三宅代表 COP17温暖化防止会議に出席

12/5〜10

  12月5日から10日の日程で、三宅善信代表は、南アフリカ共和国のダーバンを訪れ、UNFCCC(国連気候変動枠組会議)のCOP17(第17回締約国会議)に出席した。

  三宅善信代表は、2007年、インドネシアのバリ島で開催されたCOP13以来、ポーランドのポズナニで開催されたCOP14、デンマークのコペンハーゲンで開催されたCOP15と相次いで国連の気候変動枠組会議に、WCRP日本委員会の開発・環境副委員長として参加してきたのは既報の通りであるが、残念ながら、年々「NGO排除」の傾向が強まっていることは事実である。

2009年のコペンハーゲン会議を境に、NGO参加者数が激減したCOP会議

  バリ会議やポズナニ会議では、各国の大統領や首相が演説し、各国政府代表が議論を戦わせる場をNGOからの参加者も見学することができた(註:当然、この会議の正式メンバーは「Conference Of Parties(締約国会議)」であるから、発言や賛否を表することができるのは、各国政府の代表であることはいうまでもないが、国益の壁を越えてどの国の主張が温暖化防止に熱心であるかないかを監視し、評価するのは市民の代表(NGO)に委ねられた権利である)が、2009年のコペンハーゲン会議では、NGOの参加者は、会場の入場パスを受け取るために氷点下の屋外で6時間も並ばされた。これは、明らかに国連がNGOを排除していることを意味する(註:公に「排除する」とは言えないので、物理的に「排除する」ことにした。3万人近いNGOの代表が、事前に国連の指示する通りの参加申し込み手続きを経て会場入口に並んだのに、NGOの受付窓口を8カ所しか用意せず、1人につき3分間で顔写真付きのIDカードを交付したとしても、1時間当たり20人x8カ所=160人。1日に10時間受付窓口を開いたとしても、1日に入場IDパスを受け取ることのできるNGO関係者は、1,600人に過ぎず、国連に事前登録した3万人全員に入場IDパスを支給するには、COP15の期間より長い19日間かかることからも、国連がNGOを物理的に排除しようとしたことは明白。この会議に参加した門川大作京都市長ですら、寒中で4時間待たされた)。その結果、今回のダーバン会議では、各国政府代表が集う会議場には近づくことさえ許されない有様だ。せっかく南アフリカまで来ながら、皆パソコンの画面に向かってインターネットを通して情報収集している様は、一種、異様ですらある。

せっかく会場まで来ながら、パソコンの画面に向かって
情報を収集しなければならないCOP会議

  2008年秋のリーマンショック以来、先進国の政治指導者の関心は、完全に国内景気の回復と国際金融秩序に維持に向かっており、また、『京都議定書』が制定された当時と現在とでは、アメリカが早々と離脱したことは論外としても、国別の温室効果ガスの排出量は、EUや日本の比率は中国やインドなどの新興国の排出量と比べたら極めて小さく、先進国のみの排出量規制数値目標を示した『京都議定書』は、今や、完全に意味のないものとなってしまった。おまけに、原発事故の対応で精一杯の日本政府も、当座の電力不足を火力発電所のフル稼働で補おうとしており、排出規制の遵守は完全に諦めていることが明白である。

  そんな閉塞感の中で、『京都議定書』が決議された1997年のCOP3以来14年ぶりに、COP会場において宗教者が温暖化問題に関する国際パネルを開催したことは注目に値する。12月7日、南アフリカ共和国で唯一のカトリック枢機卿であるダーバン大司教のW・ナピエール枢機卿がモデレータとなって、マハトマ・ガンジー(註:ロンドンの法曹院を卒業した後のガンジーの公的生活の最初は、南アフリカにおける弁護士活動であった)の孫であるエラ・ガンジー女史(ガンジー開発財団総裁)をはじめ、キリスト教・イスラム教・ユダヤ教・ヒンズー教等から7人の代表が出て、パネル討議が開催された。各パネリストは、環境保全に対するその宗教独自の教義的根拠を述べ、温暖化による食糧危機や風土病の蔓延が、途上国の人々の生存を脅かす点からも、宗教者が気候変動の問題に取り組むことが喫緊の課題である力説した

パネルの最初と最後に「祈り」を行う三宅代表

  和服姿でこのパネルの会場にいた三宅善信代表は、モデレータのナピエール枢機卿から突然指名されて、このパネルの「開会の祈り」を英語で務めることになり、日本人を代表して東日本大震災に際して全世界から寄せられた見舞いと支援に感謝の言葉を述べると共に、世界中の人々が環境を維持することによって安全を共有できるよう英語で祈った。また、印象が良かったのか、「閉会の祈り」にも指名され、祈りの前に原発の安全性が問われる中で、容易に再生可能(自然)エネルギーへの切り替えを説くのは無責任な態度である。実際には、原発の創り出すエネルギーと同程度のエネルギーを再生可能エネルギーで補うためには、今後相当の期間を必要とするため、その間は、旧態依然たる化石燃料による発電(=火力発電)をフル稼働して補うしかなく、そのことがもたらす地球上の全生物種に与える影響の深刻さを顧みた上での、罪深い究極の二者択一であることをスピーチした。

地元宗教対話ワークショップ等にも参加した三宅代表

  三宅代表はまた、COP会場以外でも、黒人居住地区の真ん中にある地元ダーバンの宗教対話会館において開催された水資源に関するワークショップ等にも参加し、積極的に発言をした後、中東のドバイ経由の便で帰国の途に就いた。



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