ワシントンでG8宗教指導者サミット2012開催

 2012年5月17日

2012年5月17日、米国の首都ワシントンDCのジョージタウン大学バークレーセンターを会場に、今年度のG8宗教指導者サミットが開催され、諸般の事情で直前の開催案内であったにも関わらず北米を中心に二十数名の宗教指導者や合衆国政府・国際機関関係者が参加した。

G8宗教指導者サミット2012全体会合の様子
G8宗教指導者サミット2012全体会合の様子

  最初に、今年度の事務局を務めたニューヨークに本部を置くReligion for Peaceアメリカ委員会のバド・ヘックマン理事長が開会を宣言し、今年度の大会会場を提供したジョージタウン大学「バークレイ宗教・平和・世界センター」のトム・バンチョフ所長が歓迎の辞を述べ、三宅善信代表が開会の祈りを行った。

  続いて、合衆国国際開発庁「信仰に基づく共同体形成局」のマーク・ブリンクメラー局長とジョージタウン大学ウッドストック神学センターのトーマス・リーズ上級研究員が、現代世界におけるそれぞれの問題意識について基調講演を行った。両氏とも、米国における住宅バブル(いわゆる「サブプライムローン問題」)の崩壊と、2008年のリーマンショックが世界経済に与えた影響と各国の政治的指導者の関心が国内経済の回復のみに向かってしまったことに触れ、宗教者の果たす役割の増大を強調した。

G8宗教指導者サミットの経緯について基調講演を行う三宅善信代表
G8宗教指導者サミットの経緯について
基調講演を行う三宅善信代表

 今回のG8宗教指導者サミット2012は、直前に合衆国政府がG8主要国首脳会議(サミット)ならびにG20サミットの開催地を、当初の予定地であったシカゴからワシントンDC近郊のキャンプ・デービッドへ急遽変更したことに伴う混乱による開催通知の遅れで、欧州を中心とした従来のG8宗教指導者サミット経験者がほとんど参加せず、参加者は主に北米大陸の宗教者および政府・国際機関関係者中心になった。そこで、このサミットに唯一6年連続で参加し、また、2008年に大阪・京都で開催されたG8宗教指導者サミット20008の事務局長も務めた経験のある三宅善信代表が、過去のG8宗教指導者サミットの経緯ならびに、宣言文作成および当該国政府への提出の手順等について基調講演を行った。

 続いて、事務局が作成した「宣言文」草案を読み込み、それぞれ異なった宗教的・文化的背景を有する人々の手によって問題点を明確化するために、数人毎の分科会に分かれて一行一行査読を行い、修正案を検討した。昼食休憩後、各分科会からのフィードバックに基づき、全体で「宣言文」案を検討、また、スカイプやツイッター等の最新のIT技術をフル活用し、実際にこの場に来ることが叶わなかった世界中のG8宗教指導者サミット経験者からも、あたかもこの場に参加しているようなオンタイムでディスカッションに参加してもらった。

合衆国農務省「信仰に基づく隣人愛パートナーシップ局」のマックス・フィンバーグ局長と三宅善信代表
合衆国農務省「信仰に基づく隣人愛パートナーシップ局」の
マックス・フィンバーグ局長と三宅善信代表

 さらに、合衆国農務省の「信仰に基づく隣人愛パートナーシップ」局のマックス・フィンバーグ局長が、合衆国の食糧支援システムについて基調講演した。アメリカのキリスト教徒にとっては、不特定多数の地球上の全生命に絶滅の危機をもたらす地球温暖化を中心とした環境問題よりも、信仰的隣人愛に基づく貧困者への食糧支援の問題のほうが遙かに大きな関心事であることが判明した。

さらに、西暦2000年に生まれた「ミレニアム・キッズ」を15年間定点観測することによって、世界各国首脳の「公約」である『MDGs(ミレニアム開発目標)』の達成具合を評価するサラ・ハリブランド「ミレニアム・キッズ」プロジェクト代表や、元世界銀行総裁顧問でバークレイ研究所の上級研究員のキャサリン・マーシャル博士が総括講演を行い、「宣言文」の採択と、三宅善信G8宗教指導者サミット継続委員の閉会挨拶によって今年度のG8宗教指導者サミット2012は閉幕した。

 なお、今回の「宣言文」は、翌18日から、ワシントン郊外のキャンプ・デービッドで開催されるG8/G20主要国首脳会議に対して、ホワイトハウスを通じて提出された。



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