■ 宗教界の動き ■


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10月前半の宗教界の動き (9910F)
東海村の「臨界事故」に対して、宗教界も素早く反応しました。

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☆宗教専門チャンネル 放送開始
 10月1日、本邦初の衛星放送による宗教専門チャンネル「ランチ」がスカイパーフェクトTVで始まった。初放映では、比叡山の「世界平和祈りの集い」の模様が紹介された。


☆放射能漏れ事故で首相に抗議文(本願寺派)
10月1日、先の東海村放射能漏れ事故に関し、浄土真宗本願寺派は「『いのち』・『人権』・『環境』を守る立場」から小渕恵三首相に対し、豊原大成総長名義で抗議文を送った。また、事故を起こした施設から10キロ圏内には、同派の寺院が2カ寺あり、現地対策委員会を発足し、情報収集を行なった。


☆セクハラ講習会開催(日蓮宗)
 10月1日、日蓮宗(永井祥文宗務総長)宗務院でセクシャルハラスメント(性的いやがらせ)についての講習会が院内講習の一環として行なわれた。講習では弁護士から判断基準や配慮すべき点について講義を受けた。宗務院での女性職員の増加に伴い、無関心ではいられないとして開催に至った。


☆高僧と受験僧が問答 延暦寺の法華大会
 5年に1度に開かれる天台宗で最高の論議法要「法華大会(ほっけだいえ)」が1日、同宗の総本山延暦寺で始まった。伝統儀式に則った仏法の問答や講義が7日間、夜を徹して交わされる。

 法華大会は、高僧が法華経を講義する「法華十講」と僧侶に対する仏法の口頭試問「広学竪義(りゅうぎ)」が連日、行われる。広学竪義では、試験官の「問者」と受験僧の「竪者(りっしゃ)」の問答が未明に及ぶ。今回は約340人が試問に挑む。

 この日朝、法華十講の講師(こうじ)を務める已講(いこう=天台宗の最高の学位「探題」に次ぐ位)の小堀光詮三千院門主が輿(こし)に乗って東塔境内の大講堂に到着し、堂内で古来の長い節回しで経典を講じた。その後の広学竪義では、蝋燭の明かりだけの閉め切った堂内に、問者と竪者のやりとりの声が響いた。

 中日の4日には、輿に乗った勅使が高僧と対面する「三方の出合い」や童僧による問答などの華やかな儀式が繰り広げられた。


☆立教140年大祭(金光教)
 10月1日から、岡山県の金光教本部(森定斎教務総長)で「立教140年生神金光大神(いきがみこんこうだいじん)大祭」が始まり、7日までに全国から約50,000人が参拝した。同教は1859(安政6)年、教祖金光大神が「取次(とりつぎ)」を始め、以来、人々に継承され、現在では世界人類の救済を目指して、さまざまな活動を展開している。


☆臨界事故で首相に要望書(大谷派)
 10月2日、真宗大谷派の木越樹宗務総長は東海村での臨界事故に関し、小渕恵三首相に「いのりの尊厳に真向かう宗教者」の立場から、「人間自身の持つ根源的無明性が露見した」と文書で批判し、早急な対応と情報公開を求めた。


☆秋季大祭で臨界事故に触れる(弁天宗)
10月2・3日、弁天宗(大森慈祥管長)の立教の地、大和本部で世界平和や五穀豊穣などを願う秋季大祭が営まれた。大森管長は教話の中で、東海村の臨界事故に触れ、「人の油断が引き起こしたもの」と注意を呼びかけた。


☆築地別院の修復完成を祝う(本願寺派)
10月2〜3日、浄土真宗本願寺派築地別院(蓮清典輪番)は、第8代蓮如上人五百遠忌法要並びに別院修復完成慶讃法要を厳修した。僧侶・門信徒4,000人あまりが参拝し、首都圏での念仏興隆への誓いを新たにした。


☆神饌の歴史を紹介(熱田神宮)
 10月3日から26日まで、名古屋市の熱田神宮(小串和夫宮司)で、健康食ブームと共に見直されている日本食の原点ともいえる、神饌を紹介する企画展が開催された。講演会や宝物展も合わせて開催された。


☆世界最大の木彫弁財天像(真言宗最福寺)
 10月4日、鹿児島市の真言宗烏帽子山最福寺(池口恵観法主)で、高さ18.5m、世界最大の木彫弁財天像の入仏大法会が執り行われ、国内を始め、韓国・台湾から約1,200人が参列した。


☆瀬戸内寂聴さんが原子力開発に警鐘
 10月1〜7日、天台宗総本山延暦寺で法華大会が厳修されている。作家で天台宗の僧侶でもある瀬戸内寂聴さんが庵主を務める寂庵でも写経の会が開かれ、東海村で起きた臨界事故について、日本の核開発の姿勢に疑問を投げかけ、核のない世の中を求めた。


☆他教団の訃報、機関紙に掲載(創価学会)
 10月5日付けの『聖教新聞』(創価学会機関紙)と『公明新聞』に庭野日敬立正佼成会開祖の訃報が掲載された。創価学会が他教団トップの訃報を掲載するのは異例。自自公連立や宗教法人法改定の情勢の中で、創価学会も他宗教との融和を打ち出しており、今回の措置もその表れと見られる。


☆WCRP世界大会へ向けて 京都で記者会見
 10月6日、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会は、京都市内で記者会見し、11月にヨルダンで開かれる第7回世界大会の詳しい討議内容を発表し、「世界各地の紛争解決のために、具体的な行動を起こす会議にしたい」と決意を語った。

会議は11月25日から5日間、ヨルダンの首都アンマンで開催される。約60カ国から800人以上が参加し「共生のための地球的行動――新たな千年期における宗教の役割」をテーマに話し合う。

