< 2009年度下期活動報告 >

  
会長ごあいさつ
防府市の土石流救援活動を支援
IARF世界大会の開催に向けて
ニッポン・コリア慰霊
チベット民族抵抗の歴史を学ぶ
大阪希望館設立を支援
国連で宗教・民族対話を進める
第29回 チャリティーバザー開催
〜すべての子供たちの笑顔のために〜
ローマでG8宗教指導者サミット
継続委員会に
会長ニューヨークでWFM役員会に出席
大阪で頑張るパピーニさん
人類共栄会年次総会を開催
比叡山でトゥーラン枢機卿と
ダライ・ラマ法王の妹と意見交換
AYC創立25周年記念総会に
青年を派遣
2009年度上期活動報告



あなたも人類共栄会の会員に

世界各国に支援と救済の輪を広げる人類共栄会に、あなたも参加しませんか。年会費は、一般会員が1口3,000円、賛助会員が1口3万円です。会員のみなさんには、会費や寄付金が有効に利用されていることをご理解戴くために、年次報告書をお送りいたします。

集まったお金は世界各地の
救済・援助の費用として
役立てています。

たとえば・・・



あなたのご参加を
お待ちしております。
人類共栄会事務局まで
〒551-0001 
大阪市大正区三軒家西3-8-21

Tel.06-6551-0049
Fax.06-6553-7073
www.relnet.co.jp/jinrui

  会長ごあいさつ

 2009年は、日米両国で政権交代がありました。アメリカでは、ブッシュ共和党政権が始めたアフガン戦争とイラク戦争の幕引きがオバマ大統領に託され、日本では、長年続いた自民党政権が二年連続の政権投げ出しによって、ほとんど自滅に近い形で民主党鳩山政権が成立しました。もちろん、両政権にとって当面の課題は、昨年秋のリーマンショック以来の経済不況からの脱却であります。
 
  しかし、ことはそれほど単純ではありません。ブッシュ・小泉時代に推し進められた「新自由主義経済」の歪みは大きく、先進国内における「格差」の拡大と、新たな「貧困層」を創り出してしまったからであります。

 これまでのように、国家が積極的に財政出動を行って景気を刺激すれば、それで事足りるという訳にはいかなくなりました。何故なら、現状のままでは、たとえ多額の財政出動を行っても、「所得の再配分」が適正になされないからであります。

 「貨幣」というものが発明されて以来、「富の偏在」つまり、ごく一握りの王侯貴族が社会資本のほとんどを独占し、大多数の庶民は無産階級であったという時代が長く続きましたが、近代市民社会の成立によって、累進税が導入され、「所得の再配分」が制度的に行われた結果、社会はそれ以前と比べて、はるかに安全な住みよい社会となりました。まさに、「衣食足って礼節を知る」であります。

 ところが、新自由主義経済以後の格差の再拡大と、金融恐慌による雇用の不安定化によって生じた「ワーキングプア」の問題は、場合によっては、働かずに生活保護を受けている人のほうが、必死に働いている人よりも収入が多くなってしまうことによって、「額に汗水して働くことがアホらしい」というモラルハザードを引き起こし ています。

 世界中の人々の共存共栄を願う人類共栄会では、世界的なレベルでの「富の再配分」を進め、そのことによって、  より安全な社会をもたらすことを願っていますので、会員の皆さんも是非、ご協力下さい。


  防府市の土石流救援活動を支援


 7月21日、記録的な集中豪雨によって発生した山口県防府市の土石流は、死者・行方不明17名の大惨事となった。中でも、土石流の直撃を受けた特別養護老人ホーム「ライフケア高砂」では、入居中の高齢者が大勢犠牲になったが、この救援活動に参加した日本レスキュー協会を支援するために、人類共栄会では即日、義捐金十万円を寄託した。

 日本レスキュー協会は、地震・地滑り・土石流等の災害発生時に、生き埋めになっている人の人命救助や遺体の捜索を行う民間のNPO法人で、年に二・三回発生するかしないかのこのような自然災害時にも迅速に対応できるようにするため、常日頃からレスキュー犬の訓練を行っている団体である。

 無責任な飼い主によって捨てられた犬(そのままでは、保健所によって「殺処分」される運命)を保護して、レスキュー犬もしくはセラピー犬として訓練することによって、新たないのちを与えている日本レスキュー協会の活動を支えていくためには、多くの理解と支援が必要であるが、人類共栄会では、折に触れ、義捐金という形で、日本レスキュー協会への財政的支援を行ってきた。


