10月11日から13日にかけて、三宅善信代表は、岩手・宮城・福島の東北三県を訪れ、被災地の様子を視察した。
岩手花巻空港から東北入りして新幹線一関駅到着の東京組(WCRP日本委員会開発・環境委員会一行)と合流した三宅代表は、宮城県の気仙沼市へレンタカーで移動し、この日が「3.11」東日本大震災からちょうど7カ月目に当たることから、NHKの震災報道でたびたび中継された紫神社の隣にある金光教気仙沼教会を訪問。同教会の神前で、真生会・金光教・一燈園・カトリック教会・秩父神社・立正佼成会の代表が、それぞれ震災の犠牲者の追悼と復興を祈願した後、隣接する紫神社の避難所を視察した。
この20mほどの坂がいのちの境目となった。手前は紫神社の境内。 |
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避難所の責任者から津波翌々日の写真を見せてもらうWCRP開発・環境委員たち |
気仙沼港から直線距離でわずか250mしか離れていないこの地域も、津波の直撃を受けたが、幸い20mほどの坂道を駆け上がった浜見山にあったため、津波の直撃を間一髪で免れ、被災者の避難先となったのであるが、この場所には、本門佛立宗の清護寺と金光教の気仙沼教会と紫神社(日頃は専従の神職の居ない小さな神社)の三つの宗教施設が隣接している(註:150m先にはPL教団の気仙沼教会もある)にも関わらず、また、それぞれの教会や寺院の施設内に多くの被災者を受け入れただけでなく、この紫神社の境内に設置された避難所においても、人的貢献を行ったのは清護寺や気仙沼教会であったにもかかわらず、マスコミ的にはこれらの宗教団体の人道支援活動がほとんど無視されて、この地域における被災者支援活動が紫神社で行われたかのごとく報道されているところに、宗教に対するこの国の報道の仕方にバイアスが大いにかかっていることが、被災地であらためて実証された。
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手前が紫神社の境内。奥が金光教気仙沼教会と本門佛立宗清護寺というふうに文字通り「隣接」している |
東北有数の漁港である気仙沼港が大津波で甚大な被害を受けたことは言うまでもない。港湾エリアは大地震による地盤沈下によって冠水しっぱなしの地域もあって、港湾設備の可及的速やかなる復興が望まれるところであるが、住居地の高台移転の問題との関係で、基本的なインフラ整備が進まず、もたもたしている内に、本来ならば気仙沼港へ水揚げされるはずの魚介類が他の漁港へ水揚げされることによって、二度と拠点漁港としての機能が回復されなくなるおそれがある。そもそも、何百年に一度来るか来ないかという大津波の被害を恐れて、漁業関係者が海岸から離れたところに住むなんて、交通事故に遭うのが怖いから道路を歩かないというのに等しい。政府の復興会議もその辺りを国民に告知するべきである。
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震災後7カ月を経過して、未だに沿岸部の地区は冠水したままで家屋が建造できない気仙沼市内 |
12日は、気仙沼湾に注ぐ大川の源流域に位置する岩手県一関市室根町のひこばえの森交流センターに三浦幹夫自治会長を訪れ、23年前から畠山重篤「牡蛎の森を慕う会」代表が推進している『森は海の恋人』運動の詳細について、「山の民」側の視点から植林活動の意味について説明を聞いた。災地東北三県を視察三宅代表は、震災の発生する4週刊前の2月13日に畠山重篤氏を大阪に招いて、「海の民」側の視点からの話を直接聞いているので、8カ月かけて両者の立場からの植林の大切さを学んだ。その後、実際に室根山系の矢越山「ひこばえの森」に登り、この数年間に植樹祭が行われた場所を視察して、経年変化を確認した。
三浦幹夫自治会長と話し合う三宅代表。 |
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三浦自治会長から「ひこばえの森」植樹祭実施場所の実地案内を受けるWCRP開発・環境委員たち |
午後には、一関駅からほど近い今年ユネスコの「世界遺産」に認定された平泉を訪れ、平安時代の庭園様式がよく残っている天台宗の古刹毛越寺を視察した。東北地方有数の観光地平泉であるが、持参した簡易線量計によると、どういう理由か判らないが、東京電力福島原発により近い仙台市内よりも3倍近い放射線量があった。
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災害派遣の自衛隊車両が常駐する福島県庁前で |
三宅善信代表はこの日の夕方、東北新幹線福島市へ移動した。翌13日の朝、福島県庁を訪問。県庁と知事公館の間にある紅葉山公園に隣接する杉妻稲荷神社と、福島藩の初代藩主板倉重昌を祀った阿武隈川沿いの板倉神社の境内で線量測定等を行ったが、いずれも時間当たり2.8μSv(マイクロシーベルト)と、この時期、大騒ぎになっていた世田谷のホットスポット(後に、今回の原発事故とはなんの関係もない、夜行塗料用の放射性廃棄物と判明)並みの高放射線量がいたるところで見られ、福島県内の深刻さがより鮮明なものとなった。その後も郡山市等で観測し、東京経由で新幹線で帰阪した。
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福島県庁脇の公園の地表付近でも2.86μSv/hと、
かなり高い放射線量が観察された |