日本代表団は、白柳誠一カトリック枢機卿を団長に、天台宗や臨済宗などの伝統仏教、神社本庁や金光教などの神道界、立正佼成会や妙智会などの新宗連などの宗教者23人で構成、会議に出席する。

会議では、ヨルダンのアブドラ国王やアナン国連事務総長、マンデラ前南ア大統領らが共通テーマ「共生へのチャレンジ」で講演。このあと、西アフリカ・シエラレオネやボスニアなど紛争地域の当事者を交えた全体会議のほか、研究部会を通じて国や宗教を超えた共生の道を探る。


☆前ロシア総領事がイスラム原理主義について講演
 超宗派で結成されている大阪国際宗教同志会(会長:津江孝夫今宮戎神社宮司)は、10月6日、金光教泉尾教会で開催された平成11年度第2回例会で、前在大阪ロシア連邦総領事コマロフスキー氏を迎え、講演会を開催した。氏は、イスラム原理主義の歴史と現状について説明し、ロシアがその挑戦を受けていることは、全世界の文明に対する挑戦として認識するよう促した。


☆宗教被害の「判断基準」巡るシンポジウム
10月6日、日本弁護士連合会(小堀樹会長)が"宗教トラブル"に関する「判断基準」をまとめたことの是非を問うシンポジウムが東京で開催された。肯定派弁護士が、現行法の不備や「判断基準」の客観性を主張する一方、反対派からは宗教だけを特別扱いした「判断基準」の危険性が指摘された。


☆「意見拝聴」申し入れ(公明党)
 10月7日、公明党(神崎武法代表)は全日本仏教会・神社本庁・新日本宗教団体連合会に対して、「意見や要望を聞く機会を持ちたい」と、交流を申し入れた。同党は「どのような団体からも意見・要望を賜わり、政策に反映していくのが使命」としているが、全日仏は「何もお話することはない」旨を告げるに止まった。


☆庭野日敬開祖の葬儀に6万人(立正佼成会)
 10月10日、立正佼成会(庭野日鑛会長)大聖堂にて、4日に入寂(逝去)した同会の庭野日敬開祖(法号「開祖日敬一乗大師」)の葬儀・告別式が執り行われた。法華経の現代的解釈による布教と、宗教対話による世界平和運動の実現に大きな功績を残した故人を偲び、宗教界をはじめ各界からの2,600人の弔問客と会員代表で大聖堂内は立錐の余地もなかった。また、普門館等の同会諸施設はもとより、開祖を乗せた霊柩車を一目でも拝もうとする会員で、斎場までの沿道の参列者は60,000人にも及んだ。詳しい記事は、http://www.kosei-kai.or.jp/indx_no_topnews.html


☆東洋思想研究の第一人者、中村元氏 死去
文化勲章受章者で東洋思想研究の第一人者として知られた中村元(なかむら・はじめ)氏(86歳)が10日午前10時45分、急性腎不全のため東京都杉並区久我山4-37-15の自宅で死去した。松江市出身。告別式は11月 6日午後4時から中央区築地3-15-1の築地本願寺で、自ら設立した「東方研究会」の研究会葬として行われる。喪主は妻洛子(らくこ)さん。 


☆スリランカより仏舎利奉安法要
 10月10日、東本願寺東山浄苑(大谷暢順理事長)で、スリランカ随一の名刹、仏歯寺からマハー・ボディ・ソサイエティ(大菩提会)を通じて贈られた仏舎利(ぶっしゃり=釈迦の遺骨)の奉安法要が厳修された。


☆宗教と税制シンポジウム
 10月12日、(財)日本宗教連盟(理事長深田充啓円応教教主)は「宗教と税制シンポジウム」を開催。武田昌輔成蹊大学名誉教授が「宗教法人非課税制の原点を探る」と題して、宗教法人の収益事業に対する課税の考え方や問題点について講演を行ない、宗教法人自らの理解と検討を促した。


☆平成の大修理完成(高野山真言宗)
 10月12〜16日、5年間をかけた総本山高野山金剛峰寺の大修理の完成を祝い、落慶の盛儀が執り行われた。期間中、全国から30,000人あまりの参拝者が集まった。地域伝道団が各法会を担当し、舞踊などが奉納された。また、持仏本尊大師尊像の開帳や高山辰雄画伯揮毫障屏図の展観などが行われた。


☆源頼朝八百年御忌を厳修(東大寺)
 10月13日、世界最大の木造建築で知られる華厳宗大本山東大寺で、同寺の再興に尽した源頼朝(1147〜99)の八百年御忌法要が営まれ、舞楽や能の奉納や献茶が行われた。


☆新管長に宮坂宥勝氏(智山派)
 真言宗智山派の新管長に宮坂宥勝氏の就任が決まった。近藤隆敬前管長の辞任に伴ない、管長候補者推薦会で宮坂氏と阿部龍文氏が推薦を受けたが、阿部氏が辞退したため、宮坂氏に内定。12月14日、晋山式(しんざんしき=高僧の就位式)が予定されている。


☆教皇のイラク訪問を阻止へ
 ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世は「新千年期」を祝うため、年末、中東を歴訪するが、米英政府は、イラクを訪問国からはずすように外交戦術を進めている。


☆杲山総務院長が辞職(韓国仏教界)
 事実上の分裂状態にあった韓国最大の仏教宗派、曹渓(チョゲ)宗でいったん沈静化した紛争が再燃の兆しを見せている。杲山(コサン)総務院長に対する地位存在確認訴訟で、原告有利の判決が下ったことに対し、総務院側は無期限ストライキに突入。杲山氏の辞任や、本山の支配権を巡って両派の僧侶数百人による乱闘騒ぎがマスコミで報道されるなど混沌とした情勢が続いている。

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