■ 宗教界の動き ■

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11月後半の宗教界の動き (0111S)
 「米国VSイスラム社会」の対立構造が鮮明化しました。

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☆大本 ヒトES細胞作製 文科相へ不承認要望
11月16日、大本(島本邦彦本部長)は、京都大学再生医科学研究所の「ヒト幹細胞に関する倫理委員会」が、同研究所による「ヒトES細胞作製計画」をこのほど承認したことに対し、文部科学大臣へ同計画を承認しないよう求める「要望書」を提出した。


☆信者6人死亡で「祈祷師」に死刑求刑
11月16日、福島県須賀川市の祈祷師、江藤幸子被告宅で信者6人の遺体が見つかった事件(1995年7月)で、殺人・傷害致死罪等に問われた江藤被告ら4被告に対する論告求刑公判が福島地裁で開かれ、検察側は「自己の神格的立場を守るために集団的リンチを行ったもので、残酷極まりない」と、"神示"として、暴行を指示した江藤"教祖"に死刑を求刑した。


☆イスラム諸国がラマダン入り
11月16日、イスラム諸国のほぼ全域がラマダン(断食月)入りした。アフガニスタンでアメリカに操られた「反タリバン連合(北部同盟)」がタリバン支配地域へ進攻し、米軍の攻撃が続く戦時下のラマダンとなる。イスラム教徒が最も宗教心を高揚させる時期で、アフガン市民への支援活動が活発化すると同時に、世界各地で反米の自爆テロが予想される。


☆全米カトリック司教会議がアフガン攻撃を支持
11月16日、全米カトリック司教会議は、バチカンが反対しているにもかかわらず、その年次総会で、米軍によるアフガニスタン攻撃を「国家や国際社会は軍事力を行使する権利と義務がある」と支持する声明を167対4の圧倒的多数で採択した。非暴力だけでは今回のテロに対応できないことを確認した。


☆大安寺貫主河野清晃師 遷化
11月16日、「がん封じの寺」で知られる南都七大寺のひとつ大安寺の河野清晃貫主(96)が老衰のため奈良市の病院で死去した。1917年、高野山総持院で得度後、空海も若い頃に修行した大安寺の貫主を1940年から務め、衰退していた同寺の復興に努めた。日独のの文化交流にも大きな功績を挙げた。


☆国際宗教研とRIRCが「イスラム原理主義」でシンポ
11月17日、(財)国際宗教研究所と宗教情報リサーチセンター(RIRC)共催のシンポジウム『「イスラム原理主義」とその背景』が、国学院大学百年記念館(東京都渋谷区)で開催された。米同時多発テロで注目されている「イスラム原理主義」であるが、一般的に報道されているものには誤りや理解不足の情報が多く、今回のシンポはその正しい理解のために開かれた。臼杵陽国立民族学博物館助教授は、「原理主義」という言葉でイスラム教を理解することは誤解を生じると指摘した。


☆ローマ教皇が宗教者平和会議開催を呼びかけ

11月18日、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世は世界各国の宗教指導者に対し、平和と武力紛争の克服を祈るための会議を来年1月24日にイタリアのアッシジで開くことを呼びかけた。


☆「悪だ」発言に対し、イスラム側がグラハム師に抗議
11月19日、イスラム教推進組織「アメリカ・イスラム関係評議会」が、米国の著名なテレビ伝道師のフランクリン・グラハム師(ブッシュ大統領の就任式で「説教」をした。同師の父親のビリー・グラハムは「大統領の牧師」としても著名で、過去数代の大統領に「説教」をした)が、同時テロ事件のテレビ・インタビューで「イスラム教は悪だ」と発言したことについて議論を求める書簡を送ったと語った。議論には同評議会のニハド・アワド代表とイスラム教学者が参加したいとしている。


☆広島の「えびす講」大きな混乱なく終わる
11月20日、広島三大祭りのひとつ胡神社(広島市中区)の「胡子大祭(えびす講)」は、懸念された「暴走族騒動」などの大きな混乱はなく、3日間の祭りを終えた。期間中の参拝客は例年40万人程度だったが、暴走族と警察が衝突した一昨年の事件のあおりで、30万人に落ち込んだ。「これでは、商売繁盛どころではない」と同神社関係者はぼやいている。


☆NYの「感謝祭」パレード盛り上がる
11月22日、世界貿易センタービルを襲った9月11日の同時テロで多数の犠牲者を出したニューヨークの中心街で、第75回「感謝祭」パレードが行われ、消防隊員の作業着を飾った消防隊の山車や、愛国歌を歌う警官などが大声援で迎えられた。同時多発テロ、炭疽菌事件、アメリカン航空機墜落事故と惨事が続いたニューヨークの重苦しいムードを吹き飛ばそうと、人々で賑わった。


