「大魔神・ウルトラマン・仮面ライダーにおける「カミ」の三変態」

「大魔神・ウルトラマン・仮面ライダーにおける「カミ」の三変態」

萬遜樹　E-mail:mansonge@geocities.co.jp

三宅主幹のおっしゃる通り、ウルトラマンには日本人の深層信仰が隠されていると私も思います。今日は、主幹とは少し違った角度からウルトラマン、それに大魔神と仮面ライダーについて述べてみたいと思います。　

私に言わせれば、ウルトラマンも大魔神も仮面ライダーも「カミ」である。カミとは日本人が特別な存在とみなすものを指します。カミにはいろいろなものがあります。特定の山、特定の川、特定の石、特定の木、特定の気象現象（雷など）、特定の天体（北斗七星など）、特定の作物（稲など）、特定の動物（蛇など）、特定の人物（聖徳太子、菅原道真など）、神（天照大神など）、仏（阿弥陀仏など）、などなど。　

特定のものにではなくすべてのものにカミが宿ると考えますと、アニミズムになります。（以下「カミ」は「神」と書きます）　さて、大魔神・ウルトラマン・仮面ライダーには、日本人の神観タイプの三階梯が表現されているように思います。順に説明しましょう。

まず、大魔神。神は何もないときは和霊（にぎたま）の姿である。はにわの顔で表現されている。そして怒りとともに神は荒魂（あらたま）に変身して動き出す。悪党に近づいていく足音がものすごい。一歩一歩、地響きを轟かせながら歩く。これは雷（神鳴り）です。

悪者たちの退治が終わったあとに注目。神は荒魂から和霊にもどり、光の玉（魂）となって大空へ飛び去っていく。はにわにもどった神の抜け殻はただの土くれとなり崩れ落ちる。

つまり大魔神という神は、はにわの武人像ではないのですね。飛び去った魂なのです。神は武人像を依り代として舞い下り、荒魂状態で何かをなし、去っていくのです。この大魔神段階では、神と人とは明らかに別ものですね。だれかの人の魂が大魔神という神になったという感じはない。

次にウルトラマン。これは神人の段階ですね。人（ハヤタ）の身体に神（ウルトラマン）の生命（魂）が入っている。神が人になったと考えれば、キリスト状態です。ストーリーにしたがえばこうですが、違った解釈をしてみます。

まず、ウルトラマン、つまり神の魂は平時は地球外にいると考えます。すると、ウルトラマンになる地球人ハヤタは神の依り代ということになります。特定の神に対する特定の依り代ですね。降臨する神に指し示す目じるし（幣束としてのフラッシュビーム）も決まっています。神を呼ぶ目じるしが高く差し上げられたとき、ウルトラマンの魂は瞬間に宇宙の彼方から降臨するのです。神は呼ばれるまで地球にはいません。来訪神なのです。ウルトラマンが来訪神であることは、制限時間があり、最後は宇宙に飛び去ることからもわかります。神は帰らねばならないのです。

ウルトラマン段階では、神と人とは微妙な関係です。神の依り代になった人は少しの間、神になることができるのです。人はある条件下、神になることができる。

さて、仮面ライダーです。仮面ライダーも神とみることができます。仮面ライダーは改造人間です。人間と何か超人的なもの（これが神の正体）との合体です。それでもモード転換は欠かせません。非常時なると、平常時の人から身体的操作を行なって、神に変身します。文字通り、神が身体に仕組まれているわけです。

大魔神やウルトラマンでの段階のように、神は遠くからやってきません。神は人の内にいます。神人一如、即身成仏です。帰らなくてもよいから、制限時間もなしです。　

思うに、この仮面ライダー段階が日本の神人関係を低くした。「神になること」を安易なものにした。超能力ブームやオウム真理教はここにつながっていると思われるのです

ページへ！ご意見・ご感想をお聞かせ下さい。

RELNET
customer@relnet.co.jp