■ 宗教界の動き ■
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 1月前半の宗教界の動き (0101F) クローン人間や新世紀宣言など、21世紀の幕開けに相応しい新年でした。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇ *秘仏の開帳で新世紀の幕開け 天台宗 1月1日午前零時、天台宗総本山延暦寺(滋賀県大津市)は、根本中堂の秘仏本尊・薬師如来像を開扉して厳かに21世紀の幕を開けた。延暦寺一山建立院の叡南覚範住職の導師で開扉法要が営まれ、五尺五寸の立像が姿を表わした。 *大願築く総合道場 眞如苑 1月1日、真如苑総本部(東京都立川市)で、「一如の鐘」が響き渡る中、新年が迎えられた。また、総本部真澄寺奥の院では、伊藤真聰苑主の導師による「元朝の大護摩供」が厳修され、なお一層の和合結集を期するよう祈念された。信徒は総合道場へのさらなる邁進を誓った。 *新信心運動が発足 金光教 1月1日、金光教本部(岡山県金光町)は、「金光教宣言」を宣言し、同教の信仰思想を世界に表明した。明治33(1900)年に、明治政府から「教団として公認」を受けた金光教(「立教」は安政6年=1859年)にとって21世紀は"教団第2世紀"の幕開けでもあり、今年6月には新たな信心運動「あいよかけよの生活運動」を発足させる予定で、6月から7月にかけて「教区教会長教師集会」を開催し、新信心運動の理解を深める。 *十万人にお雑煮 天理教
1月5日から7日まで、天理教教会本部(奈良県天理市)で、新春恒例の節会(せちえ)が盛大に執り行なわれ、約10万人の信者や市民らで賑わった。年末に教会本部や信者詰所などでつきあげられ、神殿に供えられていた合計44.8tの餅は、節会の期間中、幅1m、長さ20mもある7つのジャンボ餅焼き炉を使って焼き上げられ水菜の"すまし雑煮"に調理され、各会場で帰参者らに振る舞われた。 *節分過ぎまで賑う 成田山 1月7日、大本山成田山新勝寺(照碩貫主) では、本尊不動明王の「御姿」を表す梵字の文字を刻んだ御印紋で加持をする「七草御印紋」を行なわれ、参拝者の身体健全・学業成就を祈念した。新勝寺の初詣は節分過ぎまで連日多くの参拝者で賑う。 ☆恒例の七草粥 大本 1月7日、大本(京都府亀岡市)恒例の正月行事「七草粥」接待が、天恩郷で行われ、信徒や市民2,900人が接待を受けた。本席の春陽閣では、和服姿の本部職員らによって、七草のたっぷり入ったお粥のほか、珍しいツクバネのすましなどが本塗の器で接待された。 *後七日御修法開白 真言宗 1月8日、国家の安泰、世界平和を祈る「後七日御修法(ごひちにちのみしほ)」が京都の教王護国寺(通称:東寺)で、高吉清順・総本山善通寺法主が大阿闍梨となって、真言宗各派山主により開白した。宗祖弘法大師が唐の例にならって承和元年(834年)、宮中真言院で「後七日御修法」を営んで以来、1160年以上続く真言宗最高の大法で、14日までの7日間奉修される。 「後七日御修法」とは、宮中での新年行事の最初の7日間は神式で行われるのに対して、8日〜14日までの後半(後七日)は仏式(真言密教)で行われることに因んで命名されたもの。玉衣(天皇が身につけた衣服)を宮中から持参し、これを玉体(天皇の身体)に見立てて、7日間にわたって加持祈祷を行うものであり、毎年、真言宗各宗派の管長クラスが輪番(イロハ順)で大阿闍梨(大導師)を勤める。この大役を勤めた者は、向こう1年間「真言宗長者」の称号が与えられる。御修法は勧修寺流(金剛界)と西院流(胎蔵界)を1年交代で勧修する真言宗最高の儀式で、今年は胎蔵界が本尊。 *新流名は「華道本能寺」に 1月10日、元旦付けで流派名を変更した「華道本能寺」の初生献花式が、家元である法華宗本門流大本山本能寺(岡本日亘貫主・京都市中京区)で行われ、門下生ら約80人が見守る中、家元総裁を務める岡本貫主が「流租の原点に戻る」改称を機に一派の躍進を宝前に祈念した。 *日蓮宗 御用始め 1月11日、日蓮宗(渡邉清明宗務総長)では、藤井日光新菅長(総本山身延山久遠寺法主)を迎えて、東京の大本山池上本門寺本殿で「宗務院御用始め・法味言上の儀」を執り行ない、200人余りの出席者全員で「宗歌」を斎唱した後、藤井菅長の導師で法味を言上し、平成13年度の宗門興隆、法連隆昌を祈った。