G8宗教指導者サミット2010が、6月21日から23日まで、カナダのウイニペグ大学を会場に開催され、仏米英露独日伊加の8カ国はもとより、アフリカ・中東・アジア太平洋・中南米各地域から約80名の正式代表ならびに地元カナダから多数のオブザーバーが参加し、『宗教者のリーダーシップと行動を喚起する時』をテーマに開催され、本会の三宅光雄会長が日本代表団の団長として出席した。
サミット参加者全員で記念撮影 |
6月21日の午前中は、開会式に先立って、ジャーナリスト会議や人権と宗教的自由に関する会合等、各種の専門家会議が開催された。広大なカナダにおける東西交通の要衝で、真冬の最低気温が氷点下50℃にもなるというマニトバ州のウイニペグ市は、歴史的にも先住民(いわゆる「インディアン」)の集積地であり、現在でも人口の2割が先住民である上に、近年、アジアからの人口流入も多く、「民族的・文化的多様性」を国是とするカナダにおいても、諸宗教の指導者が一堂に会してサミットを行うのに相応しい地である。
この日の夕方に行われた開会式では、G8宗教指導者サミット国際継続委員会の議長であるジェームス・クリスティ博士(世界連邦運動理事長)が開会宣言を行い、昨年のローマ会議の運営責任者であったアルベルト・クアトルリッチ聖エジディオ共同体事務局長がイタリア共和国外務大臣のメッセージを、ヘグメン・リアビュク駐ジュネーブ代表がロシア正教総主教からのメッセージを代読した。また、地元を代表して、先住民のドゥン・マリチンダレ師が歓迎の挨拶を行った。
22日の朝は、ウイニペグ大学のロイド・アクスウォーシ総長と、先住民でカナダ「真実と和解委員会」のムッライ・シンクレア弁護士が挨拶を行い、ロメオ・ダレイル上院議員が基調講演を行った。続いて、『極端な貧困と経済』についての実質討議に移り、カナダ教会協議会事務総長のカレン・ハミルトン師の司会進行で、全アフリカ教会協議会事務総長のアンドレ・カラマガ師と、ジャーナリストのジム・ウォリス師が講演を行い、ディスカッションに入った。休憩に続き、『平和と安全』についての実質討議が、地元カトリック・ウイニペグ教区のジェームス・ワイスガーバー大司教の司会進行で、WCCのパク・ソンウォン師の講演とジョン・シーバート氏とウオルター・ルビー氏とロバート・スーダーマン師がパネリストとなってディスカッションが進められた。
昼食後、『極端な貧困と経済』についての第2回実質討議が行われ、国際社会正義委員会コミッショナーのクリスティーン・マクミラン女史が講演を行い、熱を帯びた討議が繰り広げられた。世界百数十カ国の首脳が一堂に会して開催された2000年の国連ミレニアム・サミットで採択された『MDG(ミレニアム開発目標)』の達成期限まであと3分の1しか残っていないのに、まだまだ目標達成におぼつかない世界の現状を真剣に捉え、G8各国首脳にその早期達成を迫っていくのが当宗教サミットの大きな目的であるため、とりわけ熱心な意見交換がなされた。
気候変動パネルでスピーチする三宅善信理事 |
休憩に続いて、『気候変動』に関する実質討議がレバノン正教会総主教アラム1世の司会進行で行われ、地球温暖化による海面上昇で国土が消滅する危険に曝されているツバルのフランソワ・ピハーテ牧師が講演を、人類共栄会の三宅善信理事がパネリストとなってディスカッションが行われた。このテーマは、ユダヤ・キリスト・イスラム教などの一神教と、ヒンズー教や神道や先住民のアニミズム等の多神教とでは、大きな意見の対立が存在するだけに熱心な討議が繰り広げられた。
閉会式のお祈りをする三宅光雄会長 |
23日の朝は、昨晩行われた青年会議の参加者代表が、G8宗教指導者サミットに対して「青年の声」を訴え、大人の代表たちと熱心に討議を行った。引き続いて行われたセッションでは、MDGの早期実現を迫る「ミレニアム・プロミス」のジョン・マッカーサー氏が講演を行い、当サミットの目的である政治指導者に対する具体的アプローチ方法を討議した。
昼食を挟んで、今回のサミットの宣言文を採択するためのセッションが、クリスティ博士の司会進行で行われ、英国国教会首座のカンタベリー大主教の名代として出席したニック・ベインス主教が講演を行い、G8主要国首脳会議へ提出するため、8カ月かけて検討してきた宣言文への最後の修正を加えてこれを採択した。
引き続き、閉会セレモニーが行われ、日本代表団の団長を務めた三宅光雄会長が各国からの参加者を代表して「祈り」を行い、カナダ連邦政府のスティーブン・フレッチャー民主改革担当国務大臣がスピーチを、そして開会式でも祈りを務めた先住民代表のドゥン・マリチンダレ師が閉会の祈りを行って、無事、3日間にわたるG8主教指導者サミットが閉幕した。なお、来年のサミットはフランスで開催される。