2023年9月4日から7日まで、トランシルバニア(ルーマニア西部のハンガリー系住民の多い地域)の都市クルジュナポカで、世界最古の諸宗教対話団体である国際自由宗教連盟(IARF)の第36回世界大会が開催された。
クルジュナポカのユニテリアン大聖堂において開催された開会式には、ローマカトリック教会、ルーマニア正教会、ルター派教会など、この地に主教座を置く6つのキリスト教教派の主教たちをはじめ、イスラム教、ヒンズー教、仏教、ゾロアスター教などの代表が聖壇に登壇した。三宅善信代表が、神道を代表して全員のトップバッターで祈りの言葉を述べた。この集まりには、ルーマニア内務省の宗教担当長官も出席し、祈りの後、IARF会長とホストのユニテリアン主教と長官が挨拶を行った。長官は、その後も、基調講演から開会レセプションまで、数時間にわたって参加して諸宗教人々と意見交換した。
9月5日朝、世界大会の二日目は、「諸宗教の朝の祈り」に続いて、世界大会毎に開催される「総会」が開催された。「総会」はIARFの最高意思決定機関であるが、その役目は、定款の改定と正副会長と国際財務担当理事を含む13名の国際評議員を選出することであり、ここで選出された国際評議員は次の世界大会までの4年間、「総会」に代わる意思決定機関として、年度毎の活動計画の策定や予算・決算の承認等を行う権能を有する。特に今回は、非常に稀なケースであるが、正副会長・財務担当理事の3人の執行役員が同時に退任するので、国際評議員の人選が難航した。
そのような中で、三宅善信代表はIARF国際財務担当理事として、過去5年間の財務報告を行ったが、3年半におよぶCOVID-19のパンデミックの影響で、世界各地で実施される多くの活動が中止され、また、国際評議員会もオンライン会議の形式を取る他なく、激減した収入と支出の環境下で難しい予算管理を実施した旨を報告し、「総会」での承認を得た。また、9月6日に行われた各宗教別の祈りでは、三宅善信代表が神道の祈りを英語で行い、参加者から質問に答えた。また、この世界大会のホストを務めたハンガリー系ユニテリアン教会が隣国ウクライナで継続している支援活動の詳細が報告された。
9月7日には、1970年代から80年代にかけて西ドイツのフランクフルトにあったIARF国際事務局のスタッフとして、その後、現在に至るまでオランダでEME(IARF欧州中東地域)の財務理事として長年にわたって貢献したルーシー・マイヤー女史への特別表彰が行われ、ロバート・インス会長からジョージ・マーシャル会長への会長の引き継ぎが行われて、123年の歴史をほこるIARFの第36回世界大会が閉幕した。