☆教皇が電子メールで不祥事を謝罪
11月22日、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世が、初めて、電子メイルを自ら使ってカトリック教会内の性的不祥事(ボストンにおける事件)などを報告。教皇の立場から、謝罪のメッセージを世界各地の関係者にあてて発信した。注目される記事としては、過去において、オーストラリアの先住民アボリジニに対する宗教強要による「文化侵略」を行ったことなどについても謝罪した。


☆豊川稲荷で五穀豊穣を祝う「提灯祭」
11月22日、愛知県豊川市の豊川稲荷(妙厳寺)で秋の大祭が始まった。五穀豊穣(「稲荷」は稲の神)を祝う祭で、境内に多数の提灯が飾られることから別名「ちょうちん祭」とも呼ばれている。23日には、御輿渡御(みこしとぎょ)が行われる。


☆オウム真理教 ロシア再進出の動き
11月23日、「オウム真理教(アレフに改称)は今月に入り、信者4人をロシアに派遣し、拠点づくりの準備を進めている」と公安当局が発表した。市場経済化の後、先進各国のカルト教団の「草刈り場」となっているロシアは、同教団の最大海外拠点だったこともあり、現在も数百人の信者がいるとされる。


☆著名なロシア人仏教研究家が死去
11月25日、ロシア人の日本仏教研究者として著名なアレクサンドル・イグナトビッチ氏(54)歳が、モスクワ市内の病院で脳内出血のため死去した。同氏は、独学で日本語を学び、モスクワ大学では日本宗教・思想を専攻。「法華経は近代日本社会に大きな影響力を持った」との認識から、旧ソ連崩壊後の1991年、法華経のロシア語翻訳を開始、約7年かけて全訳した。


☆ビンラディン、ローマ教皇の暗殺を指令?
11月25日付の英大衆紙『News of the World』は、ウサマ・ビンラディン氏がローマ教皇を「十字軍の象徴的な最高責任者」として暗殺対象リストのトップに指定し、テロ計画を進めていると報じた。


☆清水寺で「オペラ座の怪人」
11月26日、劇団四季のミュージカル『オペラ座の怪人』の出演者8人が、清水寺を訪れ、国宝の「舞台」上で、4曲を奉納した。来年1月から始まる京都公演の成功を祈って参拝したもの。


☆ライフスペース事件"グル高橋"被告が無罪主張
11月27日、千葉県成田市のホテルで自己啓発セミナー開催団体「ライフスペース」のメンバー小林晨一氏がミイラ化した遺体で見つかった事件(99年11月)で、殺人罪に問われた同団体元代表高橋弘二被告(63)の公判が、千葉地裁(小池洋吉裁判長)で結審した。弁護側は最終弁論で「殺人罪の要件を満たしていない」と無罪を主張。検察側は懲役15年を求刑している。判決は来年2月5日の予定。


☆ダライ・ラマ「中国政府との合意あり得る」と発言
11月27日、ポルトガルを訪問中のチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世は、チベット問題について、中国政府が反発を示した「同師が中国によるチベット統治を終わらせるために運動している」という批判に反論し、「もちろんチベットは困難な時代を通過しつつある。しかし、チベット問題は正義とモラルの問題だと考えており、中華人民共和国からの政治的独立や離脱を求めているわけではない」と述べ、「中国政府との合意は最終的にはあり得る」との考えを明らかにした。


☆両陛下 伊勢神宮をご参拝
11月28日、三重県をご訪問中の天皇・皇后両陛下は、伊勢市の神宮を、外宮(げくう=豊受大神宮)、内宮(ないくう=皇太神宮)の順で参拝された。両陛下の神宮参拝は94年3月以来。


☆少数派キリスト教徒の安全を
11月29日、世界教会協議会(WCC、本部ジュネーブ)のゲオルギス・レモプウロス総幹事代行は、パキスタンのムシャラフ大統領に書簡を送り、同国東部バハワルプールの聖ドミニコ・カトリック教会で28日に起きた銃撃事件でキリスト教徒が17人死去したことを深く遺憾とし、同国において「宗教的な不寛容が強まっている現在、少数派キリスト教徒の安全保障」に懸念を表明した。

☆宗教界のアフガン難民支援本格化
首都カブールが、アメリカ軍の圧倒的な支援攻撃によって反タリバン勢力の北部同盟側の手に陥ち、戦争後の新たな国家作りが急速に進展を見せているアフガニスタン状勢に対し、日本の宗教団体やNGOが難民支援に乗り出した。シャンティ国際ボランティア会(SVA、松永然道会長)は、国内避難民への食糧支援や子供の救援などに着手。また世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会は、難民支援の一貫として国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に1,000万円を寄託した。WCRP日本委員会では3年前からアフガン難民支援を行っており、ロチャナンコUNHCR代表から高く評価された。

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