■ 宗教界の動き ■


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9月前半の宗教界の動き (9909F)
宗教界ではこの時期、生命倫理や脳死問題に関する動きが多く見られました。

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☆臓器移植についてHP開設
「生き方を考える会」は、これまでの会合の成果をまとめてホームページを開設した。脳死・臓器移植に関して医学的定義や、仏教会の見解、Q&Aなどを掲載している。同会は平成10年4月、杉谷義純天台宗前宗務総長と福西信孝兵庫県立西宮病院・腎移植センター部長が呼びかけ人となって設立。宗教界・医学界から有志が集まり、生死の問題について議論を深めている。ホームページアドレスは、http://www.think-life.gr.jp/
◆脳死臓器移植に対する主な教団の対応◆ http://www.relnet.co.jp/relnet/brief/r21.htm


☆天理「憩いの家」、臓器提供施設指定の受入れ
天理教を母体とする「憩いの家」は、厚生省からの臓器提供施設(脳死判定が可能な医療施設)の指定の受入れを承認した。脳死・臓器移植に関して天理教としての統一見解は出されていないが、「憩いの家」の今村俊三事務局長は「施設提供などの世話取り」をしてゆき、この問題に関しては「慎重に協議を重ねていくべき」と述べている。
◆脳死臓器移植に対する主な教団の対応◆ http://www.relnet.co.jp/relnet/brief/r21.htm


☆生命倫理の講義録編纂(高野山大学)

高野山大学(東智學学長)の生命倫理研究会は、平成10年度の20回にわたる生命倫理講座の講義録を編纂した。講座の統一テーマは、前期が「現代における生命と環境」、後期は「文学と宗教にみられる生と死」。
◆脳死臓器移植に対する主な教団の対応◆ http://www.relnet.co.jp/relnet/brief/r21.htm


☆「医の倫理委員会」発足(天理教)
天理よろず相談所「憩いの家」(畑林清次理事長)は、20人から成る倫理委員会を発足させた。当所の医療研究や医学研究が医の倫理に関するヘルシンキ宣言や当所の趣旨に沿うかを審議することが目的。
◆脳死臓器移植に対する主な教団の対応◆ http://www.relnet.co.jp/relnet/brief/r21.htm


☆コソボ難民に救援募金(浄土宗)
浄土宗平和推進協議会(長島善雄理事長)は6月末までに寄せられたコソボ難民への救援金、398万円を東京の国連高等弁務官事務所へ届けたことを宗議会に報告した。


☆米大統領候補、「創造説」教育を容認
8月27日までに時期米大統領選の有力2候補(ブッシュ・テキサス州知事、ゴア副大統領)が「創造説」教育の容認を相次いで表明した。カンザス州教育当局が科学教育課程から進化論の除外を決めたことに対する反応で、「政教分離」を定めた『合衆国憲法』違反の疑いがあるが、世論に大きな影響力を持つ保守派キリスト教団体に配慮したものと思われる。 


☆往生理解を討論(浄土宗)
 9月2・3日、浄土宗・真宗・西山派が「往生浄土の理解」と題して、各派の往生観についてシンポジウムを開催した。


☆全国敬神婦人会 50回記念大会
 9月3日、全国敬神婦人会(東園佐和子会長)主催による天皇陛下御即位10年奉祝・第50回記念大会が大阪市内のホテルで開催された。同会は全国神社の宗敬者夫人・神主夫人が中心となって、物心両面にわたり神社支援を続けている。大会では「国旗・国歌啓蒙運動」・「教育浄化運動」等の推進を決めた。


☆金光教泉尾教会で三宅歳雄教会長葬
9月4日、宗教対話による世界平和運動の先駆者的存在であった金光教泉尾教会の三宅歳雄教会長(享年96)の「教会葬」が行われ、天台宗・浄土真宗本願寺派・立正佼成会・カトリック他多数の宗教界の指導者たちが列席し、信者ら約5,000人が参拝した。詳しい内容は、「三宅歳雄特集」http://www.relnet.co.jp/izuo/brief/oyasensei.htm


☆「道元禅師フォーラム」結成(曹洞宗)
9月4日、曹洞宗大本山永平寺は有識者を中心とする「道元禅師フォーラム」を結成した。記念シンポジウムでは、道元や禅に関して多角的に論じられた。


☆自自公連立に反対表明(日蓮宗)
9月7日、日蓮宗(永井祥文宗務総長)は、小渕恵三自民党総裁に対し、公明党との連立を断念するよう求める要望書を提出した。要望書の中で、「創価学会と同体異名である公明党との連立は政教分離に反する」としている。これまでにも立正佼成会・霊友会・佛所護念会・新宗連などが同じ理由から反対を表明してきたが、伝統仏教教団では初の反対表明となった。


