2014年2月22日、六甲アイランドの神戸国際大学において、同大学経済文化研究所主催の第29回公開講座『死を見つめる心〜死んだらどうなるのか〜』(前編)が開催され、事前に申し込んだ約300名が聴講した。開会に当たり、神戸国際大学の遠藤雅己学長と仲久則経済文化研究所長が主催者を代表して挨拶を行った。
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三宅善信代表の講演で満席となった公開講座 |
1人目の講演者である三宅善信代表は、神道の死生観の背後にある世界観について、『「天地の間」という自然観:遺体から遺伝子まで』と題して、古代メソポタミアの『ギルガメッシュ叙事詩』と『日本書紀』に登場するスサノヲの比較から説き起こし、三内丸山の縄文文化と諏訪の御柱祭、『大祓詞』と「五山送り火」、東日本大震災と日航ジャンボ機墜落事故、映画『猿の惑星』と『ガリバー旅行記』、霊柩車の変遷とスマホ画面、遺体と遺伝子といったような、一見、関係のないように見える人類文明の様々な様相を対比することによって、日本人の死生観の根本にあるものを判りやすく解き明かし、来聴していた東リの岡田晋亮前会長らから絶賛を受けた。
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宗教の類型を「一神教と多神教」ではなく、
「表音文字と表意文字」の違いによって分類する方法を提唱する三宅善信代表 |
2人目の講演者である神戸国際大学の近藤剛准教授は、『地獄の神学:ダンテ「神曲」の世界観』と題して、ローマ教皇と神聖ローマ皇帝という聖俗二大勢力が激突した中世イタリアを舞台に、カトリックにとっては「異教徒」である古代ギリシャ・ローマの諸賢人やムハンマドまで巻き込んで、死後の世界を旅する「地獄篇」・「煉獄篇」・「天国篇」よりなる中世文学の最高傑作であるダンテの『神曲』について、多くの画像を紹介しながら、欧州人の死生観について紹介した。
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三宅善信代表の講演に熱心に耳を傾ける受講者たち |
なお、3月1日には、後編として、中部学院大学の笠井恵二特任教授が、『古代人の死生観:エジプト・メソポタミア・ギリシャ・ローマを手がかりに』と題して、また、NCC宗教研究所研究員の松田史真言宗御室派法園寺副住職が、『仏教は死の不安を和らげられるか:先人の智慧から学ぶ』と題して、記念講演が行われる。