■ 宗教界の動き ■


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5月前半の宗教界の動き (0105F)
 ローマ教皇とダライ・ラマの外遊が注目されました。

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☆中国「信教の自由批判」に反論
5月1日、米国の国際宗教自由委員会は、2001年度報告書を発表し、中国の宗教政策や中国政府の「法輪功」集団の取り締まりなどについて批判した。これに対し北京の宗教界関係者は、5日の座談会で、「同委員会のやり方は、中国政府の宗教関係者に懸念と憤りを感じさせるものであり、中国内政への干渉や宗教信仰の自由に対する中傷絶対に許されない」と反論した。

☆大念仏寺で万部法会
5月1日から5日まで、融通念仏宗総本山大念仏寺(白井慈勲管長)の「阿弥陀経万部読誦聖衆来迎会(通称:万部法会)」が、宗内の住侶総出仕で行わされ、延べ2万人の参詣者で賑わった。同寺院を大相撲春場所の際に宿泊場所にしている東関親方(元高見山)などと共に、レルネットの三宅善信代表も来賓として参列した

☆教皇 東西教会分裂から千年ぶりにギリシャを訪問
5月4日、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世は4日、「伝道者パウロの足跡をたどる巡礼」に出発し、最初の訪問国であるギリシャに到着した。1054年の東西教会分裂以来初めて、東方正教国ギリシャの首都アテネに到着した。アテネではギリシャ正教会首脳部の訪問容認に反発する保守派が抗議集会を続けており、教皇が訪れるアクロポリスをはじめ、市内は厳戒体制が敷かれている。
ギリシャ政府は、正教会保守派からの抗議について「バチカンの国家元首である教皇を、大統領が国賓として招待したのだから、(教皇のギリシャ訪問に反対することは)EUの一員である国家への明白な反対行為だ」と非難。ギリシャ正教会のトップ、クリストードロス総主教側は「(反対運動は、正教会全体のことではなく)周辺的な一部勢力にすぎない」との声明を発表している。
ロシア正教会やギリシャ正教会は、これまで、正教圏への「侵略」でもあった十字軍や宗教裁判の歴史に反発し、強硬な反カトリック姿勢をとってきた。だが、現在は準国教として国家の枠内にあり、西欧主導のEUへの関与を深める左派政権に押し切られる形で首脳部が方針を転換した経緯がある。

☆教皇 アテネでのミサで「暴力非難」声明
5月5日、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世は、アテネのオリンピック・センターで少数派の地元カトリック教徒16,000人を集めたミサを開いた。ギリシャ正教会最高位のクリストードロス総主教とともに「宗教の名の下に行われる暴力」を非難する声明を発表した。

☆教皇 ダマスカスでモスク初訪問
5月6日、パウロの足跡を辿る聖地巡礼中のローマ教皇ヨハネ・パウロ2世は、第2の訪問国シリアの首都ダマスカスにある現存のモスクとしては世界最古のウマイヤド・モスクを訪問し、シリアのイスラム教指導者と対話した。カトリック教会の最高指導者がイスラム教のモスクに足を踏み入れたのは初めて。

教皇は、モスクの一角にある「洗礼者ヨハネ」のものとされる廟に祈りを捧げた後、シリアのグランド・ブフティ(イスラム教最高指導者)アハマド・コフタロ師ら5人の同教指導者との対話に臨んだ。教皇はこの中で、「この対話がカトリックとイスラム教間の対話促進に向けた意思を示すものとなるよう望む」と語り、キリスト・イスラム両宗教の関係改善を強く訴えた。
なお、イスラム教指導者がカトリック教会内で最初に祈りを捧げたのは、1994年11月にバチカンで開催された第6回WCRP(世界宗教者平和会議)世界大会開会式のことであり、レルネットの三宅善信代表も公式に列席した。



