2022年11月2日
インドネシアのバリ島で開催されるG20首脳会議に先立ち、2022年11月2・3日にはバリ島で、4~6日はジャワ島の古都ジョグジャカルタで、G20国際宗教指導者サミット(略称R20)が開催され、約120人の宗教指導者が一堂に会した。これまで、類似の諸宗教会議が毎年各地で開催されてきたが、今回初めてインドネシア政府が世界ムスリム連盟とナフダトゥル・ウラマ(同国最大のムスリム団体)と共に主催団体に加わり、同国外務省のG20公式ウェブサイト上でも大きく紹介された。
2日の開会式では、ジョコ・ウィドド大統領が祝辞を寄せ、ナフダトゥル・ウラマのキ・ヤヤ・チョリル・スタクフ議長と、世界ムスリム連盟のシェイク・モハンマド・ビン=アブドゥル・カリーム・アル=イーサ事務総長が歓迎の挨拶を述べ、参加者を代表して、ヒンズー教の最高指導者スワミ・スリ・ゴヴィンダ・デヴ・ギリ・マハラジ師が挨拶を行った。
続いて開催された最初の全体会議では、ナイジェリアのヘンリー・ヌドゥクバ英国教会首座主教、ドイツの世界福音教会連合事務総長トーマス・シルマッハー大主教、ハーバード大学法学部のメアリー・アン・グレンドン教授らと共に、日本からただ一人招かれた三宅善信神道国際学会理事長らが基調講演を行った。三宅師は、「日本は長年、G7中唯一の非白人・キリスト教国として、東西の人々を繋ぐ働きを担って来たが、インドネシアは、東西の文明と経済格差のある南北の人々を繋ぐ働きを担っているので、その活躍を期待している」と述べた。
バリ島での二日間は、『グローバルな解決策の源としての宗教を披瀝し育む』をテーマに、それぞれの宗教の観点から宗教者の役割について討議された。その後、会場をジャワ島の古都ジョグジャカルタに移し、今後のR20の課題について検討すると共に、ユネスコ世界遺産にも指定されているヒンズー教遺跡プランバナンや仏教遺跡ボドブドゥールをはじめ、僧院やイスラム系の大学を訪れて、現地の宗教指導者たちとも交流を深めた。現地滞在期間中は常時軍隊によって警護され、国内の移動は全て警察車両の先導で行われるなど、国を挙げての歓迎となった。