  IARF世界大会の開催に向けて


 2月17日から19日の三日間、第33回IARF世界大会の現地準備会議がインド南西端のケララ州のコーチで開催され、日本から、いずれも国際評議員である三輪隆裕日吉神社宮司、山本行恭椿大神社宮司、三宅善信人類共栄会理事など、IARF加盟団体の代表9名が参加し、現地の諸宗教指導者たちと意見を交換し、2010年9月に同地で開催される予定の第33回世界大会の会場予定施設の視察等を行った。


現地のカレッジでスピーチを行う三宅善信理事

 日本からの一行は、インド各地から集まったIARFインド支部の有力メンバー9人と合流して、17日には、エルナクラム大司教区長のV・ヴィチャヤチル枢機卿を表敬訪問した。枢機卿は、五百年間におよぶケララ州におけるカトリック教会の歴史を述べた。その後、世界大会会場予定地のパレカッチ枢機卿記念人生再生センターを視察に訪れ、所長から各施設の案内を受けた。同センターは、1,200名収容できる大ホールをはじめ、大小の会議室や教室を有し、男子寮・女子寮合わせて350名以上が宿泊できる設備や同時に200人が食事をすることができる設備が整っている。また、コーチ市のラーマ・クリシュナ教団も表敬訪問した。

 19日は、IARFがオランダ政府か らの助成金をもらって実施してきた『HRE(人権教育)』プロジェクトの実施状況視察として、コーチ市から100kmほど南下した英国国教会系のピート記念カレッジやビショップ・ムーア・カッレジを訪問して、学長やプログラムオフィサーと意見交換をし、学生たちから直接意見を聴取したりした。


  ニッポン・コリア慰霊


 5月17日、和宗総本山四天王寺で、「NPO法人ニッポン・コリア友好平和協議会」主催による植民地政策殉難者慰霊大祭ならびに講演会が二百数十名の参列者が一堂に会して開催され、在日の韓国民団、朝鮮総連の代表はもとより、韓国からはカン・クムシル(康錦実)元法務部長官をはじめ多数が来日した。

 人類共栄会からは、三宅善信理事が参列して、鎮霊詞を奏上した。本会の創立者である故三宅歳雄師は、1960年代から日韓間の和解に尽力してきたことで知られている。日韓宗教者協議会の会長や大阪日韓親善協会の理事を長年務めた。


  チベット民族抵抗の歴史を学ぶ


 2月10日、わが国の諸宗教対話協力団体として最も古い歴史を有する国際宗教同志会の平成21年度総会が、京都市山科区の一燈園を会場に開催され、百名を超す参加者が集った。

 中国人民解放軍の侵攻を避けてチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が、ヒマラヤを越えてインドへ亡命するため密かにポタラ宮殿を脱出した1959年3月10日の50周年記念日まであと1カ月と迫ったこの日、チベット亡命政府のダライ・ラマ法王日本代表部事務所のラクパ・ツォコ代表を講師に招いて『チベットの現状と特別会議について』と題する記念講演を行い、同じ仏教国であるにもかかわらず、欧米各国と比べてもまだまだ馴染みの薄い日本人のチベットの歴史に関する学習会を行った。

 ツォコ氏は、チベット民族が7世紀に建てた吐蕃王国と大唐帝国以来の歴代中華諸王朝との関係から紐解き、特に、中華人民共和国成立直後からの共産党政権が如何にチベット人を抑圧してきたか。さらには、中国が「西蔵(チベット)自治区」と呼ぶ地域は、本来の「チベット」の版図の西半分(チベット名「ウ・ツァン」)に過ぎず、現在は、中華人民共和国の青海省・四川省・甘粛省・雲南省等に編入されている東半分の地域(チベット名は「アムド」と「カム」)も「チベット」であるという観点から、本来のチベット三地区に住むチベット人と、インドやネパール、ブータンで亡命生活を送るチベット人たちの民族としての統一性について意見を表明し、参加者と意見交換を行った。


  大阪希望館設立を支援

 
  4月8日、大阪府立労働センターで『大阪希望館(住まいをなくした人の再出発支援センター)』設立準備会が開催され、人類共栄会から三宅善信理事が出席した。リーマンショック以来の急激な経済状況の悪化の中で、派遣切りや雇い止め等によって、多くの労働者が職を失うだけでなく、住むところまで奪われる結果となったことは、大きな社会問題と化した。