イスラム教指導者も多数参加した第6回WCRPで教皇と共に祈る三宅歳雄師=三宅善信代表の亡祖父

☆ダライ・ラマが米国各都市訪問を開始
5月8日、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は、3週間にわたる米国訪問の最初のスケジュールとして、ミネソタ大学で仏教について講演した。
ダライ・ラマは、大学のホールに集まった聴衆に対して英語で、「宗教は個人の問題だ」と述べた。また、「欧米で説法する際は、アジア諸国とは異なる背景があり、そのため、それぞれの伝統を維持するべきだということを、いつもはっきり言う」と述べた。
ダライ・ラマは今回の訪米で、ソルトレークシティー、ポートランド、サンノゼ、マディソン、ロサンゼルス、ワシントンDCの各都市を訪問する予定。

☆小泉首相「総理」の肩書きで靖国神社参拝を明言
5月9日、小泉純一郎首相は、国会答弁で靖国神社への参拝を明言したことについて「総理として、個人として参拝する。総理の肩書は消せない」と述べ、公式参拝と受け止められても仕方がないとの考えを示した。また、福田康夫官房長官は記者会見で、首相自身が公式だと明言しなければ私的参拝になるとの見解を示した。

☆立正佼成会 参議院選の推薦候補発表
5月11日、立正佼成会(酒井教雄理事長)は、今夏に実施される第19回参議院通常選挙において、選挙区11名、比例区2名を推薦候補者としたことを、同会の機関誌『佼成新聞』で発表した。推薦にあたっては、一昨年に策定した基準である「自・公連立政権を容認することはできない」という基本姿勢、教団見解を踏襲された。

☆正教会 教皇のウクライナ訪問批判
5月11日、ロシア正教会とギリシヤ正教会指導者は、6月23日から27日に予定されているローマ教皇ヨハネ・パウロ2世のウクライナ訪問を批判した。今回の訪問は、ウクライナ政府の招請によるものだったが、両指導者は「まず正教会側の承認が必要」と言う。また、両正教会の総主教は、カトリック教徒が正教会信者に対して犯した過ちに対するローマ教皇の歴史的謝罪についても疑念を示している。

☆アーユスが連続セミナー
5月12日から、NPO「アーユス仏教国際協力ネットワーク」(茂田真澄理事長)では、「海外生活者のための仏教教養講座」と銘打って、連続セミナーを東京・芝公園の浄土宗天光院シュリーホールを会場に始めた。初日は、「私は『無宗教』?」と題して、日本人の宗教観を省みるシンポジウムを行い、約140名の参加者が熱心に耳を傾けていた。

☆大本葬、四代教主と別れ惜しむ
5月13日、先月29日亡くなった出口聖子大本四代教主の葬儀、京都府綾部市梅松苑の「大本」本部みろく殿で営まれ、教団幹部をはじめ全国の信者ら6,000人が別れを惜しんだ。

☆米国務省の宗教的自由調査 イスラム教組織が批判
米国のイスラム教とキリスト教団体が、国務省国際宗教的自由委員会を批判している。同委員会が先ごろ中東に調査団を派遣したものの、5月14日になって、「サウジアラビアとエジプトについては報告書を発表するが、イスラエルについては発表しない」と決定したことについて、「イスラエルを批判から保護する試みとして見られるだけだ」と指摘する声明を発表した。

☆日韓仏教 ソウルで第22回大会
5月14〜16日、ソウル市で第22回「日韓・韓日仏教文化交流大会」が開かれた。『仏教における孝の思想』をテーマとした学術大会では、両国社会に共通する「孝」の思想の欠如と仏教思想による対応策が望まれ、共同宣言では日本の教化書問題に間接的に言及する文言が謳われた。

☆参院選 僧侶も出馬
伝統教団僧侶2名が比例区で立候補する模様。自民党からは浄土宗教伝寺住職(京都)の小泉顕雄氏、自由党からは曹洞宗天聖寺住職(福岡)の村田直治氏が立候補する予定。特に、小泉顕雄氏は、先頃、国民的人気を得て就任した小泉(純一郎)総理のブームで、全国で相当数の有権者が間違って「小泉」と書くことが予想されており、当選が有力視されている。

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