パンストからハンストへ!


02年06月20日


  6 月9日から18日までの日程で、ケニアで開催された「エイズ」関係の国際会議出席していた(「ソンド・ミリウダム建設疑惑」で話題になった駐ナイロビ日本大使館も訪問した)レルネットの三宅善信代表は、22日から29日までの日程でインドネシアで開催される宗教者による紛争解決のための国際会議に出張するまでのわずかな期間を利用して、一時帰国し、執筆中の諸文章の仕上げを行っていたが、この時(6月19日夜)、思いがけないニュースが飛び込んできた。

  そのニュースとは、「鈴木宗男議員逮捕に抗議して、佐藤優前主任分析官がハンガーストライキに」というものであった。報道によると、佐藤氏(被告)は、弁護人を通じ「鈴木宗男衆院議員の逮捕に抗議し、48時間のハンガーストライキに入る」などとする声明文を出した。声明で佐藤被告は、鈴木議員、東郷和彦・元欧亜局長とともに「歴代官邸の指示と、時の国策に基づく、日露平和条約の早期締結にむけ全力を尽くしてきた」としたうえで、「現在、新たな国策に基づき葬り去られようとしている」と分析。「その背後にある政治的動機を正確にとらえて下さい」と訴えている(6月19日毎日新聞)。

  このニュースを聞いて三宅善信代表は、佐藤優氏が「いよいよ本領を発揮しだした」と述べた。というのも、佐藤氏は、同志社大学神学部時代は、左翼クリスチャンとして、反国家権力志向の学生運動に凝り固まっていたからである。そんな学生時代の佐藤氏を知る三宅代表からみると、「(外務官僚という)国家権力の手先に成り下がって」(註:数年前に京都市内で行われた佐藤氏の指導教授であった竹中正夫博士(現財団法人日本クリスチャンアカデミー理事長)の退官記念パーティで、外務省主任分析官に就任したばかりの佐藤氏自身のスピーチ)しまった佐藤氏自身の姿のほうが極めて不自然であったからである。

  佐藤氏は、学生時代、朴正煕(パク・チョンヒ)政権下の韓国で民主化運動を支援しようとして、泣く子も黙るKCIA(韓国国家安全企画部=金大中氏を日本から拉致したことでも有名)に拘束されたり、当時制定されたばかりの200カイリ排他的経済水域問題で、ソ連の沿岸警備隊に拿捕された漁民を助け出すために、日本製女性用下着を武器(註:品質の良い日本製のパンスト等を手みやげにして)にソ連の官憲と直談判しているという噂の絶えなかった佐藤氏が、日本の検察当局に身柄を拘束されたぐらいではへこたれるはずはない。

  しかも、今回の闘争手段は、「政府の政策変更によって、過去の政策が方向転換されたら、自動的に過去の政策の立案・推進に当たってきた官僚は処罰されることになるのなら、官僚は安心して仕事ができないではないか?(官僚は、その政策の立案や執行に対して、個人としては責任を負う必要がない)」という、すべての官僚が待ち望んでいるような方法論を主張することによって、薬害問題に対する厚生労働省や必要のない干拓事業の継続やBSE問題の失政で揺れる農水省など、外務省だけでなく、全官僚の死活問題に関わる問題を提起することによって、霞ヶ関全体(当然、検察官や判事も官僚の一機関である)を巻き込んだ議論に持ち込んで、自らに優位に公判を進めようとする意図が現れている。

  厚生年金法案・有事法案・郵政公社化法案・個人情報保護法案など、重要法案が目白押しの今国会の大幅な会期延長と、それに伴う鈴木宗男議員の逮捕許諾請求→逮捕(6月19日)と、具体的な政治スケジュールが進行する中で、「ハンスト」というマスコミへのアピール度の高い戦術(三宅代表は、「ハンストする連中はインチキ臭い」とかねて主張しているが、どういう訳か、この国のマスコミはハンストという抗議手段が好きである)を使って、絶妙のタイミングで仕掛けられた爆弾が、どのような破壊効果をもたらすかが見物である。学生時代には「パンスト」でソ連官憲を凹ました佐藤優氏が、国家公務員となった今度は「ハンスト」で検察(マスコミの世論誘導)を凹ますことができるか興味が尽きない。


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