■ 宗教界の動き ■


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12月前半の宗教界の動き (9912F)
世紀末の世相を反映した半月間でした。

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☆日基教団有志、京都仏教会と連携

 日本基督教団の近畿地区牧師有志と京都仏教会は、改正宗教法人法の問題点や書類提出拒否運動に関して連携を深めていくことを決めた。2000年3月をめどに開催する勉強会には、書類提出拒否を続けているPL教団や善隣教などにも参加を呼びかけていく予定。


☆年内に明覚寺に解散請求か?

 文化庁宗務課宗教法人室は、名古屋地裁から7月に詐欺罪の有罪判決を受けた単立宗教法人の「明覚寺」に対し、「オウム真理教」に続いて、「宗教法人解散請求」を行なう方針を固めた。明覚寺は高野山に土地を取得し、高野山の名前を悪用して霊視商法を展開していた。文化庁宗教法人室は、詐欺容疑で家宅捜索された「法の華三法行」についても「捜査の行方を見守って」いく方針。


☆「祇園さん」でパソコンのお守り

「祇園祭」で有名な京都市の八坂神社(真弓常忠宮司)ではCD-ROMのお守り、「パソコン祇園守2000・平成12年度版」を販売している。ウィルスを防ぐソフトは入っていないが、祝詞や八坂皇大神が表示される。「祇園祭」はそもそも疫病除けの祭であったことから、「コンピュータウイルスにもご利益がある」ということらしい。


☆天台宗一斉托鉢

12月1日、天台宗(藤光賢宗務総長)恒例の「全国一斉托鉢」が全国60ヶ所の街頭などで行なわれた。総本山延暦寺のお膝元、大津市では渡邊惠進座主が先頭に立ち、半日で66万円の浄財が寄せられた。同宗の「一隅を照らす運動」総本部からの拠出金とあわせて、トルコ・台湾の震災地域で役立てるためNHKに寄託された。


☆日光の社寺、世界遺産に

 12月1日、モロッコのマラケシュで開かれていたユネスコの第23回世界遺産委員会において、東照宮や輪王寺など日光の社寺が世界遺産に登録されることが決定した。


☆世界連邦日本宗教委員会

 12月2日、世界連邦日本宗教委員会(池田瑩輝委員長)が開催され、「環境倫理と生命倫理」について考察した。各講師が自らの体験に基づいて講演を行ない、「さらなる平和への祈りを込めて新世紀を担おう」と呼びかけた。


☆本願寺派、台湾で心のケア

12月6日から、浄土真宗本願寺派(豊原大成宗務総長)では社会福祉関係者やボランティア等を台湾に派遣し、大地震被災者の心のケアに取組んでいる。


☆カザフスタン共和国大統領夫人、霊友会訪問

 12月7日、来日中のカザフスタン共和国大統領の夫人や政府高官らが霊友会本部(濱口会長派)を訪れ、井上太郎総務理事らと懇談した。夫人は「ロシア・ボルシェビキ革命で失った宗教などの精神的支柱の再建の参考にしたい」と述べた。


☆千本釈迦堂で大根炊き

 12月7・8日、京都の千本釈迦堂大報恩寺では、京都の冬の風物詩ともなっている大根だき法要が営まれた。鎌倉時代から伝わる、疫病退散を祈願するもの。


☆ロンドン大学で「死」について国際学会

 12月7〜9日、ロンドン大学のSOAS(東洋アフリカ研究学院)に日本宗教研究所が開設されるのを記念して、『現代日本における死・来世・異界の問題』と題する国際学会が開催され、世界各国の日本宗教文化研究者23名がそれぞれの研究発表やディスカッションを行った。日本からは、薗田稔京都大学教授・新田光子龍谷大学助教授・三宅善信レルネット代表の3氏が、発表講演を行った。


☆「世界の浄土宗」を目指して

 12月8日、浄土宗水谷幸正新内局の認証式が総本山知恩院で執り行われ、中村康隆門主から新局僚に辞令が渡された。祝辞の中で門主は、「宗祖法然上人の八百年大遠忌に向け、21世紀には念仏の信仰を世界に拡げるように」と述べた。