今春から始まったNHKの大河ドラマ『北条時宗』では、俳優の奥田暎二が演じる日蓮が重要な役回りで登場する。 ☆「劈頭宣言」で会見 浄土宗 1月11日、元日付けで新世紀へ向う宗門の基本理念を示した『21世紀劈頭(へきとう)宣言』を発表した浄土宗(水谷幸正宗務総長)は、京都市東山区の宗務庁で記者会見を行い、人作りの中心となる家庭教育で宗教情操教育を充実していこうとの考えから、「家庭に仏を祀る運動を進めていきたい」と述べた。 *商売繁盛を祈願して102万人 今宮戎 「商売繁盛でササ持って来い」の掛け声も威勢よく1月9日から始まった大阪市浪速区の今宮戎神社(津江明宏宮司)の例大祭「十日戎」は、9日(宵宮)10日(本ゑびす)11日(残り福)の3日間斎行され、約102万人の人出で賑わった。10日は、ミナミの料亭前から、芸妓衆・福娘らが乗った宝恵籠(ほえかご)、高張り提灯など計34台、総勢500人の行列が中座・戎橋筋、今宮戎神社までの1.5kmを練り歩いて祭を盛り上げた。なお、昨年4月に津江明宏師が宮司に就任して以来、初めての十日戎になる。 *今年のラッキーナンバーは493? 西宮戎 全国の戎神社(恵比寿神社)の総本宮である兵庫県西宮の西宮神社(通称=西宮戎、吉井良隆宮司)の「十日戎」には、約100万人参拝者が訪れ、招福の笹を手に商売繁盛を祈願した。9日夜からの忌籠に続いて10日午前6時から恒例の福男選び神事が斎行され、今年の1番福は25歳の善斉健二さんが選ばれた。神事の後に善斉さんが引いたみくじ番号は「493」で、これが今年のラッキーナンバーに? *修正会に続き陀羅尼会 浅草寺 1月12日から19日まで、東京浅草の浅草寺(清水谷孝尚貫主)では、6日までの修正会に続いて、一山総出仕により観音密供168座を昼夜不断で修する「温座秘法蛇羅尼会」が営まれた。 *昭和天皇の玉筆「無相」が初公開 1月13日に始まった花園会館と臨済宗大本山妙心寺の共同企画「閑寂の禅」では、経蔵や仏殿、大庫裏などが特別拝観できる企画だが、特に妙心寺大庫裏では昭和34年に昭和天皇が揮毫した国師号「無相」の玉筆が初公開された。 *今年の慶福祈る「御頭講会」 日蓮宗 1月13日、日蓮宗総本山身延山久遠寺(藤井日光法主・日蓮宗管長)では、六老門跡寺院をはじめ500余人の参列のもと、祖師殿で新年恒例の「新年の御年頭大会」ならびに「曵馬式」「新年祝祷会」を執り行なった。日蓮聖人の尊霊に賀を献じ、忍難慈勝の高徳を偲ぶとともに、併せて異心同心、広宣流布の誓いも新たに、今年一年の慶福を祈念するという行事である。 *四天王寺で"どやどや"祭 1月14日、和宗総本山四天王寺(吉田英哲管長、大阪市天王寺区)で、修正会結願の魔除けの御札を裸で奪い合う伝統の裸まつり"どやどや"が行われ、寒波の襲来でこの冬一番の冷え込みの中、同寺と縁故の深い保育園や幼稚園、四天王寺学園・清風学園・清風南海学園の生徒ら約1,100人が参加して護符争奪の肉弾戦を繰り広げた。 *御修法が成満 真言宗 1月14日、東寺真言宗総本山教王護国寺灌頂院で8日から行われていた後七日御修法が無魔成満したが、本来、真言宗各宗派の管長が出仕することになっている後七日御修法であったが、各管長の高齢化や健康上の理由により、最近では管長自身の出仕が減少し、御修法のあり方を検討しなければならない時期にきているようだ。 *日本・台湾の文化交流目指して懇談会 佛光山 1月14日、台湾仏教界最大の教線を誇る新宗教教団の佛光山(星雲大師)が、わが国に建立した別院、大阪佛光山寺(慈怡住職、兵庫県宝塚市)は、日台の宗教文化を紹介し合う「日華民族文化懇談会」を同寺で開いた。慈怡住職を導師にした勤行の後、新保辰夫同会会長らが挨拶、続いて、台湾出身のコックが湯圓(団子入りスープ)の料理教室を催し、地元市民らが参加した。 *改正祝日法で期日変更 三十三間堂 1月14日、京都市東山区の天台宗妙法院・三十三間堂で、恒例の「楊枝(やなぎ)のお加持」法要が営まれ、御利益を求める約1万人で賑わった。大久保良順門主らが導師をつとめ、霊木とされる楊の小枝で参拝者の頭上に浄水をふりかけた。この行事は、例年は1月15日の「成人の日」に行われたいたが、昨年の祝日法改正の影響で、今年から「15日に最も近い日曜日」に行われることとなった。 *息災祈ってトンド祭 念法眞教 1月15日、念法眞教(小倉霊現燈主)は、大阪市鶴見区の総本山金剛寺拝殿前広場で、正月の門松や注連(しめ)飾りなどを護摩壇で焚き上げ、今年一年の無病息災を祈る恒例の念法トンド祭を厳修し、参拝者は一心に念法真言を唱和した。 *左義長に1万人 大須観音 1月15日、別格本山大須観音寳生院(岡部快圓貫主)では、古い門松やお札、注連縄を焚き上げて無病息災を祈願する正月の伝統行事「左義長」が執り行なわれ、1万人を超す参拝者が訪れた。本堂前に15m四方を縄で囲んだ特設の護摩壇が設けられ、祈祷の後、本堂から護摩壇へ火入れが行われ、炎の中に正月飾りが次々と投げ込まれた。 *中村門主の親修で大震災追悼法要 浄土宗 1月15日、浄土宗兵庫教区(武田賢祐教区長)は、神戸市東灘区の中勝寺で阪神淡路大震災物故者追悼七回忌法要を中村康隆浄土門主の導師により厳修し、遺族や一宗関係者ら約300人が参列、物故者を追悼した。 *拝観者に方丈で法話 豊臣秀吉の正室おね(北政所)ゆかりの寺としても知られている京都東山の建仁寺派高台寺(湊葆州住職)で、昨年、春、夏、秋の各季に実施された夜の特別拝観には、延べ16万人の拝観者が訪れた。 *クローン人間年内に着手 米国の新興教団 異星人エロヒムが人類を創造したとする新興宗教団体「ラエリアン・ムーブメント」が、今年末か来年の初めをめどにクローン人間を誕生させるという計画を明らかにした。ラエリアンはヒトクローンや遺伝子組換の技術開発などを積極的に支持しており、イエスも死んだ後クローン技術によって生き返ったと主張している。 ☆韓国の仏教では臓器移植承認派が倍増 韓国の仏教徒で組織されている「命分かち合い実践会」によると、昨年の臓器寄贈希望者は7,010人で、99年度から2.4倍増えた。事務局長は「家族や友人の勧誘によっての受動的な意思表明でなく、自発的な意思表明で臓器提供を希望する人々が大幅に増えている」と、特徴と展望を述べた。 *臓器移植抗議声明を再考 大本 大本本部では、脳死臓器移植が行われるたびに政府や医療関係者に送付する抗議の声明文をいったん休止する方針を固めた。今後は、法規の見直しなど重要な転機の際に教団の見解をより多くに訴える手法を検討中。 ☆提案の形は「宗網改正」か? 浄土宗 浄土宗では「宗務庁を東京へ移転する議案を3月の定宗へ提案する」と、水谷幸正宗務総長が昨年9月の宗議会で明言して以来、議員の間で活発に議論が行われているが、その提案の形は、どうやら宗網改正のみの提案となるようだ。 *開宗1200年はいつ? 天台宗 天台宗では、開宗1200年に当たる年は平成17(2005)年かそれとも18(2006)年か、と宗門の佳節の正当年をめぐって議論を呼んでいる。天台宗の立教開宗は延暦25(806)年とされ、昨年10月の宗議会で制定された「開宗千二百年大法会準備事務局規程」の議案書にも「平成18年」とされているが、仏教界の慣例だと祖師の生誕年や遠忌など「かぞえ年」で計算するのが一般的。何年が「正当」となるかは今後の議会の行方を見守るしかない。 *憲法問題対策室を設置 神社本庁 昨年5月の定例評議会で議員提出された「神社本庁に要望する」案件では、自主憲法制定に向けた対策、靖国神社公式参拝の促進、家庭祭祀の振興と、青少年の教化育成への取組み、「昭和の日」制定実現に向けた活動推進などが決議され、うち「自主憲法」制定に向けた取組みでは、本庁内に「憲法問題対策室」が設置されている。 *正念場続く「大麻」頒布 伊勢神宮 神社界が「本宗(ほんそう)」と仰ぐ伊勢の神宮(久邇邦昭大宮司)は昨年末、外宮新神楽殿の開殿祭を斎行。3月には御神威発揚を祝う竣功奉祝祭も斎行される運びで、参拝者の増加と外宮の活性化が期待されている。しかし、神社本庁傘下の全国8万社に委託して配布している「神宮大麻(じんぐうたいま=一般家庭用の伊勢神宮のお札)」の頒布数は、1995年から5年連続で減体の一途をたどり、国民の伊勢神宮に対する崇敬意識の低下が危惧されている。 *淡路七福神が30周年 八淨寺(兵庫県津名町)内に事務局を置く「淡路島七福神霊場」は今年、開創30周年を迎える。同霊場はこれを記念して「淡路島七福神めぐり」のポスターを作り、30周年に合わせての行事紹介や問い合せ先などを記載して、今世紀初めの七福神めぐりを呼びかけている。 戻る |