず繰り広げられた

 さらには、「“地球的な視座”からの物言いではなく、それぞれの“国益”の追求」しかしない「先進国」と「新興国」と「途上国」という主権国家の集まりである「国連」の「締約国会議」―「COP」とは、この「締約国会議(Conference Of Parties)」の意味―という枠組みでは、絶対に地球温暖化ガスの排出量削減はできないという視点からこの会議にオブザーバー参加(約3万人)している環境問題に取り組んでいるNGOたちの多くが事務局を置いているニューヨークの国連本部の真正面のビルの住所が「777 UN Plaza」であることから、「NGO777」という、「7」と「77」と「777」の対決という構造となっているのである。


自国の国益に基づいたプレゼンを行う米国のブース

 「主権国家と比べて、NGOの影響力は小さい」と考えるのは、あまりにも短絡的である。「国連は主権国家の連合体である」とはいえ、192の加盟国の中には、太平洋の島嶼国家のように、人口1万〜10万の“小国”もかなりあるし、大規模なNGOとなれば、その会員数や年間予算額が小国の人口や国家予算よりも大きいこともままある。また、日米欧などの“大国”においても、民主主義体制を採用している限り、政治的指導者はその有権者たる市民(NGOの構成者)からの声を無視する訳にはいかないからである。


NGOの側も、参加国政府の真剣度に連日評価した
「化石賞」の発表ブースで

 三宅善信代表は、それらのNGOのひとりとして、在コペンハーゲン中、COP15会場の内外で積極的にロビー活動を行い、また、デンマーク市民とも各所で意見交換を行った。デンマーク政府も、ややもすると、国連当局が「NGOを敵視」する傾向がある中で、NGOの人々が活動しやすいように、「COP15期間中は、デンマーク国内の国鉄・地下鉄・新都市交通システム・バス等の公共交通機関は、COP15参加者はすべて無料」という特別措置を執っていたことが特筆される。



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