☆書類提出拒否で抗告申立(善隣教)
9月8日、善隣教(力久隆積教主)は、宗教法人法で定められた書類提出の拒否の立場で、福岡高裁に抗告申立。同教団は「書類提出が信教の自由を犯しかねない」として、提出を拒否。更に「過料手続き(提出をしない法人には1万円の過料)」に関しても、違法性を主張して、福岡地裁に上申書及び申述書を提出していた。


☆ユダヤ問題の権威、大本で講演

9月8日、アメリカのユダヤ問題の権威、ミカエル・ライネル博士が大本(出口聖子教主)本部で講演会を行なう。テーマは「ユダヤ教は平和の宗教か」。


☆民主主義教育に危惧
9月9日、京都の車折(くるまざき)神社(高田亘宮司)で「重陽神事(九と九が重なる)」斎行された。神事後、高田宮司は最近の世相について、「戦後民主主義教育を否定するような動きがある」と危惧を示した。


☆財津和夫さん金閣寺でファンと再会
9月9日、歌手の財津和夫さんとファン約1,000人が20年前の約束(1999年9月9日9時9分9秒に再会すること)を果たし、鹿苑寺(有馬住職)で集いを開いた。


☆「死刑制度停止」の呼びかけ(真宗大谷派)
9月11日、真宗大谷派(木越樹宗務総長)は、前日の全国3ヶ所での死刑執行に対して、去年6月に続き2度目となる『停止を求める声明』を発表した。同派浄雲寺住職であり、衆議院議員の左藤恵氏は法務大臣在任中、死刑を執行しなかった。伝統教団では天台宗が今年3月、「死刑制度の廃止」を提言している。


☆豊田貫修新貫首の晋山式(日蓮宗本山本遠寺)
9月11日、日蓮宗本山本遠寺では第60世法燈を継承することになった豊田貫修新貫首の晋山式(しんざんしき=就任式)を執り行った。本遠寺には建立当時(1650年)の貴重な建物や教学資料が格護されている。


☆南半球初の精舎完成(真如苑)
真如苑(伊藤真聰苑主)は南半球初の精舎、真如苑オーストラリアをシドニー市に隣接するレーンコウブ市に建立し、9月11日、落慶入仏開眼法要を行なった。


☆「一日神主さん」実施
9月11・12日、兵庫県神社庁(加藤隆久庁長)は「一日神主さん」の体験イベントを開催する。兵庫県神社庁では若手神職が一般の若者との交流のため、「新世代会議」を開催し、意見発表会等を開いている。


☆大神神社、奉幣祭斎行
日本最古の神社といわれる奈良県の大神(おおみわ)神社で、天皇陛下から幣帛料の御献進を賜わり、9月13日、平成大造営奉幣祭が斎行された。さまざまな神賑行事が行なわれた。


☆御即位10年の奉祝に自自公揃う
9月14日、天皇陛下御即位10年を奉祝する大阪府実行委員会(会長:田代和大阪商工会議所会頭)の結成式が行われ、会長より「皇室の尊厳護持」の決意が述べられた。また、祝辞には自民・公明・自由三党の代表が顔を揃え、御即位10年の奉祝に府民が一丸となって努力することを確認した。


☆ラオス友好訪問団(豊山派)
豊山派の吉田俊誉前管長を総裁とする「ラオス友好訪問団」が、9月上旬、同国を訪問し、ラオス政府・仏教協会の歓迎を受けた。同団は昨年2月の訪問以来、現地に小学校を建設するなどの活動をしてきた。同国ウドム・カティヤ副大統領との会見も非常に友好的な雰囲気で行なわれ、ラオスの新聞でも一面トップで報道された。


☆大谷暢道氏祖廟参詣訴訟(真宗大谷派)
「東本願寺紛争」で宗派から僧籍を剥奪された故大谷光暢法主(門首)の四男大谷暢道氏が宗派を相手取り、大谷祖廟参詣を求めて訴えを起こしていたが、木越樹宗務総長は「祖廟は、その全域が『合祀墓』の性格を有し、宗敬の地である」とし、同氏が「大谷家の墓」としていることに遺憾の意を表した。また、僧籍を有しない同氏の参詣に関しても、認めない態度を示した。


☆紛争地区に文具プレゼント(立正佼成会)
立正佼成会では今年から、「ゆめポッケ・キャンペーン」として、全国から文房具や玩具、メッセージカードを詰めた布製ポッケを募り、紛争地区の子ども達に送っているが、8月末までに総数が69,000個を越えたことが判った。