レルネットの三宅善信代表は、5月20日、(財)日本クリスチャンアカデミー(竹中正夫理事長)の関西セミナーハウス(京都市左京区修学院)で、カリフォルニア州のクレアモント神学大学院のジョン・カブ(John
B. Cobb)教授を講師に招いて開催されたコロキアム『諸宗教の対話――現代世界における宗教の課題――』(協賛:NCC宗教研究所、後援:京都府宗教連盟)に出席した。
今コロキアムの主催者で、当日のモデレータを務めた竹中正夫博士は、三宅代表の同志社大学大学院神学研究科(組織神学専攻)時代の指導教授であるが、同時に、同名誉教授は、三宅代表の1年後輩に当たる外務省の佐藤優元主任分析官の指導教授でもある。
コロキアムの様子。手前左(後ろ姿)が竹中正夫理事長
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この日のコロキアムは、10:30〜17:00という長丁場で合ったにも関わらず、中世→近代→現代にわたる欧米世界の課題について、「キリスト教主義」→「国民主義」→「経済主義」という基本概念を用いて分析し、現代社会の諸問題(特に、貧困と環境の問題)について、宗教者はいかに取り組むべきについて、熱心に議論が進められた。
竹中名誉教授と三宅代表は、昼食を共に摂り、佐藤優氏の学生時代のことや外務省就職に至る経緯などについて回想した。熱心な学生であった佐藤氏は、『マルキシズムにおける科学的無神論とロマディカ(Hromadka)の神学』という問題に高い関心を寄せていた。プラハのJ・ロマディカ(Josef
Hromadka)は、20世紀の前半において、ナチズムや共産主義に対抗した偉大なドイツのプロテスタント神学者K・バルト(Karl
Barth)にも大きな影響を与えた。
当時(1980年代初頭)、最終末期を迎えていた学生運動の最後の指導者のひとりであった佐藤氏は、外務省の採用試験に合格後も、残された学生運動の後輩たちの面倒を見るために、「採用を1年間待ってくれないか?」と外務省と直談判して、これを認めさせたらしい。この時点でも、強者の片鱗が窺える。
この日のコロキアムに参加していた多くの人からは、今回の佐藤優氏の逮捕について、「惜しいことをした(外務省は惜しい人材を失ったの意)」との声が聞かれた。