「大阪都構想」を撃破

2020年11月01日

2020年11月1日深夜、10年間にわたって大阪市の世論を二分してきた「政令指定都市である大阪市を廃止して、特別区を設置する案(いわゆる「大阪都構想」案)」に止めが刺された。大阪維新の会の主張では「大阪の発展を阻害してきたのは、大阪府と大阪市の二重行政による非効率が原因であり、これを東京都のようにすれば発展できる」というものであった。間接民主制を取る日本では、直接民主制的な手法である住民投票が実施されること自体稀なことであるが、それが人口275万人の巨大都市において、2015年と2020年と二度も実施され、2015年次には、49.6%対50.4%というごく僅差で否決されたのに続いて、今回も49.4%対50.6%というごく僅差で否決された。しかも、世論調査によると、投票日の40日前には賛否の差は15ポイントほど賛成派が上回っており、1週間前の時点ですら5.7ポイント賛成派が上回っていた。それが、投票日の前日に賛否の支持率が逆転したのだ。まさに「勝負は下駄を履くまで判らない」という諺通りである。

僅差で否決された「大阪都構想」
僅差で否決された「大阪都構想」

24区の区ごとの賛否の分布は、5年前と今回とほとんど同じである。アメリカの大統領選挙ですら、「5つほどあるスイング・ステートの勝敗が帰趨を制する」と言われているが、大阪における根深い「南北格差対立」を可視化させてしまった点でも、住民投票という民意確認の方法には罪深いものがある。唯一良かった点と言えば、コロナ禍で三密を避けねばならないにもかかわらず、140万票近い手書きの投票用紙の集計を手作業で行ったにもかかわらず、わずか2時間半ほどしか必要としなかったという日本人公務員の桁外れの事務処理能力を確認することができたことである。これがアメリカだと投票用紙の集計すらできない公務員がたくさんいるのだろうから…。

大阪市における「南北格差」が固定化された
大阪市における「南北格差」が固定化された

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