2015年12月26・27日、ANAクラウンプラザホテル京都を会場に、現代おける宗教の役割研究会の第62回コルモス研究会議が『死者(魂)の行方と儀礼』をテーマに開催され、学者や宗教指導者約70人が二日間にわたって熱心に討議した。
コルモス会議で開会挨拶を行う大谷光真会長
12月26日午後1時、二条城の向かいにあるANAクラウンプラザホテル京都に会場を移して第2回目のコルモス研究会議が、4月から第五代の会長に就任した大谷光真浄土真宗本願寺派前門主の開会挨拶で始まった。今年度のテーマは、9月に逝去した大村英昭前会長の遺題となった『死者(魂)の行方と儀礼』である。
コルモス懇親会で挨拶する奈良康明駒澤大学元総長
初日は、木村清孝東京大学名誉教授の司会で、日本カトリック神学会の阿部仲麻呂理事が、自分の父親失った体験に基づく論考を『「聖徒の交わり」そして「実存共働」をめぐって――「信徒信条」および「感謝の祭儀」における生者と死者の交わり』と題して、また、東北大学大学院の佐藤弘夫教授が『幽霊の誕生』と題する基調講演を行った。
コルモス理事会で発言する三宅善信代表
夕食・懇親会では、前日に満百歳を迎えた雲井昭善前副会長や奈良康明駒澤大学元総長らが久しぶりに参加した感想を述べた。続いて、午後7時半から理事会が開催され、大谷新体制を支える島薗進上智大学教授と氣多雅子京都大学教授の両副会長とポール・スワンソン南山大学教授、木村清孝東京大学名誉教授、櫻井治男皇學館大学教授、西川勢二真如苑教務長補佐、川本貢一中央学術研究所所長、と三宅善信現代社会と宗教研究会代表の6名の常任理事を中心に、今後のコルモスの運営方針等について話し合われた。
パネル討議でプレゼンテーションする三宅善信代表
二日目は、午前9時から、『死者(霊魂)の行方と儀礼』をテーマに 、櫻井治男皇學館大学名誉教授の司会でパネルディスカッションが開催され、千葉和男立正佼成会東京西司教区長、三宅善信代表、松本丘皇學館大学教授、村上興匡大正大学教授の4名がそれぞれの視点から見解を述べ、フロアも交えて討議がなされた。特に、三宅善信師のプレゼンテーションは、マスコミが創り出した既成宗教の説く来世観を無視した「スーパー天国」現象や「神葬祭」のあり方について独自の見解を示し、コルモス会議に参加した宗教学者はもとより、取材に訪れた記者たちにも大きなインパクトを与えた。
昼食後、岡田真水兵庫県立大学名誉教授の司会で全体討議が行われ、初日の発題者2名とこの日のパネリスト4名をが、二日間の各発表を元に、僧侶や神職といった宗教指導者や臨床医、自然科学者、社会科学者等の異なる立場からそれぞれが意見を表明し、今回のテーマについての理解を深め合って、第62回コルモス会議が閉会した。