☆大阪市仏教会で幼児教育の重要性

 12月8日、大阪市仏教会(長井辨朗会長)の主催する「釈尊成道会の夕べ」が約100人が参加して行われ、秋田光茂パドマ幼稚園園長が、幼児教育の重要性などについて講演した。


☆グリーンピース、原生林保護アピール

12月9日、浄土宗総本山知恩院(牧達雄執事長)境内で国際的環境保護団体、グリーンピース・ジャパン(志田早苗事務局長)のメンバーが原生林保護を訴えた。カナダの林業団体が知恩院の伽藍の写真をカナダ材のPRパンフレットに使用しているため、グリーンピース・ジャパンは京都仏教会に原生林保護対策の協力を求めていた。
10日の京都仏教会理事会では、「グリーンピースの活動の根底にある西欧的価値観と仏教の自然観の違いを認識した上で、独自の理念を確立すべき」という意見があがった。


☆故江藤法主の本葬

 12月9日、故江藤澄賢大本山清浄華院法主の表葬が同院で執り行われ、故人の遺業を偲んだ。


☆應典院、都市景観建築賞受賞

12月10日、大阪天王寺区の浄土宗應典院(秋田光彦住職)が「第19回大阪都市景観建築賞」の奨励賞に、寺院建築として始めて選ばれ表彰された。


☆大谷派宝物引渡し

 12月11日、元真宗大谷派法主大谷光暢師(故人)の次男で、本願寺維持財団の大谷暢順理事長が設立した宗教法人「本願寺」が様々な波紋を呼ぶ中、同じく四男の大谷光道大谷家当主が、真宗大谷派を相手取って行っていた親鸞聖人筆の「尊号真像銘文」など330余点の宝物所有権訴訟が、光道師側全面勝訴という結果となり、全品大谷光道当主に引き渡された。平成11年4月の大阪高裁判決で、「宝物のうち約330点を光道当主の所有」としたのに対し、これを不服とする大谷派当局は最高裁に上告していたが、10月に棄却され、今回の引き渡しとなった。


☆同志社大学神学部で「癒し」のシンポ

 12月11日、同志社大学神学部は「若者と『癒し』―家庭と学校のはざまからの叫びに応える―」と題して、傷ついた子供や若者、さらに大人の癒しについて考えるシンポジウムを開催した。


☆熱田神宮で文化講座

 12月11日から、熱田神宮で文化講座が開催される。長崎バイオパークの渋沢寿一取締役がハウステンボスを例に、「エコロジーとエコノミーの共存」について語った。


☆今年の世相漢字「末」

 12月11日、(財)日本漢字能力検定協会が、今年の世相漢字として最も応募の多かった一字、「末」を京都・清水寺の「奥の院」舞台で発表した。その場で森清範貫首が揮毫し、過去5年間の漢字と共に奉納された。


☆誉田玄昭師遷化

 12月11日、天台宗毘沙門堂門跡前門主、誉田玄昭師(84歳)が急性腎不全のため亡くなった。同師は、天台声明の権威として知られ、叡山流詠歌の福聚教会の顧問であり、平成9年には天台宗の経歴法階の首座である探題(天台座主に次ぐ位)に登った。本葬は、1月22日に、渡邊惠進天台座主の導師により、滋賀院門跡で行われる。


☆最上稲荷でお火たき大祭

 12月11・12日、岡山市高松稲荷総本山で、一年間の無事を感謝する「お火たき大祭」が執り行われる。同大祭では、2日間で約20万体の神札や護摩木が焚き上げられる。


☆総本山智積院、宮坂化主晋山

 12月14日、真言宗智山派管長・総本山智積院第68世化主に就任した宮坂宥勝大僧正の晋山式が執り行われた。各宗、各派から約600人が参列し、慶事を祝った。


☆全国で寒行托鉢

 12月14日、高野山真言宗青年会は寒行托鉢を全国一斉に行なった。集められた浄財は日本肢体不自由児協会を通じて障害者福祉向上のために使われる。

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