開会式：33カ国から200人以上が参加して大阪で開幕　

06月27日

　6月27日、大阪大学中之島センターにおいて、世界32カ国からの47名の海外代表を含む200名以上の宗教指導者が一堂に会して、「G8宗教指導者サミット」が開幕した。開会式には、出口順得G8宗教指導者サミット会長をはじめ、サムデク・ノロドム・シリブド殿下や橋下徹大阪府知事らが祝辞を述べた。

大阪大学中之島センターで開会式が執り行われた

　　午前10時、G8宗教指導者サミット(以下、「G8RLS」と略す)は大阪が誇る伝統芸能のひとつ四天王寺楽所雅亮会による舞楽『蘭陵王』の上演によって幕を開けた。近未来的なデザインの大阪大学中之島センターの佐治敬三メモリアルホールは、色とりどりの民族衣装や僧衣に身を包んだ宗教指導者の彩りと、千数百年の歴史を有する雅楽の音が渾然とした独特の雰囲気で満たされ、これから始まる三日間の会議の行く先を予感させるものであった。舞楽の演舞が終わると、開会式を行うために舞台転換が行われたが、その時間を利用して司会の宮田修NHKエグゼクティブアナウンサーが、雅楽の歴史や『蘭陵王』のストーリーについて説明した。

舞楽『蘭陵王』が四天王寺楽所雅亮会によって上演された

10:20、G8RLS運営委員長の三宅光雄金光教泉尾教会長による「開会宣言」よってG8宗教指導者サミット2008が開幕した。まず、G8RLS会長の出口順得和宗総本山四天王寺管長が「主催者挨拶」を行った。続いて、地元大阪を代表して、橋下徹大阪府知事が超多忙な公務の合間を縫って「歓迎挨拶」を行った。

三宅光雄G8RLS運営委員長	出口順得G8RLS会長	橋下徹大阪府知事

　さらに、G8RLS名誉顧問でもあるカンボジア王国枢密院議員のサムデク・ノロドム・シリブド殿下が祝辞を述べた。シリブド殿下は本宗教指導者サミットの実行委員のひとりとして準備段階から関わり、「深刻な気象変動の問題をはじめ、燃料と食料価格の高騰がもたらす影響、さらには、ミレニアム開発目標の実現、寛容と多様性の尊重」などの問題について、提言してくださった。続いて、同じく、G8RLS相談役のメアリー・ロビンソン前アイルランド共和国大統領のメッセージを、同じG8RLS相談役のキャサリン・マーシャル世界銀行総裁顧問が代読した。ロビンソン前大統領は、大統領の任期を縮めてまで国連人権高等弁務官に就任されたほどの人権問題へのコミットメントが強く、「ユニバーサル・レスポンシビリティ(普遍的責任)」という概念をこのG8宗教指導者サミットに反映させることに腐心された。

S・N・シリブド殿下	K・マーシャル 世界銀行総裁顧問

　　続いて、世界中に12億人の信徒を擁する世界最大の宗教であるローマ・カトリック教会の宗教対話担当最高責任者であるバチカン諸宗教対話評議会議長のジャン＝ルイ・トゥーラン枢機卿のメッセージをカトリック長崎教区の高見三明大司教が代読した。このメッセージは、公式外交ルートを通じて法王庁大使館のボッタリーニ駐日特命全権大使から届けられたものである。さらに、イスラム教世界の法学最高権威のアズハル大学を擁するエジプトのグランド・ムフティ(イスラム教最高権威)のアリ・ゴマ師からのメッセージを同師の特別顧問イブラヒム・ネグム博士が代読した。アリ・ゴマ師は、イスラムの観点から「あらゆる形態の生命の保護」について強調した。

高見三明長崎大司教	I・ネグム・エジプト 宗教最高指導者顧問

さらに、この同じ時間帯に京都で開催されているG8外相会合の議長を務めている高村正彦外務大臣に代わって、外務大臣政務官の中山泰秀衆議院議員が流暢な英語でスピーチを行った。また、サウジアラビアのイスラム(宗教)省のアブドル・アルッヒーダン次官補が、最近、サウジアラビアのアブドラ国王のイニシアチブによって始められた諸宗教対話に関する会議について報告され、参画した各国からの宗教指導者たちの注目を集め、開会式を終了した。

中山泰秀外務大臣政務官	A・アルッヒーダン・ サウジアラビア 宗教省次官補