■ 宗教界の動き ■

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9月後半の宗教界の動き (0109S)
世界の耳目を集めた「同時多発テロ」は、宗教界にも大きな影響を与えました。「9.11同時多発テロ」関係は、特集にまとめています。

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☆同時多発テロのあおりで妙智会の国連子ども総会が延期
9月16〜17日に、「国連子ども特別総会」に合わせて、ニューヨークで開催される予定であった妙智会教団の「ありがとう基金」(宮本丈靖総裁)主催による『子どものための宗教者ネットワーク』会議は、11日に勃発した同時多発テロ事件の影響で、開催が延期されることが13日決定した。来年8月までに開催される方向であるが、現状では全く未定である。


☆身延山の岩間日勇法主遷化

9月17日、日蓮宗総本山身延山久遠寺の第90世法主岩間日勇師が老衰のため遷化(逝去)。葬儀の日程は未定。自宅は山梨県身延町3567の身延山久遠寺。


☆善導寺の民谷隆誠法主遷化

9月18日、浄土宗大本山善導寺の民谷隆誠法主が急性心筋梗塞のため、福岡県久留米市内の病院で遷化。密葬は20日、本葬は22日、同市善導寺町の同寺で営まれる。


☆本願寺派 千鳥が淵で全戦没者追悼法要

9月18日、浄土真宗本願寺派(武野以徳総長)は、千鳥が淵戦没者墓苑(東京都千代田区)で、宗門主催の第21回「全戦没者追悼法要」を執り行なった。武野総長は、全国民が追悼と非戦平和への決意のために立ち寄ることのできる国立施設の必要性を改めて強調。また、11日に米国で起きたテロにも言及。犯人に抗議し、犠牲者へ追悼の意を表した。


☆国連事務総長 超宗教の追悼集会に参列

9月18日、ニューヨークのセントラルパーク付近のユダヤ教シナゴーグ「エマニュエル会堂」で行なわれた「ロシュハシャナ(ユダヤ教の新年祭)集会」にコフィ・アナン国連事務総長が参列し、「悪を根絶するために、テロに対する全世界の結束」と同時に「多彩な文化を踏みつけにしないよう」要請した。この集会は、宗教の枠を越えた追悼式典として行なわれ、2,500人以上が参加した。


☆バチカン 米国の「報復」に釘
9月19日、バチカン(ローマ教皇庁)の機関紙『ロッセルバトレ』は、この日付の社説で、ジョージ・W・ブッシュ米国大統領の「報復」の決意表明に対して、「暴力と憎しみの誘惑に負けることなく、正義と平和の業を努めるように」との教皇ヨハネ・パウロ二世の勧めに注意を喚起し、「戦火を開くことは残虐な行為と邪悪な精神を巻き散らすことになる」と、論じている。国際世論的には、米国の言う「報復」には慎重な姿勢を見せるものも多い。


☆犠牲者しのび NYで万燈会
9月19日、世界貿易センタービル崩落など、今回の米国の大惨事の犠牲者のために祈りを捧げる会が、ニューヨークの日米協会で開かれた。事件に友人らが巻き込まれた在留邦人も参加し、讃美歌に続いて、一人ひとりの蝋燭に燈がともされ、静かな祈りに包まれた。


☆宇宙葬ロケット打ち上げ失敗、遺灰はインド洋に
9月21日、「宇宙葬」のために日本人14人を含む約50人分の遺灰を積んだ商業ロケットが、米空軍基地(カリフォルニア州)からの打ち上げに失敗した。遺灰は、同ロケットに積まれていたNASAのオゾン層観測衛星などと共に、インド洋に落下したものと見られている。宇宙葬は、米セレスティス社が募集したもので、1人約100万円の費用で受け付けていた。


☆ヤンキースタジアムで犠牲者追悼集会
9月23日、「同時多発テロという大惨事の犠牲者に祈りを」と、ニューヨーク市主催の追悼集会が、ブッシュ大統領らも臨席して、厳戒体制のヤンキースタジアムで開かれ、各宗教指導者ら約3万人が参列した。


☆報復軍事行動抑制求め 司祭らがデモ
9月24日、ローマに十カ国から百人以上の司祭と修道女が集まり、米国がテロリストに対して軍事力を行使することを控えるよう求めて、米国大使館前でデモ行進した。司祭たちは「暴力の応酬がより多くの害を起こすことになる」と警告した。


☆真宗大谷派 米国へ抗議文
9月26日未明に、米国が「臨界前核実験」を実施したのに対し、真宗大谷派(木越樹宗務総長)は、翌27日、ブッシュ大統領宛の同実験への抗議文を米国大使館(東京・虎ノ門)へ郵送し、遺憾の意を表明すると共に、全ての核実験の中止と核兵器の廃絶を要請した。


☆日宗連 個人情報保護法案セミナー
9月27日、今秋の臨時国会で採決が見込まれている『個人情報の保護に関する法律』では、宗教団体は信教の自由の観点から国の関与からの適用除外団体となっているものの、自主的なガイドライン作成とその内容の公表が求められているため、(財)日本宗教連盟(通称:日宗連、白柳誠一理事長)は、藤原静雄国学院大学法学部教授を講師に招き、東京で同法案の理解と自主ガイドライン作成のためのセミナーを開催した。


☆知恩院吉水講創立50周年
9月28日から10月4日までの1週間、浄土宗総本山知恩院(京都市東山区)では、吉水講(総裁=中村康隆門主)創立50周年を記念して大奉納大会が境内御影堂で執り行なわれた。期間中、各教区から約12,500人の講員が参加した。


☆法華宗本門流 「報恩感謝の集い」開催
9月29日、立教開宗750年を明年に控え、法華宗(本門流・厚井慈鳳宗務総長)は、東京・有楽町の東京国際フォーラムで宗祖日蓮大聖人開宗750年『報恩感謝の集い』を開催。記念法要と信徒で俳優の緒方拳氏による講演などを通じ、次世代への信仰継承が訴えられた。


☆テロを機に、英国で教会出席者増加
英国で教会の礼拝出席者が、米国に対するテロ攻撃の影響を受けて、増加している。3年前にダイアナ妃の事故死の時も同様の傾向を示したが、今回の方が数は多い。


☆マホメット冒涜で死刑も
パキスタンの「冒涜法」は、「神聖な予言者(マホメット)の名を汚す者は死刑」と定めているが、それを非イスラム教徒や良心的ジャーナリストに適応する動きが強まっている。あるキリスト教徒に対する冒涜罪での告発を無罪にした高裁の判事が殺害されているため、判事や裁判官でさえ危険を感じているという。