 全国平均よりも遥かに経済状況の悪い大阪府では、これらの傾向は顕著で、たとえ数日間でもいったんホームレスになってしまえば、精神的な喪失感は大きく立ち直ることが難しくなると言われる。また、「現住所」を失うということは、雇用の機会の喪失や行政サービスの網の目からこぼれるということに繋がるため、「駆け込み寺」的な「避難場所」の設置が望まれる。


  国連で宗教・民族対話を進める


 3月2日から4日まで、ニューヨーク市郊外のメリノール修道会本部において、2011年から始まる国連「平和のための諸宗教間と諸文化間の対話と相互理解と協力の十年の準備会議が開催され、諸宗教対話団体や国連関係団体の代表四十数名が一堂に会し、人類共栄会からは三宅善信理事が出席した。

 そこで、2011年から2020年までの十年間、「国連宗教対話と理解の十年」を実施することになったが、これを受けて、国連経済社会理事会に総合諮問資格を有する国際NGOを中心に、この意味ある十年間を国益のぶつかり合いの場である政府間のパワーゲームにすることなく、人類社会にとって真に意味のあるものにするために、チリのG・ゴンザレス博士が提唱し、宗教界が積極的にイニシアチブを執って行くことになった。


  29回 チャリティーバザー開催 〜すべての子供たちの笑顔のために〜

 ゴールデンウイークの最終日に当たる5月6日、泉光園において第29回チャリティーバザー『すべての子供たちの笑顔のために』が開催された。約2,500名が参集した。

 来年30回の節目を迎える人類共栄会主催の「チャリティーバザー」は、悪天にもかかわらず、泉尾教会の信徒会や協力業者などからこの日のために集められた品を格安の値段で販売する「友愛セール」や、焼きそば・ちゃんこ鍋・餅つき・たこ焼き・うどん・焼きとり等をはじめとする各種の模擬店や、エアドームなどのアトラクション等が行われ、近隣の住民約2,500人が参加して、楽しみながら世界各地を行われている人類共栄会の人道支援活動が学んだ。


終日、大勢の来場者で賑わったバザー会場

 東海地区や大阪府下、和歌山・兵庫県下などの泉尾教会の地方支部の信徒会がそれぞれに持ち寄った産地直送の農作物などのコーナーも、新鮮な魚介類が人気を呼び、あっという間に売り切れた。 また、民間のNGO団体等も数多くボランティア参加した地域の名物行事となっている。なお、今回のバザーの売上金の1,932,512円は、全額、人類共栄会を通じて海外での救援活動に寄付された。


  ローマでG8宗教指導者サミット継続委員会に 


 6月15日から17日まで、ローマ市内のアルドロバンディ・ホテルで「G8宗教指導者サミット継続委員会」が開催された 。

 G8主要国首脳会議に併せて、宗教界の意見を世界の政策決定に反映させようという動きは、2006年にロシア正教会のイニシアチブでG8宗教指導者サミットとして始まった。以後、2007年はドイツ、2008年は日本で開催され、2008年のG8宗教指導者サミットの運営委員長を人類共栄会の三宅光雄会長が務めた。

ローマで2009年のG8宗教指導者サミットが開催されるのに併せて、これまで同会議を主催・運営してきた人々とこれから同会議を招致する人々の間で、情報と経験分かち合うものが今回の継続委員会の目的であり、2010年6月にカナダのウイニペグで開催されるG8宗教指導者サミット2010の事務局長であるジェームス・クリスティWFM理事長が会議をリードし、英国国教会首座のカンタベリー大主教の諸宗教対話担当官ガイ・ウイルキンソン師やカナダ教会協議会のカレン・ハミルトン事務総長や、日本で開催されたG8宗教指導者サミット2008の事務局長を務めた三宅善信本会理事他が参加した。


継続委員の各師と意見交換する三宅善信理事

  会長ニューヨークでWFM役員会に出席 


 7月2日から7日の日程で、三宅光雄会長がニューヨークを訪問し、自身も役員を務めるWFM(世界連邦運動)の国際事務局で、ウイリアム・ペース専務理事と、本年10月に開催される国際評議員会の大きなテーマのひとつである「国連ミレニアム開発目標(MDGs)」について意見を交換した。


W・ペース専務理事と三宅光雄会長

 「MDGs」とは、2000年9月の国連ミレニアムサミットの際に、世界各国の首脳によって採択された宣言で、1990年代に国連と各国際機関が進めてきた諸々の開発プログラムを一本化したものである。2015年までに、@極度の貧困と飢餓の撲滅、A普遍的初等教育の達成、B両性の平等と女性の地位の向上、C幼児死亡率の削減、D妊産婦の健康の改善、EHIVエイズ・マラリアその他疾病の蔓延の防止、F環境の持続可能性の確保、G開発のためのグローバルパートナーシップの推進といった分野で、具体的な達成率を定めて、先進国と途上国が力を合わせて取り組むことになっている。


  大阪で頑張るパピーニさん 


ロバート・パピーニ氏

1900年に米国のボストンで創設された世界最古の国際的諸宗教対話団体で、国連経済社会理事会で総合諮問資格を有する国際NGOでもあるIARF(国際自由宗教連盟)の国際事務局が、2007年12月に、それまで事務局が置かれていた英国のオックスフォードから、金光教泉尾教会内に移転してほぼ2年 が経過したが、それに伴い、英国で国際事務局員として勤務していたロバート・パピーニ氏も来日し、事務局に隣接する泉尾教会内の宿舎で生活をしている。

 パピーニ氏は、オックスフォードの大学院に学び、南アフリカの博物館で10年以上勤務して実地経験を積んだ後、IARFの事務局員になった教養人で、世界各地の少数民族の習俗に対する該博な知識を有している。慣れない日本での生活の中、IARF国際事務局業務の円滑な運用のため、日夜、世界各国の会員たちと連絡を取り合っているだけでなく、毎週末には、関西一円の神社仏閣を訪れ、日本の伝統的な祭礼等についても、熱心にフィールドワークしている。


  人類共栄会年次総会を開催 


8月15日、金光教泉尾教会会堂にて、世界平和祈願祭・戦没者慰霊祭に引き続いて、2009年度の人類共栄会総会が開催された。人類共栄会は、1952年に故三宅歳雄師によって創設されて以来、58年の長きにわたって、戦争や貧困、自然災害の犠牲者たちに対する支援活動を展開してきた。


年次総会の様子

この日の年次総会は、司会を小島宏理事が、議長を樋口徳光副理事長が務め、香西俊雄事務局長から報告を受ける形で進行し、直前に開催された評議員会で承認を受けた本年度の事業計画や予算案が、全て原案どおりに可決された。


  比叡山でトゥーラン枢機卿と 

 


トゥーラン枢機卿と三宅善信理事

 8月4日、延暦寺で開催された比叡山宗教サミット記念『世界平和祈りの集い』で、本会の三宅善信理事が、バチカンの諸宗教対話評議会議長のジャン=ルイ・トゥーラン枢機卿と懇談した。


  ダライ・ラマ法王の妹と意見交換 


 7月4日、ホテルオークラで開催  された『ダライ・ラマ14世法王の誕生祝賀会』に、昨年に引き続き招待された三宅善信理事は、同会にゲストとして招かれたダライ・ラマ14世の実妹のジェツン・ペマ元チベット亡命政府教育大臣と、チベット難民の民族教育について懇談した。


ジェツン・ペマ女史と三宅善信理事


  AYC創立25周年記念総会に青年を派遣 


 人類共栄会では、この秋、ネパールのカトマンズで開催されるAYC(世界連邦アジア青年センター)の創立25周年記念総会に、10月1日から7日の日程で、AYC日本支部から吉村昇一郎氏をはじめ6名の青年を派遣することとなった。

 AYCは、1984年に本会創設者の三宅歳雄師によって、インドのチェンナイ(当時、マドラス)で設立された社会奉仕団体で、現在、南アジア8カ国に数万人の会員を擁しているが、人類共栄会の三宅光雄会長がAYC会長を兼任し、長年にわたって本会が全面的に財政支援を行ってきた国際機関である。

 特に、2004年末に発生したスマトラ島沖大地震によって、南アジア各地で
30万人を越す未曾有の犠牲者を出したインド洋大津波の際に、日頃から培ってきたAYCのネットワークを通じて、各国で迅速な救援活動を実施したことによって、現在では世界各地のWFM(世界連邦運動)加盟団体の中で最大級の数万人の会費を支払っている会員を誇る国際NGOに成長した。

なお、本総大会の詳しい内容については、本誌次号(2010年1月号)で詳